1話 降りた神様、そしてドラゴンと出会う
2018.1.31 いろいろと編集
ゲートを抜けるとそこは・・・・火山の洞窟でした。
暑いと思いながら壁に張り付く天然のガラスに自分の姿を見る。
髪は目と耳が隠れ、後ろは肩くらいの銀髪で顔は見えないが変わっていなければまぁふつうだろう。
恰好はゴワゴワと着心地の悪いシャツにやぼったいズボン。
え~と武器は・・・右の腰には鈍く黒光る鞘に収まる大太刀があり、左腰には古めかしい黒い杖がある。
そんなふうに考えながら見回し、ふと気づいた。
すぐ横の足元には溶岩が流れていて、とてもじゃないがこんなに普通に立っていられるはずではないのに暑いと感じる程度しか熱を感じられない。
「どういうことです?」
この不思議な感覚に頭を悩ませていると頭の中で「ポーン」という機械音が響いた。
「もしもし?きこえますか?」
「えぇ、聞こえます。ルルですか?これが貴女の言っていたホットラインなのですね。」
「はい。《神格念話》というスキルです。なにかありましたら頭の中で呼び掛けていただいたらすぐにでられます。」
「そう、わかりました。ところで私は火山にいるはずなんですが、そこまで暑くないのです。なぜかわかりますか?」
「それでしたらステータスと念じてみてください、この世界ではそれが合言葉です。そしたらわかると思います。ついでに便利そうなスキルもいれましたので確認してください。」
ためしにステータスっと考えてみると目の前にウィンドウが出てきた。
―ステータス―
名前 レイヌ
性別 男
年齢 15
種族 人
職業 村人
レベル 9999
HP 998200/998200
MP 1122000/1122000
攻撃力 25600
防御力 23540
瞬発力 23980
魔力 31030
知識 5001240
幸運 29640
スキル
・無限収納・神格念話・環境対応・脳内地図作成・言語理解・神剣術SS・完全自然回復SS・鑑定SS・偽装SS・神魔術SS ・発見SS
称号
降り立ったもの
―――――――
なるほど、環境適応のスキルのせいか。
だが・・・
「ちょっと待ちなさい」
「な、なんですか?そんなに怖い声を出して・・・」
「私の力は封印したはずなのに、なんですかこのレベルは!?他の値もおかしいですね!?いや、それとも現代はこれが普通なのですか?」
「しょ、しょうがないじゃないですか!主長様のもともとの力が桁違いなんですから!!」
たしかに前々から他の神と比べ強かったですがいくらなんでもこれは・・・
「どうやら封師たちには強化が必要なようですね・・・」
「いえ、封師たちは今のままでも十分にすごいですから!?今の主長様の状態は包帯でグルグル巻きにして一つの惑星ができるくらいなんですよ?」
そうなのか・・・封師たちへの小言はやめておきましょう。
さて、とりあえずどこかに向かって移動しましょうか。
このような溶岩だらけの場所は正直いってかんべん願いたい。
暑い、臭いと正直不快・・・
「その件は終わりましょう。では私は移動しますからまたアドバイスお願いしますよ」
「はい、それでは」
ルルとの念話を切りとにかく出口目指し歩きだす。
まとわりつく暑さにへきへきしながら進むと視界の隅に光がポウッと浮かび上がった。
なにかと思い光に近づくと岩壁の一部が光っていた。
「なんですこれは?」
そう思いながら光っている部分を掘り出すと真っ赤な石だった。
目を凝らすと
【獄炎鉱石】 ランクA
【主に火山の奥にある鉱石。入手が非常に困難で火の魔力が多くこもっているため高級品。武器、防具の素材に使われる】
とでた。
なるほどこれが発見と鑑定のスキルなのでしょう。
歩くたびにあちこちに素材があるので集めるのが楽しくなってきました。
両手に抱えきれないほど抱え、どうしようかと悩んでいたが、そういえば無限収納というスキルを持っていたのを思い出し、念じながら持っていた鉱石を腰に持っていく。
すると黒い空間が生まれ、手に持った鉱石が吸い込まれていった。
これは便利だと思い次々と放り込んで素材を集めながら、どこにあるかもわからない出口へと歩いていく。
そんなことを続けていくと目の前に出口の光が見え始め、ようやく出られるかと歩くスピードを速めたが、その先の広場にたくさんの光が見え、
「お、あんなに素材があります!!」
とルンルン気分で走り出し回収していった。
『な、なんだ貴様・・いや、おぬしはいったい何者だ・・・ですか?』
一人しかいないと思っていた時の急な声に驚き振り向くと、やたらと生々しい見上げるほどの壁‥‥いや違う、身体をもった生き物がいた。
頭の中でなんの生き物か思い出すと暑さとは別に一気に汗が噴き出てきた。
「君はまさか・・・ドラゴン・・・」
火山の洞窟で出会ったのはドラゴンだった。
なかなかダンディーで渋い声だ。じゃない!
