第5話 (1)
女子はあだ名をどうやってつけているのでしょうか? 小説だと分かりやすくしておいたほうがいいかな。ちなみに、私のあだ名は「パイセン」です(注意:同級生のなかでだよ!)
「え? 春原ってもっと背が高いし、こんな純粋な目してないような……」
「いつもは純粋な目してなくて悪かったね! 私、人の記憶を変えるほどの魔法を2回以上するとこうなちゃうのよ」
春原は若干涙目で言った。……涙目の幼い春原がかわいすぎる! その後、春原は玄関のドアを閉めた。これで外から自分の様子は見られない。
「……もう我慢できないよ!」
ぎゅっ。俺は部屋を案内しようとした春原を抱きしめていた。
「きゃっ、何っ! ……離して!」
「だ〜め」
いや、だめなのは俺の方なのだ。俺の方なんだが、やっぱりかわいいし無理。保護欲をかきたてられる。
「ハル! 来たよ……って佑珠希ちゃん何してるの」
「……へ!? いや、なんでもないよ」
今、秋山さんに見られた。しかもそれで変な声出しちゃった。恥ずかしい……。
「あっ、そっか。佑珠希ちゃん、ハルが魔法2回以上使ったら小学生になるの知らなかったんだ。確かにかわいいけど、ぎゅっとされるのあまり好きじゃないからやめてあげてね」
「は、はい」
「ありがとう、アキちゃん」
「どういたしまして。なっちゃんとれいちゃんは?」
「もうすぐ来ると思うよ」
そう言うと、すぐその2人が現れた。
「「おじゃまします」」
「タイミング良すぎじゃない?」
「何のこと?」
「本当は知ってるでしょ」
そんな話をしながら、俺を含む春原の家に来た4人は、荷物を置いて部屋でくつろいでいた。晩御飯は春原が自分で作るとのこと。それにしても、あの状態で料理なんか出来るのだろうか。そんなことを考えていると、突然春原の声が聞こえた。
「できたよ〜」
そういえば、俺があれこれ考えているうちに、おいしそうな匂いが漂っていた。ダイニングへ移動すると、そこにはグラタン5皿分と元に戻っていた春原がいた。
「あれ、もう元に戻ったの?」
「30分経つと元に戻っちゃうからね」
「えー、そのままでいいのに」
秋山さんの言ったことにそう俺が答えていると、春原が聞いていたのか、
「良くない!」
そう答えた春原に、俺は気づかれないようにくすくすと笑っていた。
晩御飯を食べ終えて、一息ついたところ、春原が仕切るようにこう言った。
「じゃあ、お風呂に入ろうか。誰から入る?」
どうやら1人ずづ入るらしい。1人で入らないと何されるかわからないので、個人的にホッとしていた。しかし、次の春原の言葉に希望は打ち砕かれてしまった。
「あっ、佑珠希ちゃんは私と一緒に入るよ」ウフフ