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四話  悪魔クラウンは囚われの身で何を思う

 


「あっ」



 魔王との干渉が終わってしまった。

 しかし、我は伝えるべき事をちゃんと伝えられた。

 皆を信じて待つだけだ。



 ◇◇◇



 我はブルガーに何か飲まされた後、豪華な部屋のベッドで目覚めた。

 首輪と手枷が我に嵌められていて、行動には少し不自由だった。

 足に枷はなく、室内を自由に動く事はできる。

 調度品が一目で高級なのだとわかる精巧さで、とてもきらびやかに見える。

 まるで本の中で見る王様の城にある部屋みたいだ。


 服が着替えさせられていて、丈の長いホルターネックのトップスで、下は何も着けていなかった。

 腿の辺りまで長さがあるから見える事はないけど、気分的に少し動きが慎重になってしまう。


 出入り口となりそうな扉はない。

 魔法空間なのか、出口だけは見えないようになっているのか、どちらもなのか。


 我はブルガーから逃げる気なんてない。

 そもそも逃げるとは何かわからない。

 我の方がブルガーと一緒にいたいのに。

 外に出て仕事をする事が、何故逃げる事に繋がるのかわからず困ってしまう。

 我から離れるのは、殺されかけたブルガーの方だと思っていたから、頭がまだ追いついてこなかった。



「クラウン、起きたんだね」

「っ……ブルガー」



 突然声を掛けられ、驚きで肩が跳ねた。

 いつからいたのか、何処から来たのかもわからない。



「出口でも探してた?」

「違う……ただ、綺麗な部屋だったから、見てただけだ」

「気に入ってくれたかな、足りない物があったら何でも言ってね」



 下着くらいは欲しいのだが、言っても良いのだろうか。

 いずれ聞かなければいけないのだから、聞いてしまおう。



「し、下着……が、見当たらなくて」

「俺しかいないのに必要?」

「それは……ブルガーだからこそ恥ずかしいのだが……」

「ふぅん」



 ブルガーは近付き、我の太ももを下から撫で上げ、そのまま直接臀部に触れる。



「あっ……!?」

「こうやって、直ぐに触れられるから、俺個人の我が儘としてはこのままでいて欲しいんだけどなぁ」



 そう言いながらブルガーは下半身を撫で回す。

 知識でしか知らないが、恐らくこれは性的な意味を含んだ行為だ。

 我にそういう欲の解消を望んでいるのだろうか。



「っ……ブルガーが、望むなら、このままで構わない……」

「優しいね、クラウンは」



 ブルガーは我の首筋に口付けた。ゾクリと背中に震えが走る。

 たとえブルガーが我の事を好きじゃなくても、恨んでいても、解消の道具に使ってくれるなら嬉しい。



「俺のものになるって言ったの、クラウンは本気?」



 片手でブルガーは我の頬に触れ、唇をなぞる。

 物でもいい。

 もしかしたらブルガーには本命がいるのかもしれないけど、所有物としてでも側にいられるなら十分だ。



「我を、ブルガーのものにして欲しい」



 そう言いながら、我はブルガーの大きな手に自ら頬を擦り寄せた。



 ◇◇◇



 それから数日、我はブルガーの所有物である証を体内に注がれ、大人の仲間入りをしたのだ。

 それに関しては喜ばしい事なので割愛する。



 しかし、どうしても魔王に会いに行く約束が気になって仕方なかった。

 それはもう情緒不安定に涙が溢れて来る程だ。


 悪魔は契約が大好きな種族だ。

 書面を交わしていない口約束であっても重要だ。

 正式な契約ではないから口約束に何のペナルティもないが、精神衛生に悪い。

 信用がなくなってしまえば契約などしてもらえないのだ。

 だから本能的に反故を嫌う。


 なるべく考えないようにしていたが、とうとう当日になって我の感情が爆発してしまい、一人で泣いていた。



 そしたら何故か魔王の精神を乗っ取ってしまった。

 魔力の暴走だったのかもしれないが、今はありがたかった。

 皆、優しく話を聞いてくれ、心が安らいだ。


 グーデと、リエールと、ユタカが助けに来てくれる。

 騎士となってくれた。

 魔王であると認めてくれた。

 引きこもっていては知る事のない温もりだった。

 我の世界はブルガーだけだったから。



 我は監禁されているこの状況が嫌な訳ではない。

 ブルガーと共にいられる事自体は嬉しいから。

 だが、ずっと違和感があった。



 ブルガーに変化があったのは、我が精神干渉を使ってしまってからだ。

 我はその違和感をずっと、傷つけられた事への怒りや負の感情からくるものと決め付けていた。

 一緒にいてくれる事が嬉しくて、我はその変化を盲目的に受け入れた。


 しかし、稀にブルガーがブルガーではない存在に思えた。


 例えば我の思うブルガーは、赤子の行動を見守るだけで、手出しをするタイプではなかった。

 それが突然、全てブルガーが決め、行うようになったのだ。

 我が不出来なせいだと思い込んでいたが、今考えてみれば、あまりにも急に変化し過ぎたように思う。


 何かしてみたい事を、こうして制限するような行動はさすがにブルガーらしくないのだ。


 もしこれが本当にブルガーだとしても我は構わない。

 でも、何らかの影響でブルガーの意に反する行動だとしたら。


 それを理解するためにも、第三者を交えて話し合いがしたい。

 今のブルガーは何かに怯えて、我の言葉が届かないのだ。


 可能ならば、我が騎士達よ。

 ブルガーを救って欲しい。



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