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第4話

あらっ?

ここはどこ?私は誰?


はい、仙道真紀子と申します。学校の事務員をやっております。

さらっと自己紹介しましたが、やっとフルネームが出せました。容姿については中肉中背(身長は155cmは中背といえるかは謎)で、黒髪のストレートは肩甲骨にあたるくらいの長さ。今は仕事中のため、後ろで一つにまとめてある。

顔は、うん。普通。普通の基準とは何ぞやと言われれば返答に困るところですが、ホントにこれといった特徴がないんです。

25才の私は今までに男性とお付き合いした事もない訳ではないので、全然見られない顔という事はないとは思うんだけど。


さて、私は誰?の答えは大体わかったところで、


……ここはどこ?


教頭室(なんだよ教頭室って、初めて聞いたよ!)から保健室へ向かう途中の筈なんですが、歩いても歩いても着かないんです。why?


決して方向音痴という訳ではないのだが、初めて行く場所という事に加え多少の緊張もしているのだろうか。

何に緊張しているかと言えば、ちょうど休み時間らしくて何人かの生徒さん達とすれ違うんです。

それがどうした、と言われるかもしれませんがほぼ事務室に引きこもっているので、たまの外出は嫌味教頭の所という私は異世界トリッパー状態なのです(言い過ぎか?)。


大きな学校だし、職員の数もそれなりにいるため生徒さん達からすれば見たことない大人がいてもさほど違和感を感じない様で、つまり自分一人が勝手にオドオドしているだけなのだ。


いつまでも学校内をさ迷い歩いていもしかたないし、誰かに聞くしかないかとキョロキョロと優しそうな子を物色していると、前方に髪の毛を上の方で2つリボンでまとめている女の子を発見した。

ほーこれがツインテールなるものかぁ、などと考えながらその少女に声をかける。


「あの、すみません。」


「はい?」


振り向いた女生徒はとても可愛らしいお顔をしており、リボンツインテールに負けない事に感心しつつ尋ねた。


「ごめんなさい、保健室の場所を教えて頂いてもいい?」


「えっと、」


知らない大人に突然声を掛けられた事で訝しげに眉をよせる。そんな顔も可愛いなぁ、じゃなくてっ!


「あ、怪しい者じゃないですっ。この学校の事務員の

仙道といいますっ。」


怪しい者ほど怪しくないと言うと聞くが、本当に怪しくないんだから怪しくないと言って何が悪い!


「えっと、保健室でしたっけ。この先すぐですから一緒に行きましょう♪」


慌てて首にかけてある顔写真付きの職員証を見せると、安心したのかなんと目的地まで同行してくれると言う。

別にすぐそこなら口で説明してくれるだけでいいんだけど随分親切な子だなと思いつつ美少女の揺れるツインテールについていった。


「ここです。」

「ありがとう。」

保健室までは歩いて10m程で着いてしまった。

あんなに苦労したのに、と若干落ち込みながらもここまで案内してくれた美少女にお礼を述べた。


ノックをしようと一歩足を踏み出した私より一瞬早く美少女がドアを三回ノックした。


「しーののーめセーンセー♪」


おいおい、返事の前に開けちゃっていいの?

私に対するより一音高い声音をあげながらノックとほぼ同時にガラッと勢い良くドアを開けるのをボー然と見守ってしまった。


「センセー、来ちゃった!」

「それではノックの意味がないと何度言えばわかるんですか、君は。」


……………おぅっふ。

やばっ、変な効果音出た。(もちろん口には出さない)

なんという美声っ!成人男性特有の低く響く声に甘さを含んだ、でも甘いだけではなく爽やかさもかけ備えスッと人の身体に通り抜けていくこの感じ!

別に声フェチではないはずだが、巷でよく聞く『これさえあれば飯三杯はいける』というのはこういう事なのかっ!いやいや、どちらかというと『これだけで既にお腹いっぱいです、飯はいりましぇ~ん』だな。

金縛りにあってしまった私の前方で「え~」

「だって~」などと甘えた声で話す彼女は恐らくここまで道案内をしてきた迷子の事などすっかり忘れているのだろう。

あいにくと先程より早く揺れる2つのシッポで隠れて美声の主のお顔は見えないが、もっと話してくれないかなと渇望する私の耳にまたも美声を響かせてくれた。


「用もないのに来ては行けないといつも言っているでしょう、浅井美紅さん。」


美紅嬢~!?

やっとヒーローが出せました。しかし声だけ…。

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