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第四話 爆撃

昭和二〇年一一月二五日 ヒューシュリック大陸クラウス山岳地方支那派遣軍総司令部


 クラウス山岳地方のなかで東から西、横に広がっている山中、地下都市群の中心部である区域に、一〇五万の兵力と主な交戦勢力であった国民革命軍に対しては不敗を誇っていた支那戦線の全陸軍部隊を総轄していた総軍――支那派遣軍の総司令部が設置されていた。

 飾り物が一切なく、漂流に巻き込まれ無事な資料が入っている手作りの本棚と執務机しか置かれていない殺風景な部屋に、支那派遣軍総司令官:岡村寧次おかむら・やすじは責務に追われていた。

 ノックする音が聞こえてきた。それに気づいた岡村は誰が来たのだろうか? そんな疑問を抱いて口を開く。


「入れ」


 書類を持った副官が室内に入ってきた。


「お疲れ様です。閣下」

「世辞はいい……と言いたいところだが、本当のことだからな。課題が多すぎて目が回りそうだ」

「仕方ないですよ」


 岡村と副官は互いに苦笑する。

別世界に漂流してしまった今現在では、交戦する相手はいなくなったものの、臨時行政府と共同で、約数〇〇万の民間人の生命財産の保護、兵の士気の維持、自給体制の確立など前世界にいた頃と比べものにならない課題が山積みであった。

責任者たちは不眠不休で業務に勤め上げ、半ば生ける屍となりなりかけながらも、体制は何とか整おうとしていた。


「で、報告が届いたのだろう。また碌でもない報せだろうな」

「そうでもありません。良い報せと共に悪い報せが届きましただけです」


 副官の言葉に、岡村は余計に苦い顔をする。


「……悪い報せから言ってくれ」

「はい。北方にて消息不明となっていた偵察隊の捜索を行うために派遣された部隊が、偵察隊と襲撃したとされる敵の正体を掴みました」

「ほう。遺体か生存者かを発見したのか?」

「いえ、報告によると、地面と残された武器に大量の血が残されているだけで肉片すらも見つからなかったようです」

「時期的に考えて生存は絶望的だな」

「恐らくは……現地住民の証言から見て食用とするために連れ去られたと結論付けています」


 何とも言えない複雑な表情を浮かべながら穏やかではないことを発言する副官に、信じたくない否定したいかのように岡村は頭を左右に振った。


「何と猟奇的な、本当なのか?」

「証拠は見つかっていませんが、似たような事例が一〇〇年、二〇〇年前の昔に存在している模様です」

「敵は人間ではなく獣なのか?」

「獣と当てはめられるかは分かりませんが、今のところ確認されている敵です」


 副官は持ってきた書類を岡村のもとに差し出す。

 書類は、印象と大きさは異なるが、緑色の皮膚や醜い体形と顔立ちは共通している人型の動物が細部まで描かれ、その生き物の特徴が現地の文字で書いてある三つの羊皮紙、惨状が鮮明に映っている計一〇枚の写真、そして捜索隊が体験されたことが詳細に書かれている報告書であった。

 内容は――。

 偵察隊はゴブリン、オークに襲撃され、生き残りは食用として連れ去れた可能性がある。

ゴブリン、オークの死体が残っていないのは普段から死体を、飢えているときは生きている仲間を共食いする習性にあるので、持って行ったためと考えられる。

ゴブリンとオークのものではない大きな足跡が複数確認された。現地住民の証言によると、もしかすると二種よりも巨体で凶暴であるトロールがいるかもしれない。

集団は西に移動していた。冬越しと繁殖を行うために西部にある山中、地下都市や洞窟群を目指していると思われる。

 ――と、岡村にはにわかに信じられないものであった。


「詳しくないが、絵本とか小説とかに出てくるものだな。本当に実在するのか?」

「閣下、ここは元の世界とは違いますよ」

「ふむ。確かに君の言う通りだな」


 副官のその言葉に岡村はとりあえず納得することにした。そうしないと先に進めない、それに加えて、もしそれが現実なものであったのなら逃避してしまえば取り返しのつかないことになるからだ。

