つちのこうやのラブコメ (それぞれ別々にお読みいただけます)
美化委員の僕は学校の花壇の花を大切に育てていたんだけど、何者かにより花壇を踏み荒らされた。幼馴染と後輩が修復を手伝ってくれたけど、犯人は誰なんだ?(ざまぁなし)
僕は美化委員に入っている。
僕の担当は、学校の裏門の両サイドの花壇の管理。
かなり真面目に頑張っているだけあって、季節により様々な花が咲くようになった。
そんな僕は今日の朝登校して、かなりショックを受けた。
花壇の花が倒されているし、土が乱されて、花壇からはみ出ているのだ。
何があった……。
僕は何かしようと思ったけど、あまりにひどすぎて何もできなかった。
「花壇が荒らされていたことに関する緊急会議を始めます!」
委員長がその日の昼休みに、言った。
「まず何が起こっていたか教えてくれるかしら?」
委員長がそう言って僕を見た。
「朝行ったら荒らされてた、それだけしかわかりません」
僕は答えた。
「なるほど。じゃあ、とにかく、元に戻すのお願いね」
「え、あ、僕一人で、ですか?」
「そうよ。花壇の担当は、あなたでしょう?」
そうだった。委員長はてきぱきしていてミスが少ない素晴らしい委員長だけど、その一方で冷たいんだった。
「はい。なるべく早く元に戻せるように頑張ります」
僕はそう返事した。
「えええ、それであんた一人でここで作業してるの?」
放課後、一人で作業していたら、僕を見つけた幼馴染がこちらにやってきた。だから僕は事情を話したのだ。
「そう」
「えー、手伝うよ。ていうかさ、ひどいね。一人にやらせるなんて。だって康太悪くないじゃん」
「まあな。でもあの委員長担当とかきっぱり決めちゃう人だからなあ」
僕はそう呟いて、倒れた花を起こして植え直す作業を続けた。思ったよりは、時間がかからなさそう。
そう少し安心したとき。
「あ、先輩! あれ? 大変そうですね」
裏門から下校しようとしていた、バドミントン部で一緒の後輩が通りがかった。
「おお、今日はもう練習終わりか」
「あ、はいそうなんですけど、え、どうしたんですかこの花壇?」
「あー、これはな……」
僕は後輩にも何があったかを話した。
「えー、それって、誰か先輩を困らせようとしてやったってことはないですか?」
後輩はそう僕を見つめて言った。
そんな可能性があるのか? だとしたらそれは誰の仕業?
わからなさすぎる。
あんまりそういうことは考えたくない。
この話タイトルにもざまぁなしって書いてあるし。
「とにかく、私も塾まで時間があるので手伝いますね」
「ありがとう、ほんとに」
結局、三人でやったからか、最終下校時刻までには、元に戻すことができた。
しかし、誰がやったのかは確かに気になる。
先生に相談したいところなんだけど、今日は美化委員会の顧問の棚橋先生はお休みだった。
明日相談してみよう。
僕はそう決めた。
次の日。
僕は棚橋先生に呼び出されていた。
向こうからなんか説明があるのだろうか。
僕は、緊張して棚橋先生のいる準備室に向かった。
「あ、こ、こんにちは」
「あ、はいこんにちは……それは……?」
僕は棚橋先生がパソコンの画面に表示しているものを見つめた。
「これは、裏門付近の防犯カメラの映像です」
そうか。この学校は、入り口付近には防犯カメラがある。
それを見れば犯人がわかるじゃないか。
「僕も見ていいですか?」
「はい、どうぞ……」
先生が映像を再生した。
誰かがふらふら歩いてきて、そのまま花壇にダイブして、えーとそのまましばらくのたうち回って、それから起き上がって帰っていったぞ。
「……誰ですかこれ。暗くて見えないんですけど」
「私です……ごめんなさい」
「えええええ」
「えええええーん!」
僕の驚いた声と先生の泣く声が、揃って響いた。
「ていうか、この先生、酔っ払ってますよね」
僕は防犯カメラの映像を見ながら言った。
「そ、そうです……もう酔っ払ってて気づいたら家にいて、そのまま二日酔いで体調壊してました。もう私はダメな人です」
「なんでお酒飲んでたんですか? 学校で。ていうかこの防犯カメラの撮影時刻、かなり遅いですね」
「それはもう……仕事がやってもやっても残ってて、飲まないとやってられなくなりました……ちなみに、校長先生から朝一時間お説教されちゃって、もう私はダメな人です」
「……先生って、仕事多いんですね」
「それは校長先生も聞いてくれてね、私、担任に加えて委員会二つと部活の顧問二つもやってるからね、それは減らしてもらいました……」
「よかったですねそれは。あ、で、美化委員会は……」
「美化委員会の顧問はこれからもやらせていただきます……」
「それは嬉しいです」
僕はほっとした。
だいたい美化委員の人数がそこそこ多いのは、美人教師の棚橋先生がいるからである。そういう人たちにとっては、先生も水着になって参加するプール掃除が楽しくて仕方がないのだろう。
それがなくなったら、美化委員の人数が来年減って、僕の担当がさらに増えちゃうからな。
「わ、私が顧問になってから、美化委員希望の人が増えたみたいだから……これからも頑張るので見捨てないでください……次期委員長」
「え?」
この時、来年、僕が委員長になることが決定した。