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6 温もり



次の日も、その次の日もきちんと千夏はみのるの家へと着いて来た。

そんなある日、


「おはよう実。」


「おはよう実君。」


2人は、みのるに話し掛けた。


「ああ。おはよう。本当に毎朝すまないね。」


「いいんだ。お前はそんなことより、自分の事を心配するんだ。」

友喜はみのるに心配しながら言った。


「そうだよ。一日でも早く、学校に行けるようにならなきゃ。」

千夏も続けた。


「そうだね。でも、俺は気持ちの上で、決着が付かないと、学校へは行けないよ。」


「そうか。」


「そうか。」

千夏は、友喜の真似をしながら言った。

そんな千夏を、友喜は心から可愛いと思った。


「お前。真似するなよな。」

内心、友喜は照れながら言った。


「いいじゃないか。悪いのか??」

またも、千夏は友喜の口調を真似して言った。


「あはは。日に日に仲良くなって行くなあ。」

みのるは笑いながら言った。


「仲良くなんてなってねえよ。」

友喜は照れながら言った。


「ええー。仲良くなってると思ったのにー。」

千夏は、顔をへの字に歪ませながら言った。


その顔も、とても可愛かった。


「ああ……。嘘だ。とても仲良しになってるよ。」

にやけそうになる顔を抑えつつ言った。


「でしょお!!もお。照れちゃって。」

千夏は、ニコニコと笑顔で言った。


友喜は抱きしめたくなった。

だが、それはもちろん出来なかった。


「おー。お暑いですね。そんなことより、時計を見た方がいいかもしれないよ。」

と、みのるが言った。


友喜は腕時計を見ながら、

「ああ!!千夏!!急がないと遅刻するぞ!!」

と言った。


「ええ!!急がなきゃ。じゃあね実くん!!また明日!!」


「お前……。実を学校に誘う気があるのか??」


「ああ。そうだった。あはは。」


「あはは。じゃねえよ。……実。来ないのか??」

友喜はみのるに話しをふった。


「ごめん。まだダメだよ。」


「わかった。じゃあまた明日来る。明日は頑張ろう。」


「行けるように頑張るよ。ありがとう。」


そう言ったみのるを家に残し、友喜と千夏は家を出た。


「ほら千夏!!乗れ!!」

そう言って、自転車の後ろを指差した。


「ええ!!アタシこういうのしたこと無いよ。」

千夏は戸惑っていた。


「いいから乗れ!!ここに乗るだけだ。」


「わかった。」

そう言って、千夏は自転車の後ろに乗った。


「いくぞ。」


「うん。」


友喜は自転車をこぎ始めた。


「ちょっと……。は……早い!!怖い!!」


「心配するな!!俺に捕まってろ!!」

そう言って、友喜は千夏の手を自分の腰に回させた。


自転車の振動で、千夏はお尻を何度も打った。

「いたっ!!ちょっとお!!安全運転してよね!!」


「そんな事言ってる場合か。遅れるぞ。」


「もう!!……いたっ!!」


”背中に千夏の温もりが……。もう……。心臓が破裂しそうだ。”

友喜はそう思っていた。


「ちょっとお!!何か変なこと考えてない?!」


「断じて考えてない!!」

”考えてます。ごめんなさい。”


「ならいいんだけど。……いたっ。」


そうして、学校へと着いた。

教室には、チャイムが鳴る前ギリギリに着いた。


「まに……あったな。」

友喜は肩で息をしながら言った。


「まあ。なかなかのタイムね。」

千夏は偉そうに言った。


「ったく。お前は。」


「あはは。嘘嘘。ありがとう。お尻は痛かったけどね。」


「ごめんな。」


「いいよ。またしようね。」


「いや……。きついよ。朝から。色々と。」


「色々とって??」


「こっちの話だ。」


そうして、その日も一日無事に終わった。


次の日、みのるの家から学校へ向かっている途中に、千夏が話しかけてきた。

「あっ。今日は筆を買いに行きたいな。」


という事で、放課後に行く事になった。

待ち合わせ場所は、いつも絵を描いている川原になった。



放課後、約束通り千夏と画筆を買いに『イマガワ画材屋』へと向かった。

そこで水彩画に必要な道具を、一通り千夏に説明をし、一式買った。


その帰り道で友喜はある事を考えていた。


”告白……。してしまおうかな……。”


”いや……。でもまだ話始めて間もないし……。早いよな……。”

”ああ……。でも、もう想いが膨らみすぎて破裂しそうなんだよ。”

”こうなれば……。ダメ元で……。当たって砕けろ!!”


意を決して友喜は話始めた。

「なぁ。」


「ん?なに?」



「千夏が嫌じゃなかったらさ。」


「何よ?」



”俺と付き合ってくれないか??……言えない……。頑張れ……俺!!”

「あのアパートが完成したら一緒に住まないか?」

”だあああ!!遠まわしに言ってしまった。気付いてくれるかな??”


千夏は一瞬”え?!”という顔をした。

それは、嫌がっている姿にも見えた。


「それって……さ。付き合おうってこ……と……?」


「まぁそうなるな。」

”ああ。こりゃもうダメかな。でも、友達でいれるように頑張ろう。”


千夏は、一時考えた後そっと口を開いた。

「まぁ…。うん。いいよ。」


”え?!いいのか?!よっしゃあああ!!!!!!”

「そうか。よかった。ありがとう。」


「うん。」


早すぎたと思った告白は見事に成功した。

友喜は、良い答えが返ってくると思っていなかったので、飛び跳ねて喜びたい気分になった。

しかし、そんな姿を見せてはならないと思い、静かに心の中で拳を握り喜んだ。



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