133(アリスの怖さ)
俺は部屋に戻る。2人は出かける準備をしていた。
「圭市、ハビィの餌を買いに行こ」
「ああ、そうだな」
俺はデスクに置いてある、コルトパイソン357マグナムをベッドの下に隠す。
「私の車で行く?」
「頼むよ」
俺はデニムを穿き、アルマーニエクスチェンジのTシャツとジャケットを着る。
俺達は駐車場に行き、パステルピンクのラパンに乗る。俺は助手席、ミラは後部座席に。
「シートベルトした? 出すよ」
「万事OK」
ミラは進んで後部座席に乗った。子供はだいたい前に座りたがるが、お嬢様は違うようだ。
近くのペットショップは飯松アベニューにあるホームセンター。車で20分ほどだ。
「ねえ、圭市」
「なんだ〜?」
「マインド・ポゼッションを開眼した時に何か特別な事をした?」
「そうだな〜……毒ガスを吸ったよ」
「毒ガス!? 私も吸える?」
「後、1発あるけど、オススメはしないよ。因果関係があるか判らないし」
「後、1発って私の指輪? 本当にこの石から毒ガスが出るの?」
弥生さんは左手薬指の指輪に目を遣る。
「そうだよ。インディアンのババアは潜在能力が上がるみたいな事を言ってたが、苦しむとは一言も言ってない。一歩間違えば死んでいた」
「私、やめておく。まだ死にたくないよ」
――20分ほどして飯松アベニューのホームセンターに来た。
ピピピ。俺のウェアラブル端末が鳴る。小暮総理大臣から通話だ。
「悪いけど、2人だけで買ってきて。総理大臣から直々に電話だ」
「分かった。鍵は付けておくね。ミラ、行こ」
「うん」
ピッ。
「こんにちは。小暮総理」
『松本君、こんにちは。アリスを匿ってないか?』
「えっ? 一真ミラのことですか?」
『本名を明かしているとは』
「しかし、なぜ知ってるんですか?」
『Nシステムだよ。スピード違反は目を瞑ろう。後を着けてた、ベンツは君のスカイラインを見失ったようだ』
「ありがとうございます。ミラはまだ開眼してません。アリスとラーテルはどんな能力なんですか?」
『ラーテルは相手の能力を無効に出来るらしい。アリスは第4世代の生物兵器で、電子機器を通して他人を操れるみたいだ』
「シティやアイズを介してとかですか?」
『その通りだ。開眼したら、君より強力だろう』




