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修羅の国  作者: きつね
9/9

終わり

完結しました!

 「『剣聖未刀』!」

 「あっ、覚えていてくれましたか」

 

 それはそうだ。この人を忘れられる訳がない。

 ランカー第2位。そして、この祭りで俺と祭り囃子さんが共闘し打倒した存在。

 だが、その事を除いてもこの人を忘れられる人は少ないと思う。

 まだ幼さを残した顔立ちでありながら、その瞳は自信に満ち溢れ。後ろで纏められた長い髪は、はたから見てもサラサラとしていて、艶がある。まさに絶世の美少年と呼べるだろう。


 そして、俺が今一番会いたくない人でもある。


 「えぇ、まぁ」

 「にしても、最後の火薬での攻撃は素晴らしかったですよ」


 その理由はこれだ。俺はなにも知らないとはいえ、結果的には俺は祭り囃子さんが火薬を取り仕掛けるまでの時間稼ぎをした。

 この『剣聖未刀』から見れば、火薬を用いてこの人に不意打ちを決めたコンビの片割れと成ってしまう。

 当然好感度は、ゼロを振り切ってマイナスにたっしているだろう。なにせ、この人はそのせいでランカーから外されているはずだ。

 つまり、俺に今出来ることはただ一つ。


 「いやぁ、私はなにもやってませんので、作戦は全て祭り囃子が決めました。誉めるのであれば彼を誉めてあげて下さい」


 その名も、[全て祭り囃子のせいです。私は悪くない]!

 この作戦は、俺のこれからを決める重大な作戦失敗は許されない。


 ネーミングセンスは、置いといてくれ……


 あれ?、今誰に言い訳したのだろか?分からないが言い訳しないといけないように感じたのだけど……まぁ、いっか。


 「成る程、道理で火薬の扱いがいやらしいと思いました」

 「そうですね、俺もそう思いますとも」

 「しかし、それ以上に私はあなたを評価します」


 え?……


 「私はあなたに自身の技量を見誤ったと言いましたが、それは訂正させていただきたい」


 そういい、『剣聖未刀』は軽く頭を下げた。

 それから、すぐに頭を上げ『剣聖未刀』は話を続ける。


 「私には、爆発の中心から生還出来るだけの技はない。しかし、人の気配を感じることは当然出来ます」

 

 マジかよ。気配察知とかそんなの二次元だけの事かと思ってた。


「それが、仮にも祭り囃子という実力のある人ならば尚更その動きを追う事は容易な事です」

 「やっぱり、祭り囃子さんってかなりの実力が有るのですか?」

 「えぇ、[二つ名]を付けられると言うことは、十人一括りの有象無象などではなく。注意するべき人物と周囲から認められたという事ですから。まぁ、彼の場合その実力よりも愉快犯的な行動が主ですが……」

 「あぁ、やっぱり。あの人格を疑うような行動の数々はそりゃ異常ですもんね」

 

 よしよし、このまま話を祭り囃子にすり替えていこう。


 「はい、だからこそ私は彼の動きを追っていました。幸い私を恐れて大半の方は戦場を他に変えてましたからね、楽でしたよ」


 あれ?なんかやな予感が……


 「えぇ、彼だけならね。途中でのあなたの特性の開花、そして特性に慣れないままでの攻撃。それにいささか以上に気を取られましておかげで祭り囃子を見失いました」


 マジかよ……


 「なので、あの言葉は訂正させていただきます。あなたはあの場所で出来る最善を尽くした、それを実力を見誤ったなどと一人の男として申し訳ない」

 

 そういい、『剣聖未刀』は再び軽く頭を下げる。


 なんだろう?この、一昔前に流行った勘違い系主人公みたいな立ち位置。不当にめっちゃっ評価されてくるけど、こっちもかといって否定出来ない……だって、このままならこの人を殺したことを水に流せそうじゃん。

 そんなゲスな考えもあり、否定は出来ないけど、肯定もしない。ばれた時が怖いですから。

 

 そんなわけだから、俺に出来るのはせいぜいこうして謙遜するくらいだ。


 「(おまえ、よくランカーとまともに話せるな)」


 よこから、小声で名前知らないから通称ヤバイ奴が話しかけてくる。


 「(どこがだよ、俺の足見て言っているのか?生まれたての子鹿より震えているぞ)」

 「(その程度ですんでるのが凄いって言っているんだ)」

 

 ふと、見下ろすとヤバイ奴の目の焦点がブレている事に気づいた。

 いや、肌には鳥肌がびっしりとで僅かながら顔からは血の気が引いている。


 恐怖


 ただ、その言葉をこれ程体現している人も少ないだろう。

 

「(なんなの?おまえの足プレートコンパクター[工事で地面を固める機械]取り付けてあるの?)」


 それでも俺は、軽口を叩くのを止めなかった。

 否、止めることが出来なかった。

 軽口を叩かなければ、自分まで恐怖にとりつかれる。そんな確信があったからだ。

 ヤバイ奴は実力があるゆえに、恐怖にとりつかれ。俺は、未熟ゆえに恐怖から目をそらす事が出来る。どちらがより良いかなんて全くわからない。


 あるいは両方共よくなんてないのかも知れない。

 人生とは、地獄。

 終わりだけが救いなのかも知れない。それなら、終わりを失くした俺は、俺たちはどうしたら良いのだろう……

剣聖未刀:「なに、二人でこそこそと話しておるのか。」

ヤバイ奴:「い、いえ!何でもありません」

剣聖未刀:「そうだ!君。この新人を鍛えてくれ」

ヤバイ奴:「えぇ、もちろん!え!?」


 と言うわけで続編の製作が決定しました!!

 また、あえる日を楽しみにしています。

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