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第28話

酔っぱらいがいる為下ネタ表現があります。

苦手な方はご注意下さい。

「で?どうなってんだ?」

「藪から棒になんですか、早瀬先生」

「とぼけんなって。せっかく俺が気を利かせてやったんだから、ちょっとは進展したんだろ、おら。」

「ノーコメント。」

「は~?ふざけんなよな~。宿題の答えもまだもらってねえんだぞ~。忘れ物した奴はお仕置きだぞっ!ぎゃはははっ!!で?どうなってんだ?」


この酔っぱらいめ。でっかい図体して酔い潰れても私は放って帰るからな!


早瀬先生はさっきから上機嫌で東雲先生との事を聞いてくるが、やっと昨日から普通に話せる様になっただけで進展なんかするはずもない。それをこの酔っぱらいに言うのもなんか嫌でノーコメントを貫くつもりだが、敵もなかなかしつこい。

そもそもなんで早瀬先生と二人で飲んでいるのかと言うと、今朝出勤と同時に『今晩空けとけよ』と言われ、無視して帰ろうとしたら拉致され現在ここにいるという訳である。


「なあなあ、教えろよ~、もうヤったんだろ?」

「何を!?」

「何って、ナニだよっ。まさかチューしかしてねえのか?あいつよくそこで止まれたな。」


な、な、ナニ、いや何言っちゃってんだ、この男は!


「そんな事する訳ないでしゅっ!!」

「プッ!『でしゅ』だって!噛むなよお前、動揺しすぎだぞ。ワハハハ!」

「早瀬先生が変な事言うからでしょ!!」


「蓮二、からかい過ぎだ。」


うるさい早瀬先生を諌めてくれたのは、それまで黙ってグラスを拭いていたこのBARのオーナーであるKENさんだ。KENさんは早瀬先生と東雲先生の昔からのお知り合いだそうで、先生方より年上で井上さんを彷彿とさせる微笑み顔が素敵な男性である。


「悪りぃな、反応が面白くて悪乗りしちまった。」


そう言って軽く頭を下げる姿に拍子抜けしていると、KENさんがさらっと爆弾を落とした。


「処女と初恋では進展しようがないだろう。」


ブッ!!


「なんだお前処女だったのか。」

「な、な、な、なんで、」

「なんで分かるのかって?君の香りがまだ青いからね。」。

「か、香りって、」

「僕の好みにはまだ及ぱないが、なかなか素質がありそうだよ。」

「KENさん、こいつに手出さないで下さいよ。」


確かに処女だけど!香りって何よ~、この人達もうヤダ。




「まあ、おふざけはここまでにして、本題行くか。」


これだけ好き勝手言っといて、よく変われるなと思うほど急に真面目な顔になった早瀬先生は切り出した。


「本題って、」

「宿題だよ、答え出たんだろ?」

「うっ…。」

「おい、まだいらねえ事考えてんじゃねえだろうな。」

「そんな事ないです!」

「じゃあ言ってみろよ。処女の真紀ちゃん♪」

ムカッ!「好きですよ!東雲先生の事大好きです。文句ありますか!?」

ニヤッ、「い~や、上出来だ。」


ハッ!しまった、ムカついて言っちゃった。この男わざと怒らせたな、くやしー。しかもKENさんも居るし、あー恥ずかし!


「それで、昨日はちゃんