070(男の良し悪し)
「松本先輩、早く極意を教えて下さい」
「簡単なことだ。悪い男は自分に出来ない事は他人も出来ないと思い込む奴。遠藤のバカがいい例だな」
「良い男の条件はなんですか?」
「あくまでも持論だが、良い男は他人が出来るなら自分も出来るはずと考える奴。更に簡単に言うと、ポジティブかネガティブかだな。根底がネガティブだと、改善しない限り未来はない」
「なるほど、ためになります」
「総合的なスペックが高い人ほどポジティブなのさ」
「パパは確かにポジティブです」
「ミカのお父さんは何をやってる人?」
弥生さんが不思議そうに聞く。
「総理大臣ですよ」
「そうなんだ〜」
弥生さんは冗談だと捉えたな? 俺は敢えて、フォローしなかった。というか説明が面倒くさい。代わりに十条が説明をしている。
俺は5ドルを賭けてスロットマシンのスタートボタンを押す。台の右側に付いてるレバーは飾りみたいだ。リールをボタンで止めるシステムでもない。パチスロは野暮だ。
「あら、圭市じゃない。もう100万ドルをスったの?」
金髪ストレートの小柄な白人女性……メグ。バニーガール姿ではない、私服だ。
「よう、メグ。まだスってないよ」
「圭市君、誰よこの子」
「100万ドルゲットのお膳立てをっ……」
「圭市は私の彼氏よ」
メグ!? 何を言ってる? 確か彼女は居るって、メグに言ったと思ったけど。
「圭市君、どういう事かしら?」
「いや、違うんだ。これはその…………」
「ウフフ、冗談よお嬢ちゃん。盗ったりしないわ」
「何よ、もう!」
弥生さんはご立腹だ。
「弥生さん、これがアメリカンジョークだよ」
「ちっとも面白くない!」
「松本先輩はモテますね」
「十条、これが有り難迷惑だ」
「いい話を聞けたところで、私は帰りますね」
「いくら治安が良いといっても、深夜に女の一人歩きは危険だ」
「じゃあ、私も。圭市君、十条君、帰ろ」
「俺はもう少しやっていきたい。十条、悪いがボディーガードしてやってくれ」
「分かりました。任せて下さい」
「MGMグランドにまた来てね。私も疲れたから、家で爆睡するわ」
「メグ、1人で帰れるか?」
「私はラスベガス産まれ、ラスベガス育ちよ。甘く見ないで」




