022(弥生の本音)
こんなクズが弥生さんと付き合いたいだと〜!? 冗談はキモい顔だけにしてくれ。それにこれは私語ではないのか? 答えは1つ、NOだ。代わりにドムをセッティングしてやろう。
「新入社員にもっといい子がいますよ」
「何!? 本当か? 名前は?」
「六道よう子です。頭が良くて、美人で」
「部署は? どこの棟だ?」
「高嶺の花で、そこまでは知りません」
「とりあえず、弥生ちゃんはキープだな」
この不細工はモテる前提で脳内で話が進んでるな。ドムとブスブスコンビでいいか、アハハ。
「この後、仕事はどうします?」
「加工途中のヤツは俺が処理しといてやるから、切削クズを片付けろ」
「はい」
俺は機械の後ろにある切削クズが入ったコンテナを外に出して、空のコンテナと交換する。
7台目を交換したところで、キンコンカンコン。昼休憩だ、腹が減った。
俺は食堂に行くと、丁度、弥生さんと一緒に入る。
「お疲れ、検査はどう?」
「お疲れ様、検査は楽よ。圭市君、食券持ってる?」
「あっ、売店で買わなきゃ」
「私、10枚あるから、1枚あげる。一緒に食べよ?」
「ああ。ありがと」
「定食はABC。麺類はラーメンとスパゲッティ。何食べる?」
「魚が食いたいな」
「それならB定食ね」
俺は弥生さんから貰った食券を厨房のカウンターに出して、B定食のトレイを取る。弥生さんも同じトレイを取った。焼き鮭に野菜サラダ、ご飯に味噌汁など、バランスが良さそうだな。
「窓際に座る?」
「日焼けするから嫌。真ん中辺りにしよ」
「分かった」
俺と弥生さんは中列の席に、向かい合わせで座る。食堂はキャパシティに余裕があるから空いていた。
「頂きます」
「弥生さん、ゴチになりま〜す。鮭の切り身がデカイ」
「20センチ以上はある。会社はケチってないみたいね」
俺はバクバクとかっ込む。弥生さんはお上品に食べる。
「検査室で変な男にジロジロ見られて気持ち悪かったな」
「それ多分、遠藤だよ。午前中は検査室に行ってたみたいだし」
「あれが、この会社の御曹司? 気持ち悪い」
「弥生さんと付き合いたいみたいだよ」
「やめてよ。いくら金持ちでもあれはない」




