013(ハラスメント)
俺はここのラーメン屋の虜になった。もう他のラーメンは食えない!
「美味かったか?」
「ここのラーメン屋のファンになりました。頂きました」
「そりゃ良かった。大将、お勘定をお願い」
「はい。3640円になります」
結構高いな。ビールと餃子を抜いて、1杯1000円くらいか。
「渡辺、俺の分はツケといて」
「仕方ねえな〜」
渡辺さんは5000円札と40円を大将に渡す。
「ごっつぉうさんでした」
「1400円のお釣です。また来て下さいね」
「頂きました」
俺達は店の外に出る。まだ明るいのに遠藤さんはフラフラと歩く。
「じゃあ、遠藤のこと頼んだよ」
「任せて下さい」
渡辺さんは足早に駐車場へ行き、アコードに乗って行ってしまった。
俺は、遠藤さんを補助しながら助手席に乗ってもらい、運転席に座る。
「シートベルトして下さい」
「大丈夫だよ。さっさと出して」
「シートベルトしてもらわないと、俺が捕まるんで、お願いします」
「めんどくせえな〜」
遠藤さんは渋々って感じでシートベルトをする。酔っ払いめ。
俺はGTRを発進させる。遠藤さんちの詳しい場所を聞くと、飯松市の高級住宅街だ。流石は財閥企業の御曹司。
特に会話するでもなく、高級住宅街へ向かう。細い道路を越えていくと、左にコンビニが見えてきた。
「松本、ちょっと、そこのコンビニに寄って」
「あっ、はい」
俺はウインカーを出してコンビニの駐車場にGTRを停める。
「お前も来い」
「えっ? 俺は用ないですから」
「いいから来い」
何だろう? コンビニ強盗でもするのかな、アハハ。
俺は遠藤さんの後を着いていき、店内に入る。客は数人、店員はレジに2人。強盗するには分が悪いな。
遠藤さんはかごを取り、缶ビールを入れた。かごダッシュ? よく見てると、レジに行く。
「20番のタバコを2つ」
「はい、20番を2つですね?」
店員は番号を見ながら、遠藤さんが頼んだ銘柄を探して、カウンターに置く。
「1500円になります」
「松本、お前が払え」
「はぁ!?」