短編いろいろ 私は貴方を。 作者: せらひかり 掲載日:2016/06/03 私は翼をたたんで、窓辺に腰掛ける。月明かりに照らされた貴方の寝顔を、じっと見つめる。 私は昔、神様に愛されたくて、人間になれる薬を悪魔から貰った。大地に降りたら、きっと愛される。そう思った。 やさしい悪魔。さも私のためみたいに、声をかけたひと。結果を確認したら、きっと貴方はいなくなる。 惜しくなって、薬をそっと貴方に盛った。 もう貴方はなんにも覚えていない。 私の姿も、声も認識することはない。 記憶のないただの貴方。 私は、貴方を。