 軽視した場合の悪影響を考えると、信じたくないことを信じる、現実だと思いたくないことを受け入れざるをえない、でも単なる杞憂なのかもしれない、そんなジレンマが存在するなかで指揮官は決断を行わなければならないのだから辛い仕事であった。


「……ならばこの生物群を、緑色の皮膚をした我々に敵意を持っているから《ミ号敵性生物群》と仮称するか」

「了解いたしました、閣下」

「この怪物共について第一一四師団司令部はどう考えているんだ?」

「脅威は芽が小さいうちに全力で潰そうと考えているようです。橋を爆破したため、工兵隊が吊橋を敷設するまで地上戦力を送り込むことが不可能なので爆撃を要請しております」


 支那派遣軍のなかで最北端に配備されている第一一四師団の新たな脅威に対しての態度に岡村は驚きを隠すことができない。一体何を考えているのか? そんな疑問を抱くが、今はそれを問うときではないと判断し、必要なことを問うことにした。


「大きく出たな。貴重な爆薬と燃料を消耗するに足る脅威なのか?」

「時期的には冬が近いです。初雪が降ればあっという間に吹雪となり何もできなくなります。報告書に書いてあるように、ゴブリンを始めとしてミ号敵性生物群は冬越しと同時に繁殖を行います。春となり大規模勢力となって南下されるのは何とかして避けたいと考えているようです」

「……確かに放置した方が高くつくな。しかし、気象部から天候が少しずつ不安定になりつつある。二、三週間後には初雪が降ってもおかしくないと報告が届いている、敵性生物群を完全に掃討することができるか?」


 冬、岡村にとってそれが大きな懸念材料であった。

 この地の冬は満州や朝鮮半島に匹敵する過酷さのようだ。まだ経験していないのでよく分かっていないが、一ヶ月以上も雪が降り続き吹雪いたり吹雪かなかったりの繰り返しらしい。冬ごもりできる場所を発見できずに冬を迎えたら……そう考えるとゾッとする。

 いつ来るか分からないままで作戦を実行し、引き際を見誤って遭難し吹雪に包囲されて部隊が壊滅する、八甲田山の二の舞いは避けたかった。


「閣下の懸念について、第一一四師団司令部は完全に掃討をできなくとも、可能な限りの漸減を行えれば来春の脅威度が下がると主張しております」

「第一一四師団司令部の主張には一理はある。よし、そう言うのならば、私も腹を括って指示を下そう。航空部隊の状況はどうなっている? 何機、すぐ戦場に投入が可能だ?」


 漂流当初、支那派遣軍に所属していた第一三飛行師団隷下の航空部隊は飛行場が消失したことで機能不全に陥ってしまった。

 復旧するために、人間と同じく漂流した軍の装備品に含まれる戦闘機や爆弾、機銃弾、保守部品など物資を収納する格納庫、武器庫、倉庫、離着陸するために滑走路、指示を行うための指揮所など、飛行場設営隊総出で建設が進められていた。自給体制の確立と同様に、飛行場の完成は早期に解決するべき最重要課題であった。

 そのため、建設が行われている三つの大規模飛行場はあともう少しで完成という見込みが立てられていた。開始されてから僅か二〇日以上、いかにハイペースかと言うことが分かる数値であった。


「運がいいのか悪いのか、戦闘区域に一番近い草薙北方飛行場は八割半が完成、航空機の離発着が可能となっています。航続距離と稼働率を考えまして、一式戦六機、四式戦四機、九九軽爆九機、一〇〇偵二機が投入可能です」


 投入できる戦力としては多いのか少ないのか岡村には分からなかった。だか、それを口にしても現実は変わることはないので言うことはしなかった。戦力があるだけまだマシというものだ。

