6話 初めての冒険者ギルド
今日は2話配信です。
2018.05.07 いろいろ編集
なんなんだこのギルドは。
この世界の出迎えっていうのはいきなり男が飛び出してくるのが礼儀なのか?変わった文化だ。
呆けた顔で横を通り過ぎる男を目で追っていると今度は真っ赤な色をした長い髪をボサボサにした大女がづかづかと出てきた。
「ふざけんじゃないよ!何が身体のでかい女は性欲が強いだ!この巨人族のレイティア様をなめんじゃないよ!」
どうやらさっきの奴はこの女に殴り飛ばされたらしい。
それにしてもでかい。
見た感じだと2mは身長があるが巨人か。
「今度似たようなこと言ったらもぐからね!」
そういうと大女はさっさとギルド内に戻り、男は股間を押さえ逃げていった。
え~と・・・とりあえず中にはいるか。
ギルドの中は木造のわりには広い内装で、太い柱が何本か立っているが一体どうやってこの柱の数で上の階を支えてるんだろうか。
そこまで強度のある植物が存在したか?
あたりをキョロキョロと見ていると行列ができている場所があるのでとりあえず並んでみるが、さっきから視線が刺さってくる。
嘲りや蔑みの視線は理解できる。
周りを見てみると屈強な男や戦士風なやつらがたくさんいるし、なにより私の見かけはかなり幼いことに気づいたからだ。
だがなぜか一部のローブをかぶったやつからは驚きや恐怖といった視線が感じる。
おかしいな、はじめて会ったはずなのになぜこんな視線を受けるんだ?
周りの状況をじっくり観察しているとようやく順番がまわってきたようだ。
だが受付の女性はなぜかポーっとして一向に相手をしてくれない。
「あの~どうかした?」
「あ、申し訳ございません!冒険者ギルドへようこそ。本日はご依頼ですか?」
「いや、登録を頼む。受付はここでいいか?」
「はい!わたくしが承りま・・・」
「いや、わたしが受けます」
「何言ってんのあんたはあっちやりなさいよ!この人はわたしが相手するの!」
急に横から別の女性が割り込んできて受付の取合をはじめた。
どうでもいいから早くしてほしいなぁ。
十分ほどで決着がついたようで最初に相手になっていた方の女性が担当になったようだ。
「ハァハァ、お、おまたせしました。冒険者登録でしたね、失礼ですが年齢の方を確認いたします。お名前と年齢とあと好みの女性のタイプを言ってくださいね」
ん?名前と年齢はわかるがなぜ好みのタイプが必要なんだ?
聞くからには必要だろうから一応答えておこう。
「あぁ、名前はレイヌ、歳は15歳だ。好みのタイプは強く生きる女性だ」
「はい、わかりました。ちなみにわたし働いて5年経つのですが一度も休んだことがないんです。残業も毎日していてほんとがんばっているんです」
「そうなんだ。仕事に励む女性って素敵だと思おうよ」
「そうなんですよ!よければこのあと・・・・」
なぜかどんどん違う方向へ話が進んでいく。
早く登録をしてくれよ。
困り果てていると今度は受付の奥からスキンヘッドの筋骨隆々の男がでてきた。
「おい、いつまでだべっている。やる気ないなら変われ」
「ギルド長!?いえ、これからしようと」
なんかお偉いさんが出てきたが、慌てる受付嬢をギロリとにらむと彼女はそそくさと奥へ引っ込んでいった。
若干泣いていたが、あの子大丈夫かな?
「すまねぇな時間を取らせて、え~とレイヌだったな。あんたのことは王城から知らせがきてる。細かい手続きはすっとばして登録するぞ」
「え?そんなすっとばしていいんですか?」
けっこう大事なことだと思うけどいいのかな?
「あぁ、本当は出身地とか経歴なんかを聞くんだがその辺は保証するからと報告がきてるからな。手順は二つだ。この棒状の魔道具に魔力を注ぐこととこの板状の魔道具に血を数滴垂らすだけだ」
そういったギルド長は二つの道具をカウンターの上に置いた。
魔力を注ぐといった物はなんかどこかでみたものとそっくりだった。
ん~なんだったかなぁ。『原初の世界』で発明されたものににてるんだよな。
・・・・そうだ!バーナーというやつだ。
あれより少しゴテゴテしてるがたしかに似てる!
