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第29話

後半に若干卑猥な表現があります。ご注意下さい。

あれから『景気付けに飲むぞ!』と調子に乗ってめちゃくちゃ飲みまくった早瀬先生は散々下ネタを連発し(KENさんも普通に参加していた)、私を引かせまくった。その後寝てしまったのでKENさんに任せて帰ると、なんと東雲先生からメールが来ていた。




「昨夜は遅くにすみません。知り合いがコレを送ってきたんですけど、日持ちしないもので早く召し上がって頂きたかったんですよ。」

「ありがとうございます。コレ大好きなんで嬉しいです。」

「良かった、どうぞ沢山ありますから。」

「そんなに食べられませんって、太っちゃいますよ。」

「もう少し太ったくらいが食べ頃ですよ。」


……うん?何か言い回しがおかしかったような。


「(ニコッ。)」


うん、気にしない。いただきま~す!


昨夜東雲先生から届いたメールはなんと!貰い物のプリンがあるから明日(本日)保健室に食べに来ないか、というお誘いだった。


「美味しい!!このプリンめっちゃおいしいです!」

「お口に合ったようで良かったです。知り合いが田舎で牧場やってるんてすが、他にもチーズなんかも時々送ってくるんですよ。もし良かったらそれも貰ってくれませんか?」

「えっ!?でも東雲先生に送られて来てるのに私が貰ったら申し訳ないです。」

「気にしないで下さい、そいつも新作の感想が聞きたいだけなんで。多分早瀬の方にも送られて来てると思いますよ。」

「それじゃあ、その時は遠慮なく頂きますね。」

「また一緒に食べましょう。」

「はい!」


こんな幸せでいいのかな?私明日死なないよね。


昨日早瀬先生に早く告白しろって言われたけど、しばらくはこのままでも良くないかな。ヘタレなのは承知の上だが勘弁して欲しい。もう少しだけ幸せな記憶を持っておけば、断られた後も耐えられる様な気がする。


「どうかしました?お腹いっぱいになりました?」

「はっ、すみません!食べます食べます。」


今はこの時間を大切にしよう。


「あれ?東雲先生は食べないんですか?さっきから全然手つけてないですけど。」

「甘いものはチョットね。」

「へ~、そうなんですか…、」


じゃあなんでお知り合いの人はプリンなんか送ってくるんだ?知らないとか?


「(ニッコリ)」


うっ、この笑顔されると何も言えなくなっちゃう。




「……そういえば昨夜早瀬と一緒でしたか?」


グフッ!危なっ、折角のプリンが出そうになった~。


それよりもなんで昨日の事知ってるの?早瀬先生は酔い潰れて寝ちゃってたし、そんなこと言いそうにないんだけどな。


「あっ、KENさんに聞いたんですか?」

「ほう、KENさんの店という事は呑みに行ったんですね、蓮二と二人で。」

「二人と言えばそうですけど、でも、」

「(ニコニコ)」


何故だか、この笑顔は恐いです!


「……あれだけ怖い思いしたのに、懲りずに男二人と飲みに行くなんて。貴女、馬鹿ですか?」

「馬鹿ってそんな、相手はあの早瀬先生ですよ?」

「だからなんですか、いくらゲイだからって所詮男なんですよアイツも。なのにまるで危機感のない貴女はノコノコついて行って、それでヤられまくったんですか。ああKENさんがいたんですね、3Pですかそうですか。それとも他のお客さんのもくわえたんですか、そりゃあ大変でしたね。」


東雲先生?さっきから何を言ってるんですか。お二人の知ってるオーナーの店で早瀬先生と飲みに行っただけですよ。なのにそんな酷い事言われるなんて、私の事そんな風に思ってたんですか?さっきまで楽しくプリン食べてたじゃないですか、また食べましょうって言ってくれたじゃないですか。浮かれてる私は見てておもしろかったですか?


突然、暴言を吐き始めた東雲先生に何も言い返す事もできず茫然としてしまう。


私だけが一人で幸せ感じてたんですね、本当に馬鹿みたい。


「…………。」


先生が今どんな顔しているのか、視界がぼやけている私にはわからなかった。


これ以上ここに居たくなくて、涙を止める事なく私は逃げるように保健室をあとにした。



「くそっ!」


残された先生の苦渋に満ちた顔で机を叩く姿など知らなかった。

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