 少し思案した後、岡村は思い切った判断を下すことにした。


「全機爆装させそれを終え次第、偵察機を優先に離陸させて手にした情報を基にして空爆を実行させろ」


 偵察機の離陸を優先させたのは現場の状況を可能な限り把握することで効率的な空爆を実現させるためであった。


「了解いたしました。ただちに第一三飛行師団に伝えます」


 と言って副官は部屋から出ていった。室内で一人となった岡村は独り言を漏らす。自分の内心にあるちょっとした不安を。


「この世界に来て初めてしかも山岳での空爆、上手く行けばいいが……」


 言い終えると、不安を抱いても仕方ないと思い思考を切り替えた。航空戦のプロである第一三飛行師団司令部と現場の搭乗員たちを信じ、岡村は結果を待ち責務を果たすだけであった。

 そのために、伝達を終えて再び戻ってきた副官に問いかける。決断する際に可能な限り良き判断ができるよう情報を得るために。


「それでいい報せは何だ?」

「武器庫だと思われる倉庫にあった武器の一部、主に手投げ弾ですが使用可能だということが確認されました」

「何、本当か?」


 先住者が残した遺産の一つが使用可能なことに、岡村は関心を大いに持ってしまい、興奮混じりの声を出して眉を吊り上げた。



 支那派遣軍総司令官が第一三飛行師団に空爆の命令を下してから一時間半後の二時三二分。北部の空に、胴体に日の丸が描かれている航空機が飛翔していた。

 一式戦闘機“隼”四機、四式戦闘機“疾風”二機からなる戦闘機隊、九九式双発軽爆撃機四機からなる爆撃機隊で構成されている第一爆撃隊だ。


「見えたぞ。コイツらか……偵察機の言う通りだな」


 第一爆撃隊総隊長兼爆撃機隊隊長の米林中尉は、動く緑に埋め尽くされた山道を見て呟いた。見える光景はまるでアリの行進であった。一つの生き物のように思えるこれが、無数のゴブリン、オーク、トロールと言う小さな生き物で形成されているから驚きである。

 緑が西に向かって動いている――先に離陸し情報収集を行っていた一〇〇式司令部偵察機からの通信に、彼らの正気を疑ったものの本当のことだったようだ。

 別の世界に漂流してから様々なことで驚愕、面喰った記録があるのだが、動く緑で何度目なのか米林には分からなくなっていた。また、ここは異世界なのだからまあ仕方ないかと慣れている自分が存在していることに今さら気づき軽く戦慄してしまう。

 感傷に浸るのはこれ位にして、この動く緑が指示された攻撃目標なのか確認するために自機の降下を爆撃隊各機に向かって宣言しようとした瞬間――。

 無線手の緊迫に滲んだ声が米林の鼓膜を震わせた。


「大変です!! 三番機が左翼エンジンに異常が発生し、エンジンから黒煙が出て機体の姿勢が不安定になっています!!」

「何!! あと少しで攻撃ってときに不調が出たか……仕方ない、草薙飛行場に帰還させろ」


 苦りきった表情を浮かべて米林は三番機に指示を出す。

 戦力低下は痛いが、転移した本土から遠く離れているため無線以外の連絡が取れず、そのため損失した航空機の補充はすぐには見込められない第一三飛行師団の現状を鑑みて、なるべく未帰還機を出したくない上の判断であった。

 祖国を仇なす敵と戦うのに命を惜しまないが、こんな害獣駆除で命を賭けるのは馬鹿らしい――それが米林の考えだ。決してこの任務を軽視している訳ではない、放っておくと帝国国民と交流を持ち短期間で深い関係となったドワーフの民にとって脅威となるのはあの動く緑で理解できていた。 

ただ、この戦いでは空から一方的に攻撃できる身分であるため戦っている実感を持てなかったのだ。米林は支那戦線でも恐ろしい敵であった米国航空部隊、米国などの連合軍の手厚い支援により強化された国民革命軍空軍と死闘を繰り広げた経験を持っている。だからこそなおさらだ。


