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もしかして異世界に召喚?

隙間時間にサラッと読める王道の異世界転移モノです。

 ここはいったいどこなんだろう。

 気が付くと俺はどういうわけか薄暗い部屋の冷たい床に横たわっていた。


 頭でも打ったんだろうか、激しい頭痛に苛まれながらも俺はゆっくりと起き上がる。


 確かさっきまでゲーセンで音ゲーをしてたよな。

 それで時間も時間だし今日はこの辺で止めておこうとゲーセンを後に自宅へと帰っている途中だったはずだ。


 交通量の多い大通りを抜けて、住宅街へと続く細道に入って、正面からやってきた車から強烈なヘッドライトを浴びせられて……


 そこからの記憶がすっぽり抜け落ちていて、思い出すことができない。


 混乱している自分の頭をわしゃわしゃと掻きむしりながらも俺は今自分が置かれている状況を何とか冷静に把握しようと努めてみた。


 天井には電球も吊るされておらず、格子窓から差し込んできた青白い月明かりだけが室内の様子を不気味に浮かび上がらせている。


 部屋には入口、出口となるようなドアや扉はない。


 四方八方は鼠色をした無機質な壁に隔たれていて、まるで独房の様相を呈している。


 いや独房よりももっと酷い。


 トイレや洗面台もないこの部屋でいったいどう過ごせば健康で文化的な最低限度の生活を送れるというのだろうか。


 そこで俺はようやく自分がいまとてつもなくヤバい事態に陥っていることを理解した。


「おーい誰か!!誰かいないのか!」


 大声を張り上げても壁の向こう側から物音1つもしない。誰が、いったい何のために俺をこんな部屋に閉じ込めたんだ。


 恐怖で身が竦んだ。


 食料も水分もロクに与えられないまま、このまま1人で惨たらしく孤独な死を迎えてしまうのかもしれない。衰弱し朽ち果てていく自分の姿を妄想すると手足は震え、歯はガチガチと鳴り続けた。


 頭の中が真っ白になった俺はパニック状態に陥り、たまらず叫んだ。


「助けてくれ!俺をここから出してくれ!!」


 その瞬間、目の前にあったはずの壁が一瞬にしてまるで煙のように消え去り、代わりに無骨な鎧を身に纏う騎士のコスプレをした怪しい奴らが雪崩れ込むように部屋に侵入し俺の周りをぐるりと取り囲んできた。


 いくつもの抜き身の剣が俺の首を狙い、鎧兜の隙間からは爛爛とした数十の目からは一挙手一投足に至るまで俺の動きを決して見逃さないという気迫を感じた。


 何かの冗談だよなこれ。このロングソードみたいなものもレプリカだよな?


『突然のご無礼をお許しくださいませ。転生者様の魔力量は我々エルドラドの住人とは桁違いでございますので』


 俺を取り囲んでいた騎士たちは陣形をやや崩し、彼らの間を割るようにして長いローブに身を包んだ壮年の男性が姿を現した。フードを目深に被ったその姿はRPGゲームに出てくる魔導士のような恰好していた。


「何意味分からないこと言っているんだ。とにかく俺を早く家に帰してくれ!!!」


「ホホホ。それは無理な相談です。だってあなたは私の召喚に応じてしまわれたのですから」


 悲鳴に近い俺の訴えを彼は一笑に付した。

 まるで幼い赤子をあやすような小馬鹿にした声色で。


「召喚?まさか……」


 これってもしかして異世界召喚!?

















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