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悪役のアイツを幸せにしたいッ!! 1-3


――――――――――――――――――


ベルモット・オルレリアン嬢。

乙女ゲーム『LOVERSラバーズ』における、悪役令嬢。

乙女ゲームの攻略を進める中で、全体の攻略ルート、8割のルートで悪役として登場する。

とてもプライドが高く、気品あふれる立ち振る舞いであり、髪はtheお嬢様といった様子の、長い金色の髪をしている。

イメージに上がりやすい、お嬢様のモデルを体現しており、長い金色の髪は激しくカーブし、いわゆるドリル状になっており、キレ顔で美しい顔立ちな事もあって、かなりの威圧感を持っていた。

――ただ、型にはまったお嬢様キャラでありながら、何故か悪役ながらに憎めないキャラクターであり、悪役という事もあって、悲惨な最後を迎える事も多いが、プレイヤーの中には、そんなベルモットを憂う声も度々上がっていた。


――――――――――――――――――


ベルモットの一言により、その場は一気に静まり返り、エドガーの主張の時間も、完全に一時的に止まってしまっていた。


完全に拒絶されてしまったと、その場の全員が感じる中で、エドガーだけは一人、違う事を考えていた。


(べ、ベルモットだぁ……、この冷たさ! まるでオブラートに包まないハッキリとした物言いッ!!

完全にゲームのベルモットと同じだぁ……………)


拒絶されたエドガーは何故か、歓喜に満ち溢れており、表情にも自然と笑みが零れてしまっていた。


「――なッ、何を笑っているのかしら!?」


ここまで強く拒絶され、笑みを浮かべたエドガーを、ベルモットは完全に引いており、怪訝そうな表情でエドガーを問い詰める。


「――いえ……、あまりの美しさに見とれてしまいまして…………」


「あぁそう……、貴方の様な庶民が、そう簡単に見られる存在ではないですからね。

――護衛にしないと分かったら、とっとと目の前から失せてくださる??

私を見た、私と言葉を交わした事を、どうぞ土産話にでもして田舎に帰りなさいな」


ベルモットは目を閉じ、エドガーを見る事さえせず、冷たい言葉を更に、追い打ちの様に投げかけた。


しかし、ベルモットのそんな拒絶も物ともせず、エドガーは自分の元いた場所へ戻ろうとはしない。


「はいッ!! 一生付いていきますッ!!」


「は、はぁああッ!? あ、貴方、私のお話を聞いていましたのッ!?

平民を護衛になど、付かせないと、そう言っているのですッ!!」


まるで話が噛み合わないエドガーに、ベルモットはさらに強く、エドガーにハッキリと否定し、初めてエドガーに声を荒げた。


「聞いていましたとも!!

土産話を持ち帰るためにも、護衛にしていただかなければッ!」


「――あ、貴方? わ、私を誰だと思っているの??

さっきから、意味の分からない事ばかりッ……。

あまり、失礼が過ぎますと、こちらにも、それ相応の対応をさせていただきますわよ?」


ベルベットは最後の手段として、エドガーを脅しに掛かった。


(やっぱり、取り付く暇も無いよな……。

何度シュミレーションしても成功する未来は見えなかったし、何より、俺、アルバレア剣術中等学園を、首席で卒業できなかったしなぁ~~~。

ベルベットの護衛になる為にも、頑張ってたんだけど……。

第一声から、きっぱりと否定された瞬間に、今まで用意してた言葉とか、一瞬で吹き飛んで、自分でもわけわかんない、強引に勢いだけで乗り切ろうとしちまったし……。

――流石に厳しいか…………)


ベルベットの脅しを聞き、流石にこれ以上絡むのは、命の危険すらもある為、心の中で大きなため息を付きながら、エドガーは引き下がろうとした。


「――申し訳ございませんでした」


今までのやり取りが嘘のように、エドガーはしおらしく一言謝罪を述べ、深く頭を下げ、元の位置に下がろうとしたその時だった。


「――あら? 良いじゃないの? 5位の変人庶民と、オルレリアン嬢のコンビなんて……。

お似合いだと思いますけど??」


ベルベットの隣にいた、家柄的にも、本人たちの性格的にも仲の悪い、ユファメール・ヴィ・ジュネヴィが口を開いた。


明らかに悪意のある口調と、笑みを浮かべており、そんなユファメールに気付いたベルモットは、怪訝そうな表情を浮かべた。


(――うんうんッ! 二人は仲悪いよねッ!!

微笑ましいなぁ~~)


険悪な雰囲気の中、エドガーだけが再び場違いな反応を見せていた。


しかし、ゲームでの今後の展開を知っているとはいえ、流石にこのまま雰囲気が悪いままでは、エドガーも終われず、何よりベルモットへのアピールが完全でない以上、他に手を打つ必要があった。


(イチかバチか、ユファメールが声を掛けて来てくれたことだし、上手く利用できるか?)


「ベルモット様ッ! どうか怒りをお沈め下さい!」


「――あッ、貴方のせいでょうッ!? 元はと言えば!!」


エドガーは、ごもっともなベルモットの言葉に、一瞬言葉に詰まったが、千載一遇のチャンスを逃すわけにもいかず、何とか言葉を返す。


「ベルモット様のお怒りも大変ご理解できます。

――ここは私に掛けていただくのはどうでしょう?」


「はぁ? いったい何を…………」


エドガーの言葉にいい加減、呆れた様子を見せていたベルベットは、少し疲れたような表情を浮かべ、エドガーの言葉を聞き返した。


「――私は庶民ですし、こうして悪目立ちをしてしまいました。

名誉挽回をする為にも、力を証明させていただきたいです!

ベルモット様は、ユファメール様にちょっかいを掛けられ、それに対して腹を立てている……。

ユファメール様は更に、ベルモット様にコケにしたい事でしょう」


「――――はぁ~~~……、つまり、何が言いたいの??」


要領を得ないエドガーの言葉に、ベルモットは額を抑えながら、明らかに疲労を見せながら、エドガーに率直に意見を言うように急かした。


「つまりですね!? お嬢様。

ユファメール様の、本日お越しであろう、お抱えの護衛騎士と、私の手合わせを今ここで、やらせていただきたいと思います!!」


「――――は……?」


エドガーの提案にベルモットは思わず声を漏らし、エドガーの言葉を最後にその場は静まり返った。


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