第二十話 護衛依頼
謎の公園事件(?)から数日が経った。
今は朝食を食い終わり部屋で今日何するかを決めようとしているところだ。
この街も若干飽きてきたのでそろそろ移動しようと思う。
「そろそろ王都に行こうと思うんだが」
「そうね、この辺の観光ももう終えたし丁度いいんじゃないかしら」
ソフィアも賛成のようだ。
「じゃあ決定だな。また高速移動で行くか?」
例の強化魔法ダッシュである。
「うーん、今回は護衛依頼を受けていかない?」
護衛依頼か。
なるほど、王都行きなら確かに多そうだな。
だが貴族とか大商人とかを相手するのは抵抗がある。
「身分任せのめんどいやつがいるとなー」
「それは先にギルドで評判が聞けるわよ。王都に行く依頼なら多いと思うし選ぶこともできると思うわよ。ただ、性格がいい人ほど貧乏で報酬が少なくなるのよね...」
貧乏なほど性格がいいらしい。
ただ、貴族の貧乏と言っても平民よりは普通に金持ちなのである。
そのため報酬が少ないといっても下手な依頼よりは高額なのであまり問題ではない。
「まあそれでも性格が良いほうがいいだろ。よし、方針も決まったことだし依頼探しに行くか」
「おっけー」
というわけでギルドに向かうことになった。
「今ある王都行きの護衛依頼の中で一番護衛対象が性格が良いのを受けさせてくれ」
こんな受注の仕方がいいのかは知らないがとりあえず言ってみた。
「はい、えーっと...ありました!きょう出発の依頼書がギリギリ残ってました!えっと、グレルマン男爵の護衛依頼です。報酬が大銀貨2枚と安めですが後二人枠が余ってたので受けますか?」
お、ちょうど枠余ってるっぽい。
安めって言ってるが報酬は王都まで行くのにかかるのが4日間だがそれで大銀貨2枚、つまり20万円ほどなので普通に高いと思うんだけどな。
「ああ、受ける。あと枠が余ってるっていう言い方ってことは他にもいるのか?」
「はい、4人組のパーティーが一組既に受注しています。あ、間もなく出発されると思うのでできるだけ早くこちらに向かったほうがよろしいかと」
地図を渡しながらそう言われた。
地図を見ると、すぐ近くの門あたりから出発するらしい。
「あ、最後に一つ聞いときたいんだが貴族相手には敬語って要るのか?」
「人によりますが、基本的に冒険者は舐められないようにため口を使いますね。不経済などにもされないと思います」
大丈夫らしい。
...大丈夫だよね?
まあいいか。
そんなことを考えながら、俺達はグレルマン男爵の所に向かって歩き出した。
数分後。
俺達はグレルマン男爵の所についた。
「あなた達が飛び入りで護衛を受けていただいた冒険者ですね。4日間ほどよろしくお願いします」
そこにいたのは細身で初老の男性だった。
この人貴族のくせにめっちゃ丁寧なんですけど...
ただ、優しそうな雰囲気には合っている。
「トシキだ。護衛は初だが戦闘力には自信がある」
「ソフィアよ。戦闘力には自信があった...んだけどトシキに全部砕かれたわ」
それは初耳。
ってかここでそれ言う?
舐められないためにタメ語なんだからそう言うこと言ったら本末転倒だろう。
「ではもう一組の冒険者パーティーが来次第出発しますので準備をしておいて下さい」
というわけで少し待つことになった。