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2-5 寂しいね
かえっで、近くのふとが、同情すて、なしてそった瘤っこ出来たんだが、痛でぐねが、たげジャマクセべ、などどお見舞いしてけるんず。
だばって、爺っちゃは、にたじるばす。ジャマクセどごが、爺っちゃは、いまは、この瘤ば本当に、自分のめごい孫だんた思えで、自分の孤独ば慰めでける唯一の相手どすて、朝起ぎで顔ばぬぐう時さも、までにこの瘤さ清水ばがげで洗い清めでるんた。
今日だんた、山でふとりでかって、酒ば飲んで御機嫌の時だば、この瘤はことげに、爺っちゃさねばまね恰好の話相手だ。爺っちゃは岩の上さ大あぐらばかぎ、瓢のお酒ば飲みながら、頬の瘤ばちょして、
「なも、おかながる事だば無えはんで。遠慮すねでけれ。だえでも酔うんだ。まずめさも、程度があるとこで。阿波聖人どはなんなんず。ぼんぼける。偉えんだが。」
など、誰やらの悪口ば瘤さしゃべり、そすて、えへん! と高ぐ咳ばらいばすんだ。
ナンボガ クレク ナリマスタ
カゼガ ゴウゴウ フッテラジャ
アメモ ザアザア フッテラジャ