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創造主長様のお仕事  作者: 己龍
第2章 子供+仲間+迷宮=???
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26話 紅蓮の迷宮 2

前回投稿した日の朝にバレンタインだと気づきました。


特別企画はありませんよ?

「援護に来た!加戦する!」


俺はそう叫び、二つ目の広場へ入った。


100人規模の戦闘が出来そうな広さの奥には、多くの大鬼(オーガ)小鬼(ゴブリン)で視界が遮られるがおよそ20人弱の派手な装備に身を包んだ兵がいた。


姿は見えないが、聞こえてくる怒声からさらに奥には義兄さんがいるだろう。



「俺は殿下側から攻撃する、お前たちはこちらから挟み撃ちだ!」


「「「「了解!」」」」



この場はリンたちに任せ、力いっぱい飛び上がり、熱気により表面が融解した天井を更に足場に兵と魔物の間へ突っ込んだ。



「何が落ちてきた、まさか崩落したか!?」



勢いをつけすぎた着地で土煙が舞い、双方の動きが止まった。


ただその土量が多く、一人の兵が洞窟が崩れ出したのではと焦る声が聞こえた。


俺はその疑問には答えずに目の前で狼狽える3匹の大鬼を横に払う。



「GUGA?」



切られたことに気づかない大鬼たちは数秒間腹への違和感に視線を落としたが、後続の小鬼に押されてズシャリと二つに分かれた。


向こう側でも戦闘が始まったようで一匹の小鬼の頭部がこちらへ飛んでくる。



「これを飛ばしたのはディーだろう!俺じゃなかったらギャグじゃすまないぞ!」



頭部を掴み握りつぶしながら犯人へ文句を言うと微かだが「わりぃ~」と声が聞こえてきたが、お返しに大鬼の頭を切り飛ばし投げてやった。


悲鳴が聞こえたがたいした速度で投げていないから大事無いだろう?






