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墓地が不気味


「ねぇ、早く買ってよ!」



 暗くなりそうな空気を壊すようにメルの声が店内に響いた。



「分かった分かった。店主さん、代金はこれで」


「まいど」



 リヒトは代金を払い、ペンダントを受け取るとそのままメルに手渡した。



「わーーい」



 メルは受け取ったペンダントをさっそく付けると嬉しさからその場で軽く飛び跳ねた。



「メル、店内ではしゃがないで」


「いいんだよ。子供の楽しそうな声っていうのは聞いてるだけで気持ちが明るくなるってもんさ」



 リヒトはそれでもとメルの教育上ここは躾をしておくべきだと反論しようとしたが、店主のメルを微笑ましく眺める姿に口を閉じた。

 雑貨屋を後にするとリヒトは店主から聞いて手書きした街の地図を広げた。

 街は楕円形に広がっており、立地的にはなだらかな丘の上に建てられていた。街で一段盛り上がっている立地の場所に領主の館があって街全体を見渡すことが出来そうだった。

 街の東部には日用品などを製造する工房、そこから中央部にかけて服飾、食料品のお店が区画整理されて建てられていた。西側は住宅街で、端には教会が建てられており、墓地が設置されていた。



「墓地か……」



 死んだ人間が道を歩いていたという話を思い出して、墓地は一番に調べる必要がある場所だとリヒトは考えた。しかし、もうすぐ太陽が沈んでしまう時間になるため、明かりの少ない墓地へ行くことは危険であることも分かっていた。



「リヒト君、次はどこ行くの?」


「……街の東へ行って情報収集の続きをする。おそらく工房で働いている人達が帰ってくる時間帯でもあるはずだからな」


「工房? つまらなそう」


「興味はないよな……男の子なら多少は興味が湧く部分ではあるんだが」


「綺麗なお洋服とか花屋とかないの?」


「道すがらにはあるかもしれないな。聞きながら行ってみよう」


「分かった。今度は私が聞いていくね。リヒト君が暗い顔で話しかけるから誰も話をしてくれなかったのよ。その点、私なら可愛くて明るいから大丈夫」


「……自己評価が高いのは結構。それに子供からの質問の方が大人は聞いてくれるかもしれないな」


「きっまりー」



 メルは両手を広げて走り出していってしまう。



「あ、待て、メル」



 リヒトは地図をしまうと慌ててメルの後を追い掛けた。

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