「総隊長、三番機が右を横切ります」

 無線手の報告に米林は思考を一旦中断、米林が操縦する一番機を横切っている三番機の姿を確認する。確かにエンジンから黒煙が出し風に煽られて横一直線を描いていた。プロペラは辛うじて動いているが今にも停止しそうだ。さらに主翼がフラフラと動き不安定となっており、不安にさせる姿だ。

 その姿に見て、自分が下した判断は正しかったのか? 米林は不安になった。


「ふらふらだな。無事に帰れるか?」

「不安がっても仕方ありません。任務を全力に遂行しましょう」

「だな」


 無線手の言う通りだと思った米林は動く緑がいる地表をまた見つめる。


「……間近で確認する必要があるな。活気に一番機、降下して確認を行う。他の機体は待機せよと送れ」


 各機に連絡を送った後、一番機は降下を開始した。徐々に高度を下げていく。動く緑の姿はより鮮明となり、目を凝らさなくても一匹一匹の姿が分かるようになった。

 自分の双眸が捉えた新たな光景に米林は絶句する。ひしめいて同じ方向に動いているゴブリン、オーク、トロールの姿。徐々に大きくなる回転音に反応し大半が一番機に視線を向けていた。淀んだ双眸から発せられる視線が集中していると思い込んだ米林は、あまりのおぞましいバケモノ共の姿も相まって表現できない程の嫌悪感を抱き、その強さに吐き出しようになり口元を抑える。惨死体を間近に見る羽目になった陸兵はそんな気分になるだろうか? と思った。

 視線から逃げるように機体を上昇させた。

 待機していた他の機体と合流。無事に友軍と肩を並べられたことに米林は安心感を抱いたのか息を荒げ、このままだと過呼吸になるので落ち着かせるために息を大きく吐いて吸って整えさせる。

 落ち着くと、手が震えて顔が青ざめている無線手に問いかけた。


「見たか!?」

「はい、間違いありません。しっかし、凄い数ですね。手持ちの爆弾で全て始末できますかね?」

「できなかったら戦闘機で機銃掃射をすればいいことだ。爆撃機隊全機に連絡。爆撃を開始せよ!!」


 米林は一番機を再び降下させる。二番機、四番機は事前に打ち合わせた通りに互いに距離を取って分散させ急降下していく。

 高度が急速に下がっていき、景色がみるみるうちに拡大する。常人ならば必ず抱く“ぶつかる”という恐怖心は支那戦線で経験を重ねていったことで麻痺……もとい慣れているので操作を間違える新米のようなヘマを米林はしない。

 胴体下部に存在する爆弾倉内で投下されるときを待っている二五〇キロ爆弾二発が地表のどの位置に着弾するのか、風向きと風量、気圧などから確認。想定よりも異なっていたため機体をずらすことで修正を図る。

 

「一〇(ヒトマル)」


 高度一〇〇〇メートルを切ったことを無線手が宣言する。続いて一番機がどの高度にいるのか淡々とした口調で彼は報告を行う。


「〇ニ(マルニ)」

「てっ!!」


 この位置に着いたぞと言わんばかりに一段と高い声が無線手の口から飛び出た瞬間――米林は甲高い声を出しながら投下レバーを勢いよく動かす。

 開放された爆弾倉から二五〇キロ爆弾二発が落下した。

 下から浮き上がるような感覚を米林は抱く。一気に軽くなったためその反動で機体が浮き上がったのだ。それについつい経験からできた癖が反応し操縦桿を手前に引いて機体を上昇させる。