ということは先端から火がでるのかな?
「あぁ魔力の注ぎ方がわからねぇか。気にすんな、普通に生活してりゃぁ最初は誰でもわからねぇもんだ。掌に力をそそぐ感じでそのまま意識を魔道具に込めてみな」
別にやり方がわからなかったわけじゃないが、親切に教えてくれたのでさっそくやってみる。
え~と力を込めて・・・・おぉ先端から火が出た!きれいな色だな金色か。
スキル《火魔法》Cを入手しました
ついでに魔法もゲットだ。
安心しているとどんどん火がでかくなっていきついには天井まで届き一面を火が這っていく。
ってまて!これ危なくないか!
「うおぉ!?なんだこりゃぁ!!おい、魔力を止めろ!」
そうだ魔力の供給を止めればいいんだ。
急いで手を引っ込めると火というか炎はすぐに止まった。
不思議なことに壁や床は焦げ一つない。
この魔道具の効果か?
「あぁびっくらこいた。あんな色を見るのも初めてだがあんな大きさも初めてだ。あんた一体どんな魔力保持してんだよ」
「色とか大きさとか意味があったのですか?」
「そうだ、火の色は魔法適性の種類で色が決まる。大きさは魔力の量によって大きさが変わるな」
「ほう。では今回はどんな感じなのですか?」
素直に疑問をぶつけるがギルド長は首を捻りう~んと唸っていた。
もしかして成績悪いのかな?
「それがわからねえんだ。色の方は初めてみる色だったし、大きさだってなぁ。ちなみにどのくらいの量注いだんだ?」
「ほんのひとかけらです」
正直に答えるとハァ~とため息をついて申し訳なさそうな顔をした。
「わりぃけどこのことを調べさせてほしい。冒険証は発行するがまだ利用ができそうにない。それでもいいなら登録してくか?」
別にかまわないと答えると今度は上の両端の角に穴が開いた青いカード状の物を出してきた。
「じゃぁこのまま手続きは続けるぞ、今度はこれに血を垂らせ。これは名前やスキルなんかを読み取り文字によって記載する。ほら、やってみろ」
こんどは慎重にしよう。
取り出した大太刀で指の腹を薄く切る。
途中ギルド長が大太刀をみて驚愕していたがこの際無視しよう。
3滴ほど血が垂れるとすぐに傷口が塞がった。
これが完全自動回復スキルの力か。
そもそも血を流したのも随分と久しぶりだな。
ほどなくしてカードが淡く光り文字が刻まれていくがもちろん文字は読める。
なぜか?そりゃぁ神だからだよ。
一応創造主長という地位についてるからな、全ての世界の言語は完全に理解している。
お!これで全部記載されたな。
名前 レイヌ
レベル 5000
スキル 無限収納・環境対応・脳内地図作成・言語理解
神剣術SS・完全自然回復SS・鑑定SS・神魔術SS
発見SS・拳法SS・調停・礼儀作法SS・掃除A・洗濯S
ばれるといろいろとめんどくさそうな神格念話は偽装スキルで隠し、偽装スキルそのものも持っていたらごまかしてるのがバレバレだからもちろんこっちも隠した。
うん、ちゃんと反映されてるな。
これであまり大きな騒ぎにならなければいいんだが。
「レベル5000だぁぁ!なんだこりゃ!?こんなの見たことねぇぞ!それに神剣術とか神魔法とか初めてみるスキルだぞ!」
ありゃ、神シリーズのスキルは隠しておいたほうがよかったな。
失敗失敗。
「ちなみに現在の最高レベルってどのくらいですか?」
「・・・1130だ。ギルド創設以来の最高は2630だ」
Oh・・・やっちまったぜ。
だがこれ以下にならないんだからしょうがない。
「はっはっは!やはりおまえは面白く退屈させないな!」
な!?この聞き覚えがある卑しい声は!
「ウル!なんでこんなところにいる!?」
振り向くとギルドの扉の前で仁王立ちしているウルがいた。
ほんとなんでだよ!
「すべては見て聞かせてもらった!まったく・・・本当におまえってやつは!」
ウルはニヤニヤとこちらに向かいゆっくりと歩いてくるが、頼むから回れ右して帰ってくれよ・・・。
どこにでも現れる王子様でした。