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十二話 ユタカと指輪の愛の呪い

 


 食事も終え、家事をしようと思ったがイーグルがそれを止める。



「お前らはどっか行ってろ」

「え、でも」

「リスドォルの結界から出たくねーし、ほとんどやる事ねーんだから暇潰しの邪魔すんな」



 ツンデレもあるだろうけど、暇なのも本当だと思う。

 リズ様が魔界では暇だとよく言っていたから、俺も暇潰しの準備はして来た。

 だが、突然魔界に滞在する事になったイーグルにはそういったものはないだろうし、何より行動に制限があるのだ。

 俺は自分の荷物からゲーム機とタブレットを持って来た。



「じゃあお礼にこれ貸す。壊すなよ」

「なんだこりゃあ」



 タブレットには参考書や小説、多くはないが漫画も電子書籍として入っている。

 ゲーム機は最近、山里の話題に付き合えるようになりたくて購入した。

 山里のオススメのゲームをいくつかダウンロード購入してるし、ネット接続が必要ないようにできる限り本体に保存してある。

 使い方を説明すると、慣れない手つきながらもイーグルは直ぐに操作を覚えた。



「すげぇな、魔法のない世界なのに便利じゃねーか」

「魔法がないから誰でも便利に使える物ができていくんだよ」



 途中からリズ様も覗き込んで興味深そうにしている。読書が好きなリズ様はタブレットについて質問してきた。


 神の力の情報収集は、雑多で膨大な情報から自分で手探りで拾わなければいけない。基本的に時間に余裕のある神に検索エンジンは必要ないという事らしい。

 だがリズ様は、神の力よりも限定的であっても決まった情報を得られる読書の方が好きなのだ。


 タブレットは次に来た時のお土産にしよう。バイト増やさないとな。



「充電が無くなりそうだったらこれ使っていいから」



 更に大容量のモバイルバッテリーもイーグルに渡しておく。


 バッテリーを用意しなくても、いつか魔力を電力に変換できるように考えてみた方がいいかもしれない。

 だが、改めて考えようにも、そもそも俺自身が電気、電力をよくわかってないのだ。

 理科の授業程度の知識で魔力を電力に変化するにはイメージが足りな過ぎる。

 雷は呼べるけど、それを電子機器に使えるレベルに調節ってことが難しそうだ。

 それより地球に戻って実家で充電した方が圧倒的に楽だな。

 うん、帰ろう。



「ユタカ?」

「わっ、すみませんリズ様、なんでしょうか」



 考え事をしていたらリズ様が俺の顔を覗き込んでいた。



「イーグルの留守番は決まったとして、私達は指輪の素材採集でもどうかと言ったんだ」

「指輪!」



 そうだ、こっちでの目的の一つでもある、正式な結婚指輪。

 魔物には結婚指輪という風習はないみたいだけど、贈り物というのは関係性を問わず嬉しいものだ。



「互いに素材を一つ選んで、二種類の合成を試すつもりだ」



 相手の事を考えて選んだ素材で作る指輪って良い。とても良い。



「やっぱり鉱石を集めればいいんですか?」

「鉱石でも構わないし、植物でも、氷でも、骨でも魔力が通う物であれば何でもいい」



 素材によって様々な効果が付与できるが、原則として指輪は一種類の効果しか持たないらしい。

 今回リズ様は二種類の素材を試し、新しい指輪の付与効果を研究したいという目的もある。

 俺はそこまで効果を重視しないけど、そういう目的があると素材集めが楽しくなるので乗り気だ。

 しかしあまりに自由度が高い。何か素材に目安があるといいんだけど。



「魔力の含有量とかで何か変わったりしますか?」

「用途次第だな」



 今つけている指輪は『道標』の役割があって、素材にそこまで魔力を含む必要はないが、地属性を含む、鉱石か植物の素材が必要らしい。



「素材が氷だとどんな効果があるんですか?」

「夏場に冷房のように身のまわりが常に涼しく過ごせる」

「べ、便利」



 結婚指輪じゃなくても欲しくなる機能だ。

 地球で売って欲しい。



「まあ魔界は気候が安定しているから必要ないがな。他には水属性に関する効果を付けやすいとかもあるが、他の素材でも代用できる」



 属性については山里から得たファンタジー作品の知識とほとんど共通していたのでなんとなくわかったが、骨は想像ができない。



「骨はどんな効果がありますか?」

「基本的には呪いだが、地球の言葉で言うなら『浮気防止機能』だな」



 魔界に恋愛感情での結婚自体がほとんどないため、浮気という概念がほぼ存在していない。だが所有物として相手の行動を制限したがる場合もあるらしい。

 指輪の共有者以外に触れると痛みが走るとか、酷いものだと不貞行為で即死まで幅広い。



「俺達には全く必要ありませんね」

「凄い自信だな」

「俺がリズ様より強くあればいいだけなので。余所見はさせませんよ!」

「くっくっく……それはそうだが、ユタカが私以外の存在に目移りする事は考えていないのか?」



 俺がリズ様以外に……?

 なるほど、その考えはなかった。

 まだまだ俺の愛は足りないようなので、呪いを取り入れるべきかもしれない。



「リズ様が俺の気持ちを疑う余地がまだあるのでしたら、それを解決したいです。少しでも俺が別の存在に恋愛感情を抱いたり性的な気持ちになった瞬間、目が潰れて他の存在に触れられないように手足が瞬時になくなるとか、その上でリズ様が持っている知識の中で最も時間がかかって苦しむ死に方をするようにしたらより安心ですね。是非そういう効果を俺の指輪に付けてください。なんなら骨は俺の骨を使った方が効果ありそうですね」



 俺は笑って思い付く限りの提案をしてみた。

 しかし、リズ様は静かになるし、イーグルは家から出て行くし、反応が想像と違う。



「ユタカ、怒っているのか」

「何故ですか!? あっ、死ぬとか言わないようにしてたんでした。やっぱり死なずに永遠に苦しむように変更させてください」

「そうではない、悪かった、私が悪かったから、もう二度とお前の気持ちを疑ったりはしないから。いや、そもそも疑っていた訳ではないのだが……」



 別に気持ちを疑われてなくても、どうせ絶対に発動しない自信があるので呪いの効果を付けてもいいのだが、呪いは一切付与しないとリズ様に約束させられたのだった。



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