 対空砲火はなく、それどころか敵からの反撃が一切ない、実戦なのだがまるで急降下爆撃の演習と変わらないなと米林は内心で苦笑する。


「二番機……四番機が投弾を行いました」


 後部銃座にいる射手から報告が届く。これで計六発の二五〇キロ爆弾が緑色の集団目がけて投下されたことになる。

 これだけの爆弾でどれだけの数を仕留められるだろうか? と思いながら米林はスロットルレバーを操作し機体の速度を上げた。急な加速によって身体が重くなった。


「全弾命中、目標を吹き飛ばしています!!」


 後部銃座射手が弾んだ声で米林に報告を送る。

六発の爆弾はほぼ同時に炸裂した。

それによって生じた爆風とそれに煽られて殺傷性のある凶器と化した破片がゴブリンをミンチにしオークの上半身を吹き飛ばし、爆炎がトロールの表皮を焼き尽くす。また山道なので周りにある山々が壁となって衝撃を反射し肉体に悪影響を与えた。

爆音という大音量によって混乱したトロールが暴走し周りにいたゴブリンを突き飛ばし、暴走から逃れようとしたあるゴブリンの群れは崖から転落、とあるオークの群れはゴブリンを圧死させるなど、惨めで惨たらしい死体が生産されていく。

高い位置におりしかも急速に上昇しているために、後部銃座からでは地上の惨状を詳細に確認することはできない。ただ、爆撃機隊によって吹き飛ばされ、黒煙と炎に包まれ、何かの集団が追い詰められて次々と崖に転落されるなど、動く緑の生物たちが蹂躙されることしか分からないため報告は簡潔なものになるしかない。

しかし、米林にはこれだけで十分であった。状況がある程度簡単に理解できれば良かったのだ。次の報告も分かりやすくて想像できた。


「まだ生きている奴らがいます」


 爆撃機隊は全ての爆弾を投下してしまった。ならば打つ手は一つしか存在しない。迷いない声で米林は指示を出す。


「戦闘機各機に電送。突入せよ!!」


 一式戦が、四式戦が次々と動く緑に目がけて降下していく。

各戦闘機は目いっぱいに接近する。操縦する搭乗員たちが適度の高度となったと判断するいなや、隼の主翼にある一二.七ミリ機関砲二門、疾風の主翼にある二〇ミリ機関砲二門、機首にある一二.七ミリ機関砲二門が火を噴き始めた。

銃口から放たれた砲弾は火箭となって無数と思える火箭らは真っ赤な雨となって動く緑に降り注ぐ。触れたり掠ったりしたものを次々と殺傷していき、なぎ倒していった。米軍の航空機に散々やられて民間も含めて多大な被害を受けた機銃掃討を日本側が実行しているのだ。

派手に暴れている姿は米林がいる位置でも確認することができた。銃声は途切れることはなかった。


(撃っている搭乗員連中は今どんな表情をしているのだろうか?)


そんなことを内心で呟いた米林の顔が歪む。

痛い目に遭わせられたのに立場が変われば敵と同じことをやっている。何たる皮肉だろうか。例え人ならざる相手で害を及ぼしているとはいえ複雑な気分となる。

銃声が止まってしばらく経つと、無線手が口を開く。


「戦闘機隊から電信。各機、撃ち尽くしました。敵の被害は甚大、山道は敵の死骸で舗装されたり……あっ、第二爆撃隊から電信です。編隊各機、敵性生物に爆弾を投下し銃弾を撃ち尽くしたり。新たな集団を確認するが弾薬がないため対処することができず、です」

「結構な数がいるようだな。各機に電送。ただちに草薙飛行場に帰還せよ」


 指示を下す米林は航空機よる駆除は有効であるが限界を悟った。航空戦力が不足しているのだ。可能な限り努力しているが取り残しは出てくるだろう。どれだけ間引きを行い、地上戦力の損害がどれだけ減らせるかが航空部隊に今課せられた任務であることを改めて認識する。

 これから当分の間は忙しくなるなと米林は思った。まあ退屈な地上でくすぶりながら故郷を戻る日を待っているかよりはマシだなと考えを改めた。

 編隊は草薙飛行場がある方角に向けて帰還を始めていた。

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