1 日課
第1部から読まれるかたもいらっしゃると思いますので、ここにも一応書いておきます。
この話は、『あたりまえの日常』の、友喜サイドの話です。
先に、『あたりまえの日常』http://ncode.syosetu.com/n4262d/
を、読まれてから、『伝えたい想い』を読まれることをお勧めいたします。
「どういうことだ!!藤代!!」
職員室の中に、怒鳴り声が響いた。
一気に友喜の元へと、先生達の目線が集まったが、友喜は続けた。
「俺にはやらなきゃいけない事が出来たんだ。絵なら時間があれば、部活じゃなくても描ける。」
そう。友喜は部活を辞めるために、顧問の先生を訪れて職員室に来ていた。
「しかし、藤代。よく考えろ。お前の実力なら、勉強さえ続ければきっと……」
「だから、言っただろう。俺にはやらなきゃいけないことが出来たんだ。」
先生の言葉を遮って、友喜は言い放った。
「もういい!!勝手にしろ!!後悔してもしらんぞ!!」
もう一度、先生は怒鳴った。
「……それでは。」
そう言って、友喜は職員室を後にした。
職員室を出て、友喜はつぶやいた。
”先生……。すいませんでした。ありがとうございました。”
そして友喜は、教室へと戻った。
学校は今、昼休みだった。
そして、教室へと戻った友喜はある席へと向かった。
その席に着いて、そっと机に手を当てて、
”絶対俺が、お前を助けてやるから。”
と、強く思った。
その日の放課後、友喜は家のそばの川原へと行った。
そこで、水彩画のセットを出し、
「今日からはここが、俺のアトリエだ。」
と、一人つぶやいた。
そして、一人もくもくと絵を書き始めた。
次の日の朝、友喜は朝早く目覚めた。
「……これも習慣か。」
いつもの友喜には、この時間で間違いは無かった。
友喜の学校の美術部には、朝練があったからだ。
「まぁいい。どうせ俺はあいつの家に行かなきゃならない。」
そう言って、朝の準備を始めた。
準備を済ませた友喜は、早々と家を出た。
そして、学校ではなく、ある家へと自転車で向かった。
友喜の自転車は一風変わっていた。
レトロ風自転車と言うべきだろうか。
一目で”友喜の自転車”と分かる感じだった。
友喜は目的地に着いた。それは、みのるの家だった。
そして、家のチャイムを鳴らした。
玄関から、みのるの母が出てきた。
「あら。友喜くん。こんな朝からどうしたの??」
みのるの母は不思議そうに言った。
「あいつを…実を迎えにきました。」
「あら。……ありがとう。どうぞ、上がって。」
「すいません。」
そう言って、友喜は2階のみのるの部屋へ行った。
そして、部屋のドアをノックした。
「実??俺だ。友喜だ。入るぞ??」
「……来ないでくれ。」
「……わかった。じゃあここでいい。」
そう言って友喜は、ドアを背にその場へ座った。
「……。」
みのるは沈黙していた。
「なぁ。もう一週間経つな。」
みのるからの返事はなかった。
そのまま、一人で友喜は続けた。
「あ、そうだ。俺、絵を書いて来たんだ。ドアの下から入れるから、良かったら見てくれ。」
「俺はここからの眺めが好きでな、お前覚えてるか??ここは、俺らがずっと一緒に遊んでた場所だぞ。」
「今でも俺は、あそこが大好きだ。実際他のだれも入れたくねぇって感じ。あはは。」
「まぁ川だから、そんな事も言えないんだけどね。」
「あっ。俺、こないだあいつ見たよ。えっと誰だっけ……ほら。中学の時のさぁ……担任。」
「えっとぉ……。あぁ!!前田!!そうそう。前田前田。あいつは、相変わらず……」
友喜の言葉を遮って、みのるが口を開いた。
「帰ってくれ!!もう……帰ってくれよ。」
「……わかった。また、明日来る。」
そう言って、友喜は家を後にした。
そこから学校までは結構あった。
学校へ着く頃には、ホームルームは始まっていた。
「……この静まった中に入るのか……。」
友喜はドアの外から、教室を覗きながら言った。
「……でも入らないと。ええい。」
意を決して、友喜は教室へと入った。
”がらがらがら”
ドアは、音を立てて開いた。
一気に、友喜は注目の的になった。
”やばい……。これはやばい。緊張する……。”
友喜は固まっていた。
「藤代。珍しいな。遅刻か。」
担任の五十嵐が、友喜を見て言った。
「そうだ。」
”しまった!!俺……なんて偉そうなんだ!!”
「そうだってなあ。まあいいわ。席に着きなさい。」
「……はい。」
そして、友喜は席に着いた。
席に着いた友喜は思った。
”実!!早く来れるようになれ!!これを毎朝はきついぞ!!”
しかし、そんな想いとは裏腹にそんな生活は毎日続いた。
先生達の中では、『藤代は部活を辞めてダメになった。』と、言うものが増えていった。




