第34話
短いです。
ふ~、は~、ふ~、は~、
よし、入るぞ!
ふ~、は~、ふ~、は~、
待ってろ、東雲先生!
突撃だ!!
………あ~、ノックできない!
一人保健室の外でノックしようと手を上げては下げるのを3セット程繰り返した後、意を決してノックした。
コンコンコン、……ドキドキ
コンコンコン、……ドキドキ
…あれ?いない?
式が終わって真っ直ぐ来たのに。先生も体育館にいなかったから保健室へ戻ってると思ったけど、どっか寄り道してるのかな?
拍子抜けだが居ないのなら仕方がない、また出直そうと踵を返そうとした時、
『~~、~~~!』
あれ?声がする?
保健室の中から話し声がする。
ここで、話し声ということは東雲先生の他に誰か居るわけだから入って行っても話の邪魔になるし、告白なんてもっと無理だと気付かない私は恋にうかれた馬鹿だったんだろう。
「失礼します~、」
そ~っとドアを開け、ゆっくり中を伺う。
人の気配はするが姿はない、疑問に思いつつも保健室の奥へと足を進める。
三つ並んだベッドの一番奥のカーテンが閉まっており、人の気配もそこからしているようだ。
よせばいいのにカーテンの隙間からそっと中を覗いてみると、
「!!!」
衝撃の光景に息を飲む。
ベッドの上で半ば押し倒すような形で女の人に覆い被さりながらキスをする東雲先生がいた。
ベッドについた腕とは反対の手は女性の背中に回っている。
あまりの衝撃映像に固まって動けない私にキスされている女の人の方が気付いたようで、一瞬驚いた顔をするも次の瞬間には面白そうに笑みを浮かべた。
音も立てずにそっと保健室から出ると、そこには早瀬先生がいた。
私の表情で大体を察したのか一言「行くか」と、私の背を押して事務室まで一緒に戻ってくれた。
クラス担任をしている早瀬先生は私を送るとすぐに教室へ帰って行ってしまった。
『涼正が他の女と抱き合ってるのを想像してみろ』
いつだったか、早瀬先生に言われた言葉が思い出される。
さっきの女の人、想像上の東雲先生の奥さんに似てたな。
想像どころか本当になっちゃった。
想像してた時はあんなに泣けたのに、不思議と今は全然涙か出ない。
…………………、
さて、仕事するか。
私は考えることをやめた。
ここ最近、主人公ちゃんは上がったり下がったり、情緒不安定ぎみです。




