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悪役なアイツを幸せにしたいッ!! 2-2


「――相変わらず、クリスは辛い物好きだな」


食堂へ訪れ、それぞれ食べたい物を注文し、席に着くとエドガーは、クリスが運んできた夕食を見て、そう呟いた。


「うっさいなッ!! いいだろ~、別に~~。

明日からは、食いたい物も食えなくなるかもしれないんだから!!」


クリスはエドガーの言葉を嫌味に感じ、またもプンスカと怒りながら、食事を始める。


(食いたいもんねぇ~~……)


麻婆豆腐のような食べ物を食べ始めるクリスに、苦笑いを浮かべつつ、エドガーも食事を始めた。


そして、食事中ではあったが、エドガーはクリスにいくつか質問を投げかける。


「――なぁ、クリス? さっき、お前も言ってたけど、食いたい物も食えなくなるって話、本当か??」


エドガーはゲームの中では、補完される事の無かった事について尋ねた。


「行儀悪いぞ? エドガー……」


「良いじゃないかこれくらい……。

別に貴族様の前でも無い、平民の寮なんだから」


当然のようにぴしゃりと注意が入るエドガーだったが、気にすることなくクリスに尋ねる。


「――はぁ~~……、そんな当たり前の事、聞くなよ。

俺たちは、護衛騎士だぞ? 貴族様を守る事が勤め。

貴族出の護衛騎士は、そこまで気を張らないが、平民出の護衛騎士は、いずれ護衛対象となる貴族様が割り当てられる。

そうなったら、自由に食事なんて取ってられないだろ?? 迷惑のならないところで、携帯食料を食べ、いつでも万全に護衛する!

当然の事だろ?」


「なるほどぉ~~」


エドガーは、クリスから話を聞き、ゲームの見えないところで、苦労しているNPCが居た事に感心した。


(まぁ~~、この世界の事をかなり勉強したし、知らないわけじゃなかったけど、やっぱり共通認識として知られ、実際に行われてるんだなぁ~~。

それに、俺なんかは特に、そうゆうところに注意しないと……。

もう15年もこの世界で生きてるから、前世での癖とか、常識とかは抜け始めてるけど、ふとした瞬間に、失礼に当たる行動とか出てきちゃうかもしれないしな)


既に、ユファメールとのトラブルを起こしたエドガーだったが、今後はより一層気を引き締める事を誓った。


「なるほどなぁ~~ってお前……、ほんとに大丈夫か?

成績優秀者が使える貴族はどこも大貴族、それに加えてお前が使えるのは、四大貴族だぞ??

下手したら簡単に殺されるからな??」


「だよね~~~。 アルバレアで剣術以外も色々と礼儀なんかを、みっちりと教わったけど不安しかない……」


念願のベルモットに護衛騎士として、認定されたエドガーだが、将来は不安しかなかった。


「まぁ、まずはこの一週間!

なんとか生き残れるよう、お互い頑張ろうッ!!」


「お互い~~? 私は別に、お前が野たれ死のうと、切り殺されようと構わないけどな?

部屋広くなるし……」


エドガーは鼓舞したつもりで、声をかけたが、エドガーの気持ちは一ミリもクリスには伝わらず、辛辣な一言だけが返ってきた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


まだ、入寮が終わっていない貴族が、寮生徒は別の方角から学園に通ってきていた。


学園に訪れる貴族は、誰もが豪勢な馬車に乗ってきており、エドガーを始めとする、平民騎士は貴族生徒の到着を待っていた。


有力貴族数名しか、まだ担当護衛騎士が決まっていない為、到着した貴族は、姿勢正しく、直立に立つ平民騎士の中から適当にその日の担当を選んだ。


「お前、今日の私の駒仕えとして付きなさい」


一人、また一人と指名されていく中、エドガーは決められた主を待つ。


そして、エドガーが待つ中で、同部屋であるクリスも呼ばれ、パラパラと平民騎士が少なくなってきたところで、エドガーはその人を見つけた。


「お待ちしておりました、ベルモット様」


エドガーは、ベルモットを乗せた馬車を見つけるなり、駆け寄り、挨拶を早々に、馬車から降りるベルモットの手を取った。


「ありがとう。 待ってたのね……」


ベルモットはエドガーの手伝いに素直に応じ、馬車から降りると、淡々とした様子でエドガーにそう話した。


「当然です。 念願だったベルモット様に仕えれるのです。

居ても立っても居られないです」


「そ。 それは良かったわね」


ベルモットの手荷物を受け取ると、エドガーはベルモットの後ろを一歩引いて歩いた。


そして、エドガーと同じように、ベルモットに控えるように、傍を歩くもう一人の人物がいた。


「まさかベルモット様の護衛騎士が、こんな冴えない田舎者だとは……」


ベルモットの隣を歩く、ベルモット程ではないが、ある程度身だしなみを整え、ベルモットの従者として仕えた、フェリスの姿があった。


フェリスは、ベルモットと同い年であったが、ベルモットの従者として幼いころから育てられ、家族の次にベルモットと長い期間を過ごした女性だった。


(おぉ~~、ベルモットの従者フェリスッ!!

ゲームでは、セリフのみの登場だったけど、実際だとこういった姿なのか!)


フェリスの姿を始めてみたエドガーは、驚きの表情を浮かべ、フェリスをマジマシと見つめた。


(金髪で派手な見た目のtheお嬢様のベルモットに対し、フェリスは銀髪で、長い髪を綺麗に上で束ねてる……。

なんて髪型だ?? 三つ編みお団子?

――――なんにせよ、お洒落だッ!!)


観察するように、上から下に視線を行き来するエドガーに、フェリスは明らかに怪訝そうな表情を浮かべた。


「なッ! なにジロジロ見てんの!!

ベルモットお嬢様~~、コイツ、変態ですよ~~~。

私、既に襲われてます~~。目で」


「やッ、そ、そんなことしてませんッ!!」


フェリスは隙ありと言わんばかりに、ベルモットに告げ口をし、エドガーはすぐに弁明する。


引け目もあったエドガーは不味いと思ったが、ベルモットはため息を一つ吐き、注意するようにフェリスに告げる。


「おやめなさいフェリス。 ここは我が城じゃないのよ?

外でのそういった行動は控えなさい」


「えぇ~~ッ!? お嬢様ぁ~~。

ホントなんですよ~~」


フェリスの泣き言も、ベルモットは受け継げず、エドガーは心の中でホッと息をつくも、フェリスにその後、睨まれる結果になった。

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