まずい、まずいまずい!!ここでのドラゴンはすごくまずい!!
たしかこの世界のドラゴンは最上位生物だったはず。
一方こちらはいくらレベル9999だとしても今はただの人間だ。
勝てるはずがない!!
どうする、せっかく世界の調整をしに来たのにきて即死亡で神界に送還なぞシャレにならないぞ。
『お、お~い。聞いている・・ますか?』
とにかくいったん相手のステータスをみて解決案を考えださなければ。
―ステータス―
名前 ヴィクシム
性別 男
年齢 5430
種族 炎帝龍
レベル 2510
HP 5200/26500
MP 0/68000
攻撃力 12560
防御力 10600
瞬発力 10950
魔力 11800
知識 21550
幸運 18200
スキル
・飛行・自動回復・火攻撃無効・火炎魔法SS・身体強化S・眷属支配S・土魔法A・威圧S・咆哮S・人化SS
称号
龍を統べる者
炎を操る者
―――――――
くそ!よりによって龍の中でも最上位種か。
これで勝ち目なんて・・・・・あれ?意外といけるか?しかもかなり弱体化してる。
・・・・やってみるか。
『お、おい。無視は・・・うぐぅぅぅ』
なんて考えているうちにドラゴンはドサッと倒れてしまった。
え?まだなにもしてないよ?といか土が!!倒れた際におきた風に舞い上がって土が襲ってきた!!
「くっ、なにかで盾を・・・そうだ魔法!え~と・・・ぺ、〈完全なる防御壁〉?」
唯一覚えている神魔法を唱えたとたん目の前に半透明な壁が現れた。
しかも範囲がでかい!?
この広場かなり広いが端から端までと天井まで壁が届いてる。
しばらくすると風はおさまり、パラパラと落ちる砂とドラゴンの「ヒュー・・・・ヒュー・・・・」と弱った息の音のみが広場に響いていた。
なんだかこいつがかわいそうに見えてきた。
「あの、大丈夫ですか?」
まだ勝てると決まったわけではないので、恐る恐る近づき頭をなでてみるとゆっくりと瞼がひらいた。
『う・・・気遣い感謝す・・・します。無念、我ももうここまでか。このままでは眷属たちが、この一帯が・・・』
「ずいぶんと辛そうですね。なぜここまで弱ってしまったのですか?」
『魔物だ・・・です。魔物がここまで襲いにきたの・・です』
「いや、慣れてないなら敬語はいいですよ」
『そ、そうか。ではすまないがこのままでしゃべらしてもらう。だがおぬしも普通に話してくれ、なにやら無理をしているしゃべり方だ。上位者である貴方がそのしゃべり方だとこちらも困る』
「お、わかるか?昔はこんなしゃべり方だったんだけど今の地位についてから上に立つ者のしゃべり方じゃないとか相方に言われて直したんだ。じゃぁ本題、ドラゴンのお前が魔物程度でなぜここまでの状態になったんだ?」
『300年ほどずっと休みなく襲われ続けたのだ。最初の100年は問題なかったのだがだんだんと疲れてきて動きも鈍くなりこのザマだ』
ドラゴン、いやヴィクシムはそういうと悔しそうに眉のあたりに皺をよせた。
相当くやしいのだろう。
「・・・これは-(マイナス)のリソースの影響なのか?さっき眷属がどうとか言っていたがお前が死ぬ眷属たちはどうなるんだ?」
影響がどこまで出ているかの確認として、知っている情報と比べるため話を振ってみた。
『大混乱がおきるであろう。互いに殺し合い、周りにも大きな被害が出る。この世界の生き物を調整する帝王の一匹である我が・・・なんとも情けない』
若干変わっているが、ただでさえ崩壊に向かっているこの世界が更にひどくなるのは予想ないだ。
これは無視できないな。
それになんだろう、こんなに悔やみ、絶望した眼を見せるこいつを放っておけない。
「わかった、今から回復してやる。だから眷属たちが暴走しないようにしてくれ」
すぐに神魔法の中から回復の魔法をさがす。
「〈神の慈悲〉」
ヴィクシムの下に大きな魔法陣が現れると白い光がヴィクシムを包み込む。
『む?おおお!!うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!力がみなぎってきおるわぁぁぁぁぁぁ!!』
あれ?やりすぎた?
ドラゴン大暴れ