表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メイドで最強な竜と魔術薬師  作者: 近衛ゆき
王女殿下
2/7

王女殿下 1

 揺れる荷馬車の荷台で寝ていた男がゆっくりと目を覚ます。

「お目覚めになられましたか、ご主人様?」

 荷馬車を操るメイドにご主人様と呼ばれたその男は、若干幼さを残した顔立ちでいかにも青年といった感じだ。

「ああ、もう着くの?」

「あと小一時間ほどで到着します。」

 やっとか、とハルトは固まった身体を伸ばしながら前方の御者台で馬を操っているメイド服のの少女の横に移った。

「お休みにはなられましたか?」

「揺れる板の上でぐっすり寝られるほど僕は無頓着じゃないよ。」

 

実際は、寝て起きたら悠に3時間経っていて悪くない夢を見るくらいは熟睡していたのだがそれを肯定するには彼の何かのプライドが許さないのだろう。

「ルーナはどう?少しだけでも休む?」

「いえ、私にはこれくらいは何でもありません。」

 ルーナ---長い髪を邪魔にならないよう後ろでまとめ、まるで人間の少女のような姿をしている。数年前にハルトに命を救われて以来、ハルトと共にメイドとして旅をしている。

「強いて言えば、少々退屈でした。」

「そうか、なら街に着いたら観光でもしたらいい。寝てしまったお詫びに付き合うよ。」

「い、いえ。ご主人様を付き合わせる訳には....それにお仕事で向かわれてるのですから、そんな時間は....」

「な~に、これから行く街は俺も初めて行くからなどうせ地理を覚える必要があるし、今日すぐに仕事を始める訳ではないから大丈夫だよ。」

「そ、そういう事でしたらお言葉に甘えさせて頂きます。」

 ルーナは嬉しい感情を抑えてはいるが、その口角は僅かに上がり頬は赤らんでいる。第三者から見ればルーナからハルトへ向けられている感情は分かりやすいのだが....

「お、あれじゃない?へぇ、結構でかくて栄えてそうだね。」

「はい、楽しみですね!」

「そうだね、これなら仕事の方もはかどりそうで楽しみだ!」

「そう...ですね.....」

 例によってこの物語の主人公は、鈍感というスキルを持ち合わせていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