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第3話



夜の23時を回った頃、先に口を開いたのは

真二さんだった。


「今日はそろそろ切り上げようか。」


ニコッと微笑んだ。

「てか、真二先輩って酒強すぎっすよ!俺かなり酔ってるんすよ?」


爽やか青年の涼が絡み始めた。


「お前ら男どもの面倒見んのは俺なんだよ。一緒に酔ってどうすんだよ。」


笑いながら涼に言い返す。


「涼は…どうしようもないっすよね…」

一馬も口を挟んだ。やはり軽く酔っているようだけど

クールな話し方は変わってなかった。


「うちらも終電とかあるしね。」

姉御肌のあかりが淡々と話している。


「あかりチャンて酒強いんだねぇ〜。」

涼が感心するようにつぶやいた。


「まぁね。」


あかりは

フフンと笑った。


「あかりは涼より酒強いっつの!」


横から酔って饒舌な楓がケラケラ笑いながら言った。


みんなで笑った。

あっという間の

飲み会を惜しむように―。




ゾロゾロと店を出ると外は寒くてブルブル震えた。



「じゃあ、お疲れ様。気をつけてね。」


「また飲み会やろーねぇーっ!」


「ばばーいっ!」



ハイテンションの楓と涼が

お互いに叫んでいたのが印象的だった。


「楓ってば元気すぎだよね」

あたしは笑いながら、あかりに話しかけた。


「こっちは大変だっつーのに!」

あかりも笑いながら答えた。


「普段から、これくらい明るければいいんだけどね〜…」

あかりがつぶやいた。


「ねぇねぇ!楽しかったぁ?いい男いた?」

楓が予想通り、うちらに絡んできた。


「楓サンうるさいんですけどーっ」

あかりが笑いながら答える。



「うちらも小学校からの付き合いだけど、変わんないよねぇ…」

あたしは、ぽつりと言った。


「あかりはクラスでリーダー的な存在だったし、楓は歌が上手くて注目されてたしさ。…あたしは地味だったなぁ」


「優だって、みんなに囲まれてたじゃん?」

楓が言う。


「あたしは、八方美人だっただけだよ。いつも嫌われたくないって思ってたからさ。」

あたしは答えた。



「―…色々あったもんね。」

あかりも口を開いた。



「うんー。」






「じゃ、また今度ね!お疲れ―!」




家に着いたのは

夜23時半を回った頃。

夜は不思議な感じがする。

時に不安を与えるような時間が流れてく。

思い返す、過去の出来事―。



いつも

誰かに憧れて

いつも

自分が嫌いだった。

誰かに

嫌われるコトが

怖いのは

今も変わってない。


全てを

さらけ出せるほど

あたしは

強くなんてない。


玄関を抜けて

お風呂場に着いて

洗面台に立った

あたしの姿は

弱々しい。


こうやって

改めて見る姿は

やっぱり嫌。

まわりを気にして、気を使ってる。どこか怯えたように、本音で話し合える人も少ない。


今は、それで良かったと思う。

だけど、あの頃は―…。




「…しっかりしなきゃ。」

あたしはバシャバシャと顔を洗った。







「なぁ、火ィ持ってない?」

真二が一馬に聞く。

「どうぞ…」

一馬がライターを差し出した。


「お前ら帰れるか?タクシー代出すけど」

いつものように、くわえ煙草をしながら真二が財布を開くと


「いや、二人分なんて悪いっすよ!一馬は俺んとこ泊まってくんで!」

涼が遠慮した。


「男二人で今日の反省会でもすんのか?」

クスクス笑いながら真二が聞いた。


「えっ!!んなわけないですって!!」

慌てて涼が答えた。

「冗談だよ。」

フーッと煙を吐いて真二が笑った。


「お前ら心配だから持ってけ。じゃあな。」

涼にタクシー代と一馬のライターを渡して、真二は帰っていった。


「お疲れ様っす!」二人は頭を下げた。


「カッコいいよなぁ、真二さんて…」

一馬は煙草に火をつける。

「カッコ良すぎだろ〜」

涼が答えた。



「また飲み会したいなぁ〜…」

涼はぼやいた。


「また楓に頼めばセッティングしてくれるんじゃねぇの?」一馬はプカプカと煙草を吸っていた。




誰かが

言ってた気がする



出会いは貴重だ。




あたしは

バスタブの中で

今日の出来事を

思い出していた。


楓とあかり

涼くんと一馬くん


そして

真二さん―…



この出会いが

大切な思い出に

なったのは

きっと

あたしだけじゃないはず…。



自分に

問いかけた。



貴重だった?と―…。


次回も頑張ります(・ω・)

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