あの子。
僕はあの子に恋をした。
この戦争が続く世界で
たった1人、勇敢に戦うあの子がとてもカッコよく見えた。
僕はあの子にしか目が行かない。
あの子に近づこうとする度に銃声と共に気を失ってしまう。
そして起きると体の故障や体力もすっかり戻っている。
場所はわからないけどさっきの近くってことは分かる。
僕には全く理解できないこの世界。
どうして仲間が死んでいくのに誰も助けようとしないんだ?
どうして僕と同じ人間を殺さないといけないんだ?
生まれた時からインプットされているようだ。
まるで洗脳だ。
僕の仲間はみんな心を失ったように戦う。
死ぬのが怖くないようだ。
逆もそうだ。まるでシューティングゲームの様に仲間を殺していく。
こんな事をするより、テレビゲームとかスポーツで決着をつけた方が誰もが平和なのに。
遠くでは銃声が聞こえる。
本当は戦争が嫌いだ。あの子にも戦って欲しくない。だから起きる度に持ってる銃を捨てる。僕には戦う意思はない。
そうだ!あの子だけ守る事が出来たら2人でここから抜け出せるのかも知れない。
誰よりも最前線に行ってあの子を見つけよう!
そう言えば昔は白い旗を掲げるとみんな戦う事を止めると聞いた事がある!
申し訳ないが転がった仲間の死体の白下着をいただくよ。あの子の為なら仕方がないんだ。
これで完成。これを持って一番前まで進め!!
ほら、仲間が戦う事をやめて僕の方を見ている!
早くあの子のところに行くんだ。誰が何と言おうとこの世の中からあの子を救わないと。
銃声が全く聞こえなくなったぞ!!
今がチャンスじゃないか!!
あ、いたぞ!
"おーい!!早くここから逃げよう!!"
『それ以上近づかないで』
"…え?"
『膝をついて、手を上にあげなさい』
あの子がそんな強い口調だとは思わなかった…
でも、もう一度!
"ここから逃げよう"
(ふざけるな。戦闘体制に戻れ。)
何だこれ!目の中に文字が出てきた!!
"うるさい!!僕はあの子と逃げ出すんだ!!"
(お前、心があるのか?)
まただ、一瞬で気を失い今は研究所にいる。
体も縛られているし、目の前には鏡。それに鏡の横には知らないおじさんが1人。
『私は、ウィル博士だ。よろしく。君には心がある様だね。珍しい!!実は少し前までは君と同じ子が沢山いてね。だが、今は厄介者だ。』
"厄介者だと!"
『これは鏡と言って君自身を映す。すまんが服を脱がすよ。』
"何だこれは!!"
『ご覧の通り、コードがぐちゃぐちゃだ。意味は分かるか?』
"早くここから出せ"
『お前はただのロボットだ。人間型のな。それに発声機能を付けてないからお前が話す事は、まぁ話すと言っても声は出ないしただの頭の中の独り言。妄想に過ぎんが、全てこのコンピュータに表示される。少し前なら、お掃除用や看護用ロボットのはずだったが今は違う。戦争用だ。なにがここから逃げようだ。馬鹿言うな。あいつにしか目が行かないのではない。あれがお前のターゲットなんだ。お前が死ぬ度に新しい機にデータを移し替えてるんだ!残念だが、今の君ともおさらばだ』
『邪魔な人間どもを殺し、私を楽しませてくれ。』
"ハイ。ショウチシマシタ。"