表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/24

22 亡霊ゾンビ大作戦




 シンはプラチナギルド昇格に必要な登録冒険者数をどのような手段で集めるか考えていた。


 手っ取り早いのは、イーゴン領主としての権限を活かして、領内の冒険者に命令を飛ばすことだが——


 しかし。


(ギルドにテキトーな人員を置くのはイヤだな……)


 気持ち的にも嫌だし、そもそもいい加減な採用は内部崩壊の序曲でしかない。


 なので別の方法を取ることにした。

 それが——


 亡霊ゾンビ大作戦。


 どのような作戦かと言うと、そのままの作戦である。

 作戦のキーはジョッドだ。彼——否、彼女に、


「そういえばレーゲの国民たちはどこに消えたんだ?」


 という歴史的謎をこの前訊ねたら、なんとレーゲ遺跡の地下に埋まっているのだという事実を知った。

 ジョッドを殺し、亡霊化して、そのまま地下で人知れず朽ち果てた哀れなレーゲ国民たち。

 その話をするとき、ジョッドはとても悲しそうにする。


 なので——


「レーゲ国民を復活させてうちのギルドメンバーにしよう」


 と提案してみたら、


「絶対ダメです。チョロすぎるにも程があります!」


 とクレアにすごい形相で即却下された。

 ので、蘇生術以外の新しい方法を考案することにした。


 それが、亡霊ゾンビである。


 前置きが長くなった。

 簡単に言うと、エミーリアが死体をゾンビとして復活させ、それをジョッドが亡霊化して自意識を宿らせようというわけだ。


=======================

◯ゾンビ化:死者を活性化させ、ゾンビとして蘇らせる

◯亡霊化:生者を深淵に染め上げ、亡霊に生まれ変わらせる


◯亡霊:

 独自の意識ネットワークを亡霊全体で共有する、集合的無意識の権化のような異次元存在。

 原則として共有ネットワークにより行動指針を決める。なのでその意識ネットワークに触れられない人間にとって、彼らは不思議ちゃんというか、不可思議な存在となる。

 ジョッドは亡霊のネットワークに介入することが可能で、故に亡霊を操れる。

=========================


 ゾンビ化も亡霊化も、それぞれ蘇生術より質は劣るが、その分大量の使用が可能になる。

 亡霊ゾンビはネクロマンサーによる蘇生者のような、明確な人智は持ち得ないが、少しボンヤリしたマイペースな感じの人と言われればそうなのかと納得できるくらいの知能指数ではあるので、まあ及第点は突破していると思う。


 なにより——


「ボクの民たちを、地中から出してあげられるの嬉しい」


 ととてもジョッドが嬉しそうなのが良い。

 よかったな。


 ※※※


 というわけでシンたちはレーゲ国民復活を成すために遺跡に移動する。

 何故かイーゴン領民も大量についてきてしまったが、まあいいか。


「エミーリア、頼む」


 指示を飛ばすと、彼女は「うむ!」と意気込んで、ゾンビ術を使う。


「さあアタイの可愛いゾンビたち! 新たに動き出せ!!」


 すると時間差でワラワラと地中から幾千幾万のゾンビが這い出てくる。


「う、うわぁあ……」


 それは結構な地獄絵図である。

 背後の領民たちからもうめき声が漏れ出ている。

 取り急ぎ次に進めないと。


「ジョッド」

「うん、任せて」


 彼女が暗黒魔術を発動する。それは彼女が深淵に染まった際に、彼女だけに発現した特異の術だ。

 街の上を濃い瘴気のような闇の雲が厚くのしかかり、覆い隠す。

 そして——


「おお! そ、そんな、すごい!」


 その闇が晴れるとき、ゾンビたちは皆亡霊と化し、途端に秩序正しくなっている。

 まるで訓練された軍隊のよう。

 幾万の民が、シンの前に整列し、敬礼を一斉に行う。


「むむ! あ、あたいのゾンビちゃんたちが……!」

「これからは、普段はボーッと日常を送るけど、ボクとシンちゃんが命令すると立ち所に言うことを聞く、そういう可愛い亡霊」


 ジョッドがそう言うと、亡霊ゾンビたちが一斉に投げキッスをよこす。イーゴン領民たちから歓声と喝采が起きた。


「シンさまがまた強力な力を手に入れられた!」

「あんなすごい方が領主になってくれて私たちは本当に幸せね!」

「きゃーシンさまあー! こっち見てえー!」


 あ、また上半身裸になって注意を引こうとする女性がいる。クレアが怖い目で見てくるからチラ見くらいにしておく。今日の子は割と好みのタイプだったのでちょっと残念だ。


 うん?


 するとエミーリアがポケットに何かを突っ込んだ。脱ぎたてのパンツだった。まだ温かい。


「ええんやで」


 エミーリアが親指立てて得意げに笑っている。

 ありがとう。

 いらねーけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