― 魔物の向こう側 ―


「わりぃレイヌさん!ってなんか飛んできた!?」


「くっ!防ぎましたが何が来たのでしょう?」


「ひぃっ!・・・なんだ、死んだ大鬼だったよ」


「ぜってぇレイヌさんだ。こりゃぁかなり怒ってるよな・・・・」


「こんなものは単なるジョークですよ、我が主様がお怒りになったらこんなものではありません」






― 戻ってレイヌ側 ―


「おい、そこにいるのは誰だ!」



ディーとの大声でのやり取りで視界が遮られながらもこちらに気づいたようで兵の一人から声をかけられた。



「水晶冒険者のレイヌ・イニスティアだ!殿下たちは?」


「た、助かる!殿下と貴族たちは後ろで気絶しているが無事だ。ええい何も見えない!誰かこの土煙を払ってくれ!」



このままではまともに会話が出来そうにもないので風魔法でつむじ風を起こし、広場の端へと押しやった。


晴れて会話をしていた相手を見ると、まだ若いが帝国正規兵の鎧をつけており、俺も何度か王城の地下鍛錬場で見たことがある。



「ゴホゴホ、感謝します」


「いや、元々俺がやったことだしな。ポーションは渡すから回復したら後ろに下がり殿下たちを守ってくれ」


「そんな!?我々も共に」



傷だらけの体を無理矢理動かし剣を構えた帝国兵に薬品を詰めた袋を右手で押しつけ、左手で魔物に向かい魔法を放つ。



「視界が晴れて動けるのはお前たちだけじゃない、やつらも動き出した。魔物の向こう側でも仲間が気を引いてるうちに早く行動しろ!」



《脳内地図》での確認だが魔物は減ってきているとはいえ、さすがに後ろを守りながらでは範囲が広すぎて手が回らない。


俺一人に注意を向けるために下がった欲しい。



「くっすまない」



渡した袋を持って後ろに下がりだした騎士たちを背中で見送り、地面に向かって氷魔法を放ち魔物の血を凍らせ動きを鈍らせる。


いまだ威力の調整がうまくいかないから危うくリンたちのところまで凍るところだったが、ギリギリの位置で止まった。


足元を氷で固められた魔物たちはもはやただの抵抗する的と化し、素材の回収のためなるべくきれいな状態で仕留めていく。


どれほど知識や技術があろうが材料がなければ何もできないからな。


《異世界マーケット》を使えば無限に得られるが、無から有を生み出すために食事以外は使用しないと決めている。


戦闘開始から10分ほどで全て討伐し終え、リンたちと合流するとオンブル以外は疲労困憊で汗がしたたり落ちていた。


どうやら予想よりも早く薬の効果が切れたようだ。



「ゼェッゼェッ、まだ、まだ動けんだよ。でもよぉ・・・・」


「・・・死んじゃう。・・・ローブが暑苦しい」


「ローブは耐熱の素材が足らなかったからな、水飲んでもいいが薬はダメだ。オンブルは後ろにいる騎士たちの状態を見てやってくれ」



この時の為に水は道中の湖に寄ってトン単位で用意したから余裕はある。


ディーは頭からあおり、リンとダリエラは頭だけかぶり濡らした布で身体を拭いた。


オンブルにも渡したが、彼女も人間の姿でのこのような環境は初めてらしく、ペース配分を間違え辛そうだった。


俺も水を頭からあおり魔物の解体は三人に任せ義兄さんたちを診察しているオンブルの元へ向か・・・



「人族モドキが触るな!」



・・・・おうと思ったところで迷宮内に怒声が響き渡った。


騒ぎの元へ向かうと義兄さんと二人の貴族、そして貴族私兵の計10名がオンブルへ武器を抜き構えていた。


帝国兵たちは義兄さんに命令されたのだろうか、手を出さずに円になって見ているが、その両手は固く握られ血を滲ませる者までいる。


徐々に騎士たちから怒気が漏れ始め、騒動の主たち以外は誰もこの状況をよしとしていないことが伝わってくる。



「ですから、お渡ししたポーションで動けるまで回復したか確認をしたいのです。別に貴方方に攻撃しようとしているわけではありません」


「黙れ!エルフなどという人族モドキが高貴たる私に触れるなというのだ!」


「ですから!迷宮を脱するためにも行動可能かどうか調べる必要が」


「弟に勝つためにも脱出はしない!わかったらとっとと貴様たちが持つポーションを全て寄越せ!」


なんだかおかしな方向に会話が進んでいくな。


まさかこのまま進むつもりか?無理だ。


ここから先の階層は魔物の数も強さも更に高くなり、ここまででほぼ壊滅状態になるようでは、いったい何万本のポーションを用意すればいいんだ。


いくら回復しても肉体だけで精神は癒されないし、一撃死したらそもそも回復すらできない。


殿下や貴族、貴族私兵以外の帝国兵の装備はボロボロで鎧の一部が破損し役に立たなかったり、武器すらもっていない者もいる。


このような状態で進むということは、彼らに自分の名声の為に死ねといっているのと同義だ。


その証拠に、義兄さんの口から出た言葉に反応した騎士たちの怒気が殺気へと変わり始め、辛うじて形が残る武器を持つ者はついに柄に手をかけだした。


このままじゃ不味い。


一旦オンブルをリンたちへと戻らせ、入れ替わりで義兄さんの前に立ちなんとか宥めようとする。



「殿下、このままでは全員死亡は免れません。ポーションはいくつかお分けしますので一刻も早く地上へお戻りください」


「黙れ、武器を振るうしか能のない穢れた冒険者風情が!」


「・・・・我らが仕えるアルバ帝国は各国から《冒険帝国》と呼ばれるほどの国、さらに冒険者をまとめるギルドもアルバ帝国直営です。殿下の言葉は周り巡ってご自身を蔑視することになります」


「口答えをするな!そもそも私が皇帝になれば全て潰すのだから問題がない」



とうとう冒険者全員を敵に回すようなことを言い出した。


やむえなかったとはいえ義兄さんの精神を治療しなかったことが今になって後悔する。



「貴様は口答えせずにポーションを全て出せばよいのだ!」


「ふぅぅ・・・・できれば殿下自身に決意してもらいたかったのですが」



これ以上は何を言っても無駄なようだ。



「殿下、そしてその取り巻き達には皇帝陛下より強制帰還命令が出されています。即刻帰還準備を始めてください」


「貴様ぁ!誰に向かって言っている、立場を考えてからものを言え!」


「これは私を介した皇帝陛下直々の命令です。まさか逆らったりなどは・・・・・・いたしませんよね?」



最後は弱い威圧を込めるが効果は取り巻き達にしかでず、興奮状態の義兄さんには全く効かないようだ。



「・・・・・みが」


「なんでしょう殿下」


「ゴミが、ゴミがゴミがゴミが!!私に逆らう者は生きる価値すらない!目の前から消えろぉぉぉ!」



ついに怒りが振り切れた義兄さんが煌々と輝く大剣を抜き、俺目掛けて斬りかかって来る。


俺はそれをサイドステップで避け大剣を踏みつけて奪い、軽く押し後ろへ追いやった。


押された義兄さんは後方で見ているだけになっていた取り巻き達にぶつかり、今自分が何をされたのか気づくとさらに顔を赤く染める。


もはや正常な判断ができないのか、感情のままに刃こぼれ一つなかった大剣を地面に何度も叩きつけ、必死に我慢していた騎士たちへと喚き散らすその姿は到底未来の皇帝とは呼べたものじゃない。



