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5 その頃、イツオパーティは…… ①




「ひゃっほー」


 大衆酒場――”前後左右(ドランクホリック)”。

 そこの五人卓で今、イツオたちはエールで祝杯をあげている。


「っかあー! うっめえー!! 役立たずを排除して飲むエールは最高じゃんよ! 実質無料じゃん!」


「完全同意」


「排除を早めたのは英断だったわ。パシリがいなくなるのは面倒だけど、ゴミがいないと気分も良いし」


 笑顔を爆発させているメンバーたちにイツオは満足げに頷き、更なる朗報を伝える。


「みんな聞け、しかも先ほど、さっそくデカい依頼が来た。あの姫騎士レイナ様から俺たちへの直接の指名だ。なんでも二ヶ月後、近くの領地にお出かけなさるとかで、その護衛を俺たちに任したいのだそうだ」


「はあー!? マジっ!? あのレイナ様か!? すっげえ!」


「きゃはは、サイコー! これ、根暗マンサーを排除したのがさっそく効いてきてんじゃない?」


「完全同意。みんなが私たちが追放するのを待っていた」


 興奮する一同。

 ――しかしその中でたった一人、つまらなそうにしている者がいる。女剣士フリーデである。


 彼女の目の前には大量の食べ終えた皿が山積みになっていて、今もそれが続々と追加されていっている。


 みるみるかさむ圧倒的食事代。


 この人は本当によく食べる。彼女の食費はギルドの経費をかなり圧迫している。

 しかし仕方がない。

 彼女にはそれに見合う――否、補って余り有る力があるから。


「フリーデちゃんも嬉しいでしょ?」


 質問する一同に、フリーデは白けた視線を向けた。


「おかしいと思わない? レイナはあの”プリンセスユニオン”のサブマスター。それなのになぜ妾たちに依頼を?」


「たしかに……」

「そういえば……」

「完全同意。圧倒的に不自然……」


「ごほん、それに関しては俺にはある程度の予想がある」


 途端に疑問符を浮かび上がらせる面々にイツオは咳払いをし、告げる。


「おそらくレイナ様は俺たちをプリンセスユニオンに加えたいと考えているんじゃないか?」


 イツオの投じた考えに、一同はハッとし、唾を飲む。


「なるほど……! 絶対それだわ」

「完全同意……! 間違いない」


「つまり今回の依頼はその為の最終試験ってわけなのね」


「ああたぶんそうだ」


 一同はしばし押し黙る。

 そして――


「「「「うひょおおおおお!!」」」」


 喜びを爆発させた。


「プリンセスユニオンって言えば超大型プラチナギルドじゃん! 安泰じゃん!」


「うむ、それに俺たちにはフリーデさんもいる。最終試験も合格必至だ。みんな彼女の強さは知っているだろう?」


 イツオの言葉で、一同は上座のフリーデに視線を向ける。


「たしかに! 無敵のフリーデちゃんがいれば!」

「完全同意。エースが頼もしすぎる」


 フリーデはしかし、どこか白けた態度は相変わらずだった。

 彼らは気付かない。彼女にはまるで協力の意思など皆無であることを。


「いっよおーーし! テンション上がってきたあっ!! じゃあ今度いっちょ準備運動で、A級クエストのどれかを軽く一ひねりしてこようぜえ!」


「さんせーい! ゴミ(シン)を排除した私たちはもう無敵よ! A級クエストデビューだ! ちょうどさっき良い感じのクエスト見つけておいたんだ!」


「さっすがカズエ! なになに、『”星屑の魔鉱路”に住みついたA級モンスター・”ミノタウロス”の排除』?」


「うぉー! 遂に俺たちもA級モンスター討伐を請け負えるようになったのか! やったぜえ! じゃあさっそくこのミノなんとかを受注してこよう!」


「……いいの? クエスト断念の場合は、『キャンセル料金貨300枚を徴収』らしいわ」


 フリーデの忠告を、皆は大笑いする。


「俺たちに限って断念なんてありえねえ!」


「もし敵が倒せないほど強ければ?」


「「「馬鹿言ってんじゃねえ、命に代えても倒してみせるさ!!」」」

また昼か夜に更新します


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