第2話 (1)
俺の脳内には?マークがたくさん浮かんだ。ショーとはいったい何なのか。そして、なぜその子は俺を呼んだのか。そんなことを考えていると、
「それじゃあみんな見ててね」
先ほど「ショーを始める」と言った、俺の目の前にいる女子がそう言い、手のひらをこちらに向け、なにやら訳の分からない呪文のようなものをつぶやき始めた。
俺はなにかしらの身の危険を感じ、すぐこの場から離れようとするが、なぜか動けなかった。そうこうしているうちにもその呪文のようなつぶやきが続く。そして、最後に「破!」というと、こちらに向けていた手のひらから、ピンク色の玉が風船のように膨らみながら出てきて、自分のほうに向かって飛んでくる。俺はさらに体に力を込めたが、それでも動けない。結局、俺はその玉に当たった。
「あっつ!」
当たった瞬間、俺は180℃の油で揚げられていくかのように全身が一気に熱くなっていった。そして、俺は熱すぎて意識を手放した……。
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「……ん?」
俺は意識を取り戻した後、何か体がおかしいということに気がついた。座っていたので床のほうに目を向けてみると、なんと胸が膨らんでいた。さらにウエストにくびれができ、女子らしい体つきになっていた。
「どうなってんだ?」
すると、目の前にいる女子が言った。
「どう、私の魔法?」
「ま、魔法? どういうことだよ」
「今、あなたの性別が変わったのは、私の魔法によるものなの。新しい体は気に入ってくれた?」
「気に入るはずがないだろ! 俺を早くもとに戻せ!」
俺は即答した。かわいらしい声で。
「そんなかわいらしい子が男言葉を使っても、全く似合ってないわ」
「そう思うのなら、あたしを早く元に戻しなさい! ……って、ええっ!」
俺は目玉が飛び出るほど驚いた。先ほど俺は自分のことを『俺』と言ったつもりだった。それなのに、口から出たのは『あたし』という一人称。そういえば命令口調も少し変わっていた。
「ふふっ。驚いた? 下里さん」
「何であたしの名前を……」
「まだ気づかないの? 私は春原春奈よ。小学校以来だね」
「えっ!?」
俺はそのとき、過去の記憶を鮮明に思い出した。