「何をしている!はやくこのゴミどもを始末しろ、役立たずが!」


「そ、そうだ!貴様たちは我々を守るためにきたのだろう、先ほどランバ第一王子様を攻撃したぞ!」



義兄さんの言葉に勢いを得たのか、先ほどまで黙って腰を抜かしていた取り巻き達は騎士たちと俺を罵倒し始めた。


さすがに彼らも抑えが聞かなくなり武器を構えるが向ける先は俺ではなく義兄さんたち、更にリンたちもこちらへ向かってくる。


ディーとリンの表情からおそらく会話が聞こえていたのだろう、まるで汚いものを見る目で見ているのが遠目でもわかる。



「申し訳ありません、しばし眠っていただきます」



本当に反乱が起きそうになる前に、圧縮した魔力の球を義兄さんたちの頭部へと直接叩きつけた。


魔法を形成する前の純粋な魔力のみの攻撃なので衝撃だけが脳を揺さぶり、義兄さんたち全員を昏倒させる。


魔力を直接見る《魔力視》を持たなければ、見た目に頭に触れる直前で手を止めているので傍からは迫りくる勢いに気絶したように見えるだろう。


縛ってでも連れ戻せと言われているから軽く押すくらいは許容範囲になるが、後で貴族たちがうるさくなることが容易に想像できるからあえてこの手を使ったが、通用するかは疑問だ。


思考力の高い人間という生き物は意味を、理屈を、そして異種族を、様々な力を使い捻じ曲げる生き物だからな。


立った状態から崩れ落ちた義兄さんたちを地面へと寝かせると、最初に話した騎士が俺の前まで近づき頭を下げた。


「これから殿下たちを連れて地上へ戻る、騎士たちはすまないが手伝ってくれ。もちろん害をなすことはダメだ」


「‥‥‥しかし、彼らは命の恩人である貴方たちを殺そうとしました。それだけでなく我々まで‥…」


「だからと言って怒りに任せて動けばお前が彼らと同じになるぞ、いいのか?」



自分の為か、人の為か、目的は違えどその先にある結果は変わらない。


正しい行動など、どこを探せどありもしないのだから。



「レイヌさん、戻るのはいいけどポーションとかは持つのか?」


「問題ない、万が一を考えてそれなりに用意はある。ただ暑さを和らげる薬品は思っていたほど使いで心もとないが、このまま進めば結局足りなくなるだろう」



傍まで来たディーからの疑問に偽りなく不安はあると回答する。


この理由は迷宮の異変から来ることだ。


色付きの種類が増えただけでなく、実は一層目から前回より熱気が増しているのだ。


効果が切れたらすぐに飲むなんて使い方は想定しておらず、用意した素材の限界まで量を作ったがそれでも足りない。


行けるところまで行き帰ろうにも、このままでは義兄さんや取り巻き達のような貴族がまた迷宮に入ってくるだろう。


そのたびにこんなもめ事を起こされては最悪国が一つ無くなる。


だから仲間たちには悪いがこのまま進み攻略することにする。


こうして俺はこの場にいる全員から了承を得て一度地上へと戻った。






道中は行きとは違いゆっくりと進み、騎士たちを宥めながら歩いた。


義兄さんたちの言動で怒りに燃えた彼らはなんとかその気を静め、1日かけて脱出した時には肩を組み喜び合っていた。


義兄さんの護衛を含め、一度帝都へ戻り準備をし直すかと入り口でずっと俺たちを待っていたライズに聞かれたが、翌日には再度迷宮へ戻る旨を伝え彼が直接護衛に回ることとなった。


このあたりの高ランクの魔物は粗方討伐済みだ、戦力に不足はないだろう。



次の日、未だ眠る義兄さんたちを馬車に乗せ隊列を組むライズを見送り、俺たちはもう一度迷宮へと足を向けた。

ダリエラ 「・・・ねぇ、足りないってあのス~っとしたのも?」

レイヌ  「そうだな、たぶん終盤は《耐熱上昇薬》すらなくなるかもな」

ダリエラ 「・・・私帰ってもいい?」

レイヌ  「殿下と一緒でならな」

ダリエラ 「・・・やっぱり残る」


随分と嫌われたようで。まあ当然でしょうね!


―――今回の取得スキル―――


魔力形成 S

精密魔力操作 S→SS

魔闘技 B


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