1-1 防空壕の中で
太宰治は日本を代表する文豪です。
"走れメロス" "斜陽" などの著作があり。
この度は ”火の鳥” という題材を扱わせていただきます。
原文 太宰治は日本を代表する文豪です。
"走れメロス" "斜陽" などの著作があり。
この度は ”御伽草子” という題材を扱わせていただきます。
原文 https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/269_15082.html
「あ、鳴ってらじゃ。」
としゃべっで、父っちゃはペンば置いで立ぢ上る。警報ぐれえだば立ぢ上らねんだばって、高射砲が鳴り出すと、仕事ばおいで、五歳の女の子さ防空頭巾ばがぶせ、こぃば抱いで防空壕さはる。既に、母っちゃは二歳の男の子ばしょっで壕の奥さうずくまっちゃあ。
「近えびょん。」
「んだ。んだんず、この壕は狭え。」
「ほんだが。」ど父っちゃは不満だんた、「だばって、こぃぐれえで、ちょんどいんだ。あんま深えど生埋めの危険があるとこで。」
「んだばって、もわんつか広ぐすてけでもいいべさ。」
「ん、まあ、んだが、いまは土っこ凍みで固ぐなっちゃあはんで掘るのこいびょん。そのうぢすべ、」などぱっとすね事ばしゃべっで、母っちゃばだまらすで、ラズオの防空情報さ耳っこ澄ます。
母っちゃの苦情が一段落すど、こんどは、五歳の女の子、もう壕がら出るべ、と主張すてろ。こぃばなだめる唯一の手段は絵本だ。桃太郎、カチカチ山、舌切雀、瘤取り、浦島さんなど、父っちゃは子供さ読んで聞がせる。
この父っちゃは服装もまづすく、容貌も愚なるに似でるばって、だばって、元来ただでねんだ。物語ば作ってまるおかしけだ術ば知っちゃあ男なのだ。
ムカス ムカスノオ話ヨ
などど、間の抜げたんたおがし声で絵本ば読んでけで、その胸中さは、まだなんぼが物語ばおがらせちゃあんだ。
**掲載の論拠**
著作権は作者死後50年経過すると消滅する。
(法的見方を変えれば、70年という意見もあるが。)
よって太宰治氏は昭和23年(1948)に亡くなったため、現在2020年において問題ないと考えられます。
http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime3.html
なお太宰治の著作を取り扱う団体である ”津軽カタリスト” 代表の平田成直様にも確認を取っており、特に問題はないとの回答を得ています。
https://twitter.com/shigechas1971