登場人物紹介
後書きにオマケ有ります
☆登場人物紹介3
【ズーラウンド王国】
○シーラ・ランツ
16歳
このお話の主人公、伯爵令嬢、第二王子の婚約者、遂に女傑の仲間入りか
ふわふわとした赤茶色の髪に、薄緑色の瞳、猫のような釣り目
一見すると大人しそうな女の子に見える平凡な伯爵令嬢
英雄や女傑が好きで自国の英雄ヘクトール・グリズリーとジクトール・グリズリーを尊敬している
好きな花アコニツム(鳥兜)
羊羹と碁が好き
自称ジクトールの弟子
○アティカス・ランツ
41歳
シーラと同じ赤茶色の髪、最近頭部が気になる
不自然な胃の痛みと胸の痛みを感じる日々
ちょっと変わった思考をもつ娘や息子のせいで気苦労が多い
最近は長男と次女がシーラに似だして気苦労が倍になっている
子作りの才能だけはシーラに認められている
○セレナ・ランツ
36歳
シーラの母
現在妊娠後期で里帰り中(四人目)
○マティアス・ランツ
まもなく8歳
シーラの弟
カッコイイ姉と英雄に憧れている
○サーシャ・ランツ
まもなく4歳
シーラの幼い頃にそっくり
ジクトール・グリズリーのお嫁さんになるのが夢
○セティアス・ランツ
間もなく誕生0歳
シーラの二番目の弟になる予定
○ジェームズ・バード
16歳
シーラにひよこと名付けられた男の子
ふわふわな黄色い髪に黒い瞳
バード侯爵家の次男
本好き、酷い人見知り、クールなメガネ男子と呼ばれている
雄鶏になったとシーラに認められた
最近エブリンと婚約した
○サイラス・モンキナ
18歳
シーラにお猿と名付けられた男の子
貴族には珍しい暗い茶色の髪と琥珀色の瞳、手足が長く背も高い
モンキナ伯爵家の長男
元いじめっ子
ごぼうのような手長猿になったとシーラに認められた
○ヘクトール・グリズリー
享年81歳
ズーラウンド王国一の英雄
あだ名は熊将軍
大剣の使い手
シーラの初恋相手
○ジクトール・グリズリー
68歳
熊将軍の息子
あだ名は子熊将軍
王子の剣の指導者
シーラのセカンドな恋の相手
シーラの師匠
昨年妻を亡くされた
○ルーシー・ラトン
48歳
ラトン伯爵夫人
王妃の友人
ブレンダの母
○ブレンダ・モンキナ(ラトン)
20歳
ラトン家の末娘、しっかり者
サイラスの妻
シーラの友人
○ガブリエラ・ライオネス
48歳
ズーラウンド王国王妃
二人の息子がいる
次男の婚約者を自ら決めた
シーラを気に入っている
シーラのミューズ
孤高のメスライオン
○ウィルフッド・ライオネス
53歳
ズーラウンド王国国王
シーラにトウモロコシと呼ばれている
○ウィリアム・ライオネス
26歳
ズーラウンド王国第二王子
婚約を解消した過去有り
辛辣令嬢シーラ・ランツの婚約者となった
変態王子疑惑有り
シーラ曰くスケスケ好きらしい
○ウィルバー・ライオネス
30歳
ズーラウンド王国第一王子
ライオンよりなトウモロコシ
○グレース・ライオネス
28歳
ウィルバーの妻
白銀の髪
ビリジアン王国王女
シーラの中のヒロイン
○ヴァージル・ライオネス
8歳
ウィルバーとグレースの子供
トウモロコシの血を強めに引く王子
マティアスとは友人
○エブリン・レイヨウ
17歳
侯爵令嬢
気が強い
ツンデレ女子とシーラに思われている
シーラの心の友
初恋が実りジェームズと婚約
○エヴァ
?歳
変装名人、シーラの影の護衛
エヴァリン・ラットの偽名を持つ
偽夫はマイク
○グース伯爵夫人
49歳
王妃ガブリエラの友人
○フォアラ・グース
19歳
グース伯爵夫人の娘
貴婦人の心得を勉強中
○マイク・スクワロル(ラット)
?歳
ヴィオラの夫
実は王家の紐付き、間者
○スクワロル元伯爵
54歳
美人姉妹と呼ばれる娘達が自慢だった
自分に甘く、娘たちにも甘い
娘が問題を起こしたことで隠居した
○メロディ・スクワロル
26歳
芍薬の花のようだと言われていた、標準体型
ピンクブロンド、青い瞳、可愛いと美しいを兼ね備えている
第二王子ウィリアムの元婚約者
他国へ嫁いだ
○ルーナ・スクワロル
18歳
メロディの妹
シーラを恨んでいる
ウィリアムの運命の相手は自分だと思っていたが失恋
修道院へ行った後ウィリアムと名のつく年上の男と結婚した
○ウィリアム・バッシ
50代
ルーナの結婚相手
貴族と縁を結びたく、ルーナと結婚した
愛はない
○ヴィオラ・スクワロル
23歳
牡丹の花のようだと言われていた、背が高く美人系、ぽってとした唇が特徴、黒子あり
赤色の髪に、紺色の瞳
子爵家の子息と婚約解消の過去あり
スクワロル家の跡取り
男爵家子息と結婚(王家ひも付き)
肉食系ガゼル
【姉上からの贈り物】
ある日のこと、ランツ伯爵家に王家に嫁いだ長女シーラから荷物が届いた。
皆が集まるリビングで、父アティカスが荷物を開ける。
箱の一番上にはシーラからの手紙が入っており、アティカスが封を開けて読んでみれば、新婚旅行に行ったお土産だと書かれていた。
王都から出たことのないマティアスとサーシャの目が興奮で大きく見開かれる。
お姉様のお土産ならば間違いはない。
姉への期待値はものすごく高かった。
「マティアスには短剣だって……えっ? お土産に短剣?」
父アティカスが困惑した表情を浮かべる中、シーラからのお土産を受け取ったマティアスの目が輝く。
ズーラウンド王国の観光地であり、英雄の一人モンモタロの生まれた地モンモタウン。
そこへと遊びに行ったシーラは面白い短剣を見つけ、マティアスのために手に入れたのだ。
「えーと、何々、その短剣はモンモタロが鬼の首を落とすために使った短剣と言われているもので……えっ? お、鬼ぃー?」
「ふぅおおお! 鬼の首を落とした、モンモタロの短剣!」
興奮から変な声を出し始めたマティアスの掲げた短剣には紫のような気持ち悪いシミがあり、それを見たアティカスはゾクリと背中に悪寒を感じる。
まさか本物じゃないよね?
レプリカだよね?
半信半疑になるのもシーラのことをよく知っているからで、アティカスは笑顔を引きつらせながらマティアスに声をかける。
「えっと、マティアス……その短剣だけど……」
「はい! 一生大事にします!」
いわくつきの気持ち悪い短剣を嬉しそうに抱きしめるマティアス。
捨てるか、いっそシーラに送り返そうかと考えていたアティカスだったが、その笑顔を見て何も言えなくなった。
(シーラ、なんてものを送ってくるんだいっ!)
