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第一部 【エピローグ】そして、政は続く

2作目でござる。いったんこのエピソードにて完結する所存。

 放課後の図書室――そこは、かつて“評定所”と呼ばれた場所。


 今や正式に“令和幕府部”として活動許可を得たその一角では、今日も田所将宗が机に向かっていた。


「“新入幕志望者、来月より募集開始”……ふむ、そろそろ入門試験の策定も必要か……」


「だから、単なる部なのよここ……」


 藤宮柚葉があきれたように言いながらも、隣で次の広報ポスターを描いている。


 風魔一雅は棚の裏で“忍者育成カリキュラム案”を構築中だ。


「殿、数学的戦術思考の導入を試みた結果、連立方程式に敗れ申した……!」


「それはただの勉強だぞ、風魔」


 笑いが広がる。


 そこへ、扉が開いた。


「失礼する」


 現れたのは――氷川清志。新たな生徒会長としての貫禄を纏いながらも、どこか柔らかい表情で立っていた。


「来月の生徒会・幕府合同企画、話を詰めようか」


「おお、御公儀と幕府による“二重政権協議”、ついに始まるか!」


「だからそういう言い方やめなさいって」


 だが、誰ももう驚かない。


 “ふざけた将軍ごっこ”は、いつしか学校の日常に溶け込んでいたのだ。



 帰り道、夕焼け空を見上げながら、田所は呟いた。


「拙者、ついに“政”に至った……」


「いや、まだ入り口でしょ。それにさ――」


 藤宮が言う。


「中学も、あと一年。時間は限られてるよ」


「うむ、承知しておる。されど拙者は、“高校幕府設立”という大望を抱いておる!」


「お前、また次の戦場探してるのか……」


 風魔が苦笑しながらつぶやく。


 だが、田所の目はきらめいていた。


「政とは終わらぬ旅路。令和の世に幕を引くは、まだ早い!」


 背中に夕日を受けて、彼は高らかに言い放った。


「次なる戦場は――高校だ!!」


 その声は、夕暮れの空へと吸い込まれていく。


 そして、風の中に微かに響いた気がした。


 **「我こそは、次代の将軍なり」**と――


 


 ――『令和幕府開府日記』第一部 完


 (つづく)

最後までお読みいただいた方どうもありがとうございました!

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