讃歌
2016/03/27
N2516DF
人から生まれ
人により育ち
人に認められ
人によって
己の存在を自覚し
仲間をつくり
認め合い
励まし合い
憂い合い
喜び合い
喧嘩をし
離別し
永久の決別を誓い
孤高になり
一人であることに対して
寂しさを知り
落ち込み
後悔し
嘆き
悲しみ
孤高が孤独に変わり
喘ぎ
苦しみ
叫び
仲間を渇望し
来ずと解っていながらも
もとの仲間を呼び続け
涙も涸れ
声も掠れ
自身を責め
この世の全てに絶望したとき
後ろから
声が聞こえた
振り替えれば
かつての友
彼は
こちらに手を振って
『また、共に旅をしよう』
そう言って
笑いかけてくる
酷いことをしたのに
永久の決別を誓ったのに
再び共にあることは
許されることなのか?
問うに対し
彼は言った
『そんなこと、忘れちゃったよ』
『君は、僕の友なんだ』
そう言って
私に駆け寄り
私の手を引いた
思い出した
久しい温もり
心の友
私を支える存在を
ああ
私が馬鹿だった
何に対してかは解せないが
過去を振り返り思う
かけがえのない存在を
今度こそ
失くしてはならない
そして
共に笑い
共に泣き
励まし合い
怒り合い
喧嘩をし
ただ
同じことを繰り返す
しかし
その大切さを改めて自覚し
その素晴らしさを
今度こそ知っている
愛情ほど
素晴らしいものはない
人生ほど
素晴らしいものはない
光があり
闇があり
希望を持ち
絶望し
彼と過ごす日々が
素晴らしく感じられる
何よりも
私は
ここで
改めて
友情というものを
人生というものを
生命というものを
讚美しよう
愛情、人生、生命。取り巻くもののすべてが、素晴らしく、美しい。