表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/15

第12話(生徒会選挙編①):政(まつりごと)へ出陣!幕府、選挙に挑む!

2作目でござる。毎日エピソード更新する所存。

 それは、秋の終わりに届いた一通の文書から始まった。


 ――生徒会選挙、告示。


「来たか……決戦の刻が」


 田所将宗、自称・征夷大将軍。

 彼は資料室の一角、自作の“政庁”スペースで膝をつき、巻物(Googleスプレッドシートを和紙風印刷したもの)を広げていた。


「これはつまり……拙者に、“真のまつりごと”へと進めという天啓!」


「殿……まさか、出馬するおつもりで?」


 参謀・藤宮柚葉が口元に手を当て、眉をひそめる。


「当然であろう。これまで我らが築いてきた幕府の実績、戦、文化、そして萌え政策――すべてを次の段階に押し上げる好機ぞ!」


 風魔一雅、腕を組んでうなずいた。


「“風”が……吹いている……選挙勝利の風が……!」


「いや、窓開いてるだけだからね」


 藤宮が冷静に突っ込むも、もはや止まらない。


「この選挙、すなわち“政道の本陣”! 幕府が“ごっこ”でないと証明する時!」


 田所の目が、かつてないほど本気だった。


 ◆


 放課後。選挙管理委員会の前に並ぶ立候補者たち。


「生徒会長立候補者――田所将宗!」


「まさか、本当に出したのか……」


 氷川清志。現・生徒会長、学年トップの“常識の砦”。

 前回の文化祭で“ツンデレ正妻”扱いされたトラウマを乗り越え、今回も出馬を決めていた。


「将宗、お前……遊びじゃないんだぞ、選挙は」


「うむ。拙者も、それを重々承知の上。もはや“遊び”では、ここまで来られぬと悟った」


「……」


 その眼差しに、氷川は一瞬、言葉を失った。

 ふざけているようで、実は誰よりも“本気”。それが田所将宗という男だった。


 ◆


 翌日。


 生徒会選挙の掲示板に、ポスターが並ぶ。


 【氷川清志】

 「実績で語る、生徒第一の政」


 【田所将宗】

 「令和幕府、いざ公職進出へ! 天下布政!」


 そしてその横にあった副題に、皆が足を止めた。


 《討幕か?共闘か? 幕府vs生徒会、最終章へ――》


「副題が漫画かよ!!」


 校内に、再び爆笑とざわめきが巻き起こる。


 ◆


 選挙戦、開幕。


 田所陣営は、戦術会議(※図書室)を開始した。


「票田の攻略を考えねば……! 剣道部、演劇部、美術部は親幕派。しかし、野球部と吹奏楽部は中立……」


「学食の常連に“将軍割”導入で票を集めよう」


「風魔、なにその買収くさい政策!」


「否、これは政略――“胃袋外交”だ」


 一方、氷川陣営も動いていた。


「幕府の影響力が拡大しすぎた。もうネタで済まされないぞ」


「会長、田所は前回の文化祭で票を稼ぎすぎました……。あと、“将軍グッズ”が地味に人気で……」


「公式マスコット“たどころまさむね君”のLINEスタンプ、学校内1位です」


「ぐぬぬ……!」


 理性と真面目を武器にしてきた氷川にとって、田所の“熱狂と混沌”は最大の難敵だった。


 ◆


 選挙演説会当日――体育館。


 壇上に立った田所は、堂々と語り始めた。


「拙者、田所将宗! ここに、まつりごとの覚悟を以て、立候補を表明する!」


 観客、くすくすと笑う。

 だが、すぐに静まり返った。


「拙者は、ただの戦国オタクでござった。だが、文化祭で学び、SNSで叩かれ、先生に正座させられながら、こう悟った!」


「政とは、民の声を聞くこと。ふざけながらも、真剣に応えること!」


「ふざけてるようで、真面目に、真面目すぎてふざけて見える――それが幕府の政道!」


 ざわつく会場。


 風魔の目が潤む。


「……殿、かっけぇ……!」


 藤宮もつぶやく。


「なんか……本当に、変わったね。あの頃の“戦国バカ”じゃない……」


 一方、氷川清志は静かに拳を握っていた。


「面白い。なら本気で叩き潰す。遊びでも狂気でもない、“理性の政”を見せてやる」


 田所が舞台から降りたその時。


 会場から、一人の生徒が立ち上がった。


「追加立候補を表明する!」


 現れたのは――五十嵐士門。


 「面白そうだから、俺も混ぜてくれよ。“再生数でまつりごとを測る系男子”としてな!!」


 まさかの三つ巴!


 田所、氷川、そして五十嵐――


 “令和最大の政戦スクールウォー”が、今始まる――!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