心の中で愛しい娘を責めるのが精一杯。
胃を押さえ、どうにか言いたい言葉を我慢する。
「おとうしゃま、あたくちへのおみやげはなんでしゅか?」
目に入れても痛くはない可愛い末娘のサーシャにせがまれ、アティカスは気持ちを切り替える。
シーラからの手紙に目を通せば「人形」と書かれていてホッとし、サーシャにお土産の箱を渡した。
「おぉう! おとうしゃま、おにいしゃま、ふしぎなおにんぎょうです!」
サーシャがキラキラした瞳で、開けた箱の中身を皆に見せてくれる。
その箱の中の人形は肩までのストレートの黒髪に、ぱっちりとした瞳。
そして民族衣装のような不思議なドレスを着ていて、まるで生きている子供のように精巧に作られていた。
「えっと、その人形は……呪いのイッチマー人形……の、呪いー?」
「ぬふぉお! のろいのおにんぎょうでしゅか? すごいでしゅっ!」
サーシャが生きているような気味の悪い人形を抱きしめ、大興奮して喜んで見せる。
マティアスが駆け寄り「よかったね、サーシャ!」と声をかけるが、何がよろしいのか分からない。
今すぐにでも捨ててしまえ、燃やしてしまえ! そう言いたいぐらいだ。
「サーシャ、その人形だけど……」
「はい、まいにちいっしょにねて、おともだちになるんでしゅ!」
(呪いの人形と一緒に寝るだなんて……)
サーシャの将来を心配するアティカスは、ふと呪いのイッチマー人形と目が合った。
(私を捨てたらあなたを呪うわよ……)
イッチマーの目がまるでそう言っているかのようで、恐ろしくなったアティカスはサッと目をそらす。
わーいわーいと喜び飛び跳ねる可愛い息子と娘を見ながら。
どうしてこの子たちは……と、シーラを含めたわが子たちの感性に頭が痛くなる。
「父上、父上へのお土産は何ですか?」
「ああ、そうだね……」
マティアスに声を掛けられ、まだ自分へのお土産があることを思い出す。
流石に毒などは贈ってきていないよね?
そう思い手紙の続きを見てみれば、「天女が作ったとされる衣装」だと書かれていてホッとする。
どうやらモンモタウンで売られている洋服らしい。
アティカス宛の箱を開けてみれば、緑地に白い渦のある不思議な柄の衣装だった。
「父上によくお似合いです!」
「おとうしゃまにぴったりでしゅ!」
「そ、そうかなぁ」
照れながら鏡の前で合わせてみる。
少しお風呂上りに着るバスローブに似ていて、今日から早速使おうと嬉しくなった。
「えーと、残りはセレナ宛だね」
ついでにセレナ宛の箱も開けてみる。
マティアスとサーシャも見たいというので掲げてみれば、そこには淡い緑地の薄くてスケスケで、ちょっと卑猥なナイトドレスが入っていた。
「おおお、これは母上の肌が見える衣装ですね! 父上、よかったですね!」
「ふぅおお、サーシャもスケスケがほしいです! おとうしゃま、サーシャにもスケスケのねまぎをつくってくだしゃい!」
興奮する子供たちの前、アティカスはババッと勢いをつけてナイトドレスを箱にしまう。
(確かにセレナには似合いそうだけど……)
子供たちの前でそれを口にすることはさすがに出来なかった。
「さすが姉上ですね! お土産の趣味も一流です!」
ふんすと握りこぶしを作るマティアスの横、アティカスはそうだろうかと疑問しかない。
「あたくちもじくとーるさまがよろこぶすけすけをみつけるのでしゅ!」
ふんすと握りこぶしを作るサーシャを見て、それだけはやめてくれとアティカスは願う。
幼い娘と英雄の間にもしものことがあっても嫌だ。
それに万が一でもジクトール様が婿になっては困る。
あの方を息子とは絶対に呼べない。
アティカスの胃はじくじくと痛みだし、胸もずきずきと痛みだしたが、可愛いわが子のためそれに耐え笑顔を作った。
「じゃ、じゃー、シーラにお礼の手紙を書こうか……素敵なお土産をありがとうってお礼を言わないとね」
「「はい!」」
いい返事を返し自室へと向かった可愛いわが子たちを見送りながら、アティカスは目を瞑る。
(シーラ、君って子は本当に……)
いつまでたってもアティカスに気苦労をかけるわが娘の変わらなさを愛しいと思い。
そろそろ会いに行こうかなとも思う父アティカスだった。
~おわり~