表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/169

085(無賃乗車)

 弥生さんの左手薬指には例の指輪がある。その石を砕こうした時、俺は遠藤に乗り移る。ピキッ。


「紫色の石を砕くな、弥生さん!」

「遠藤さん……? 何で指輪の。石の事を……?」

「日本語が達者なババアから一緒に貰っただろう。その紫色の石を割ると毒ガスが出るんだ」

「何を訳の解らないことを」


 俺は鋼材を捨てる。


「圭市だよ。信じてもらえないと思うけど、遠藤のバカの心身を乗っ取ったんだよ。よく明暗寺の高台で飯松アベニューの夜景を観てたろ」

「…………誰? 圭市君? 遠藤さんが知ってる訳ないし」

「そうだよ、松本圭市だよ。じゃあ、この肉体を捨ててくるから」

「待って! 本当に圭市君なの?」

「詳しい話は明日ね。有休取って明暗寺に来て」


 俺は遠藤の肉体を操り、構外に走っていく。遠藤は確かマツダのファミリアに乗ってたな。探してる時間はない。いつまで乗り移りが継続出来るか分からない。


 道路まで行くと、タクシーが停まってた。丁度いい。


 俺はタクシーのウインドウをノックすると、ドアを開けてくれた。早速、乗り込む。


「お客さん、飯松ウィステリア工業のユニホームですね。行き先はコンビニですか?」

「そうだな〜、春日井市までお願い」

「春日井市!? 愛知県ですよ?」

「急いで出してくれ」

「高速で行きますか?」

「頼む」


 タクシーはインターに向かって発車する。


 帰りは飛んで来なきゃな。広い道を通ってくれた方が帰りやすい。


 俺はジッと看板などを道路の特徴を頭に入れてた。


「お客さん、春日井市にウィステリア工業の分社ありましたっけ?」

「さあね。企業秘密だよ」


 遠藤は変人だと思われてるだろう。そういや、コイツはカネを持ってるのか? 俺は遠藤のポケットを漁る。財布があった。中身を見ると1万円札が5枚と小銭……足りないな。まあ、天罰だ。


 ピピピ。ピピピ。


「お客さん、ウェアラブル端末が鳴ってますよ」

「女からだ」


 俺は適当なことを言って、端末をオフにする。


 高速道路に乗ったところで幽体を抜くか。


「お客さん、飯松インターからで良いですか?」

「ああ、頼む」

「おカネは持ってますよね?」

「俺は社長だ。端末で払うよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