表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/169

005(ブラックパール機)

――次の日の朝、俺は目が覚めると、なんか違和感が…………? 自分の寝姿を俯瞰で見る。たまにある夢か、学校も終わったし、二度寝しよう。シティのやり過ぎだな。


 俺はぐっすり二度寝から起きて、リビングへ行き、1人で朝食を摂る。食パンと野菜ジュースだ。食パンは焼かないし、何も塗らない。小麦の風味を感じたい。静かで小鳥のさえずりしか聴こえない。


 ブーン……ピッピッピ……。トラックの音が微かに――まさか、積載車!? もうGTRが来たか。


 俺は本堂でスニーカーを履き、駐車場の方へ行く。


 明暗寺は本堂から左に長屋、門から境内を出て右に駐車場があり、一車線道路を挟んだ向こう側に墓地がある。そこら中に松の木が生えてる。


 やっぱり、積載車だ。荷台からブラックパールメタリックのR32スカイラインGTRが降ろされてる。


「どうも、明暗寺の松本圭市さんですか?」

「はい、そうですよ」

「運送料は先に頂いてるので。降ろしちゃいますね」


 ありがとう! 良太兄ちゃん!


 積載車の荷台が斜めになり、ゆっくりとGTRが接地する。遂に来たんだなと、この上ない喜び!


 明暗寺の駐車場は15台置ける。右端に笹隼伯父さんのデイズ、博子伯母さんのミラ、和事兄ちゃんのインテグラが停まってる。


 俺は10段ほどの階段を下りて、GTRに駆け寄る――格好いい! リアフェンダーのサーフィンラインを撫でる。間近にすると、ドキドキからワクワクに変わった。


 ハッと我に返ると、積載車のオッサンは苦笑いしてる。


「あっ、すみません。つい」

「いいんですよ。では、ここにサインして下さい」


 俺は伝票を受け取り、GTRのウインドウを下敷きにカタカナで【マツモトケイイチ】と書く。


「これでいいですか?」


 俺は伝票を返す。


「はい、確かに。マシンの仕様についてはシティのシミュレーションで確認して下さい」

「既に予習済みですよ。アテーサキャンセル、ハイキャスキャンセル、機械式デフで」

「ドリフトをやるつもりですか。くれぐれも、リアルで怪我をしないで下さいね。それでは私は帰りますので」


 オッサンは積載車に乗り、帰って行った。


「ウッヒョー! たまんねえな〜!」

「圭市、何、奇声を上げてるんだ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