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魔法学校に入学してみた

「えーーまずは皆様、王立アフィリエイト魔法学校への入学おめでとうございます。本日よりあなた達はフンボルド王国貴族や皇族のための教育機関として設立された長い歴史と名誉ある学校の生徒になったわけですが、常日頃よりそのことを誇りに思い、規律を重んじ…うんぬんかんぬほにゃらららであるからにして軽挙妄動は慎み……」


 あの後、女騎士さん。行き過ぎた指導により転生者伊藤を脱水症状で死亡させてしまったことが国の上層部にバレたようでお縄となってしまい、業務上過失致死傷罪の疑いで近衛兵隊長の任を解かれると同時にその場で即刻、死刑を言い渡されたらしい。そして今日がその刑が執行される日みたい。今頃、中央広場で大勢の国民に見守られながら磔にされて、そのまま四肢をバラされていることだろうなぁ。南無阿弥陀仏のちーんちん♪


 エルドラドでは死者が蘇り生者に悪さをしないように遺体は形が残らないよう懇切丁寧に摺りつぶされ、ドロドロの液状となったものを封印の術式が施された正方形の箱に流し込んで土に埋める『キハロゲ』(反対から読んではならない)と呼ばれる葬法が主流となっている。


 この倫理観0の葬法が採用されているのには一応、異世界なりのにゃんとした理由があってネクロマンサーによる犯罪や精霊の悪戯によって死体が蘇り、悪用する、いわば犯罪対策としての側面もあるようです。


 故にエルドラドでは封印術は厚遇されており、封印術師達はみーんな高給取りなんです。


 毎月の親からのおこずかいが500円だったオラの貧乏家庭とは雲泥の差だぞぉー!


 うーんなんだかオラ、イライラしてきたっ!


 いっちょオラがこの世界を火の海に沈めっか(火の7日間)


 こうして人類は長い黄昏時を歩むことになるのであった……



 で脳内妄想はさておき、今俺達はなにをしてるかって言うと女騎士さんの一軒があって、王立学校に通うことになって、入学式の真っ最中っつーわけ。ちなみに初等教育からだから俺達の周りはみーんなちびっ子。言うなれば俺達はぺんぺん草の中で伸びきった4本のもやしで、今は学園長の長話を聞きながらただぼーっと暇そうに突っ立ってるだけの存在と化しているってわけよ。


「ということで学年主任の黒騎士ティムポ卿に話を変わります。ティムポ卿お願いします」


 学園長の背後にいた夜よりも暗い奈落のような深き闇を身に纏った暗黒より出でてきそうな黒騎士が黒き外套を翻しながら新入生との前へと躍り出る。


「諸君、私が黒騎士ティムポである。諸君、君たちは国の宝であり国の所有物だ。諸君、これから君たちは9年間この学び舎で魔法以外にも様々な分野の知識を身に着け社会に大きく羽ばたくであろう。諸君……」


 諸君。諸君。うっせぇなこのティムポ野郎。なんだってこの世界はどいつもこいつも頭のネジが外れてるんだ。ワイまで狂ってしまいそうやでほんま。


「うぉおおぉおおぉおお!!!黒騎士ティムポ卿!!!天誅ッ!!!!」


 なんだなんだ。一体何事だ。突然眩い光が新入生前列の方の生徒の1人が急に叫びだしたと思ったら白よりも、いと白き純白の鎧と白い外套を身に纏った白く輝く白騎士が黒騎士ティムポの前に躍り出る。


「お前は白騎士マムコッ!!新入生に紛れアフィリエイト学院に忍び込むとは、なんと卑劣な彼奴。この暗黒剣の錆にしてくれるわ」



「貴様こそ。以前は我が国の王立魔法学校リポバ・ライに潜入していたではないか」


「意趣返しのつもりか!」


「何とでも言うがいい。私は今ここでお前との決着をつける」


「ふふふ……ようやくか。私は待ちくたびれたぞ。さぁて黒か……」


「白か……」


「「尋常に勝負」」


 両者は同時に刀を抜き合いにらみ合い始めた。黒騎士は上段の構え。白騎士の胴を目掛け袈裟斬りの一撃を狙っているようだった。対して白騎士は正眼の構え。剣先は黒騎士の喉元を向いており、容易に黒騎士が容易に懐へ踏み込むことができないよう上手く距離を取って牽制の姿勢を崩さない。


「流石だな白騎士マムコ……以前より腕を上げたではないか」


「褒めても手加減せぬぞ黒騎士ティムポ」


「ふっ、手加減など無用ッ!!てゐ~~~~~~ッ!!!」


 黒騎士ティムポは摺り足で白騎士の間合いに勢いよく飛びこむや否や、両手に握った剣を大きく白騎士の頭上に振り下ろした。


 がしかし白騎士は黒騎士のその行動を当の最初から見越していたように放たれた斬撃を半身になって避けるとそのまま鎧の隙間から剣をずっぷりと差し込んだ。


 胴を貫かれた黒騎士は吐血し、白騎士の白よりも、いと白き純白の鎧と白く輝く白い外套をを赤く穢した。


「ティムポ死すとも自由は死せず……」


 それが彼の最後の言葉になった。


 まさかティムポがマムコに貫かれて死ぬとはなぁ。


 ◆


「まぁいろいろあったけど。黒騎士ティムポ卿はお亡くなりになったので急遽話し合いの結果、白騎士マムコに教鞭をとって頂くことになりました」


「みなさん初めまして。人生で1度しか経験できない君たちの入学式を台無しにしてしまったことを深く謝罪する。そしてこれからよろしくな」


「はい。みんな拍手。そして次は2年生の先輩が君たちに校歌を歌ってくれるそうだよ。これから9年間歌う歌だから新入生諸君は早く覚えるんだぞー」


 ◆◆

 ――王立アフィリエイト魔法学校歌


 ピアノ伴奏。


 打擲打擲。誉れ高き祖国よ。

 共に学びし友の魂、地の底にて眠る。

 雄々しき魂震わせて、血潮を掲げいざゆかん。

 ああ我らの学び舎。王立アフィリエイト魔法学校。



 投擲投擲。その身捧げよ。

 共に学びし友の魂、敵地にて眠る

 熱き情熱迸り、御旗を掲げいざゆかん。

 ああ我らの学び舎。王立アフィリエイト魔法学校。




 ――以上で第1223年度王立アフィリエイト魔法学校入学式を終了いたします。

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