129(ダイヤモンドキャット)
俺達は情報交換をしてると、俺のウェアラブル端末に通話が来る。知らない番号だ。ピッ。
「はい、こちら明暗寺探偵事務所」
『こんばんは。飯松ファームの厩舎長で箕輪と言います。この度は大変ありがとうございました』
「いえいえ、おとなしい馬でしたから」
『ええー!? 脱走したのは、ミッターケースという気性の荒い馬ですよ』
「明暗寺探偵事務所にはイージーですよ」
『凄い! 明暗寺探偵事務所に褒賞金を出しますね。100万でどうでしょう?』
正直、オイシイ話だ。一応、解決したのはうちだし、貰っておくか。しかし、なぜ厩舎から馬が脱走した? 今までに聞いたことないぞ。
「ありがとうございます。それにしても、珍しいですね。厩舎から馬が脱走するなんて」
『はい。うちから馬が脱走するのは初めてのことでして。どうやら、何者かにゲートを開けられた形跡があります』
「犯人は?」
『それが、防犯カメラの位置を把握してたのか、サーチライトで光を当てて姿をかくしてました』
「イタズラにしては手が込んでますね」
『そうですね〜。またイタズラされて脱走したら宜しくお願いします』
「分かりました」
『褒賞金は明日のうちには振り込みますので。それでは、おやすみなさい』ピッ。
発砲にタイミングよく競走馬脱走……ディジスプの連中が俺達を試してる? まさかな。ミラが明暗寺に居ることは、バレてないはず。
ミラはバッグを逆さにして振っている。
「何をしてるんだ?」
ミラは幾つかの小さな石を拾い、見せてきた。
「ほら、ダイヤモンドの涙」
「大事に取っておけよ」
「弥生、ダイヤモンドの指輪欲しい?」
「それは欲しいけど……」
「明暗寺探偵事務所への依頼料はこのダイヤモンドで支払うよ」
俺はミラの手のひらにある5粒のダイヤモンドを見る。どれも、ピンク色に濁ってるな。血の色か? 0.4カラットはあるが、価値は高くないだろう。
「一応、担保として預かっておくよ。デスクの上に置いといてくれ」
「うん」
ミラはティッシュペーパーを敷き、その上に5粒のダイヤモンドを置く。
「今日はもう寝よう。明日の午後はハビィの餌を買いに行こう」
「午前中じゃダメなの?」
「幽霊のゆうこさんと約束しちゃってるから。俺が見張るから、安心して寝な」
「うん、おやすみ」
2人は隣の部屋に行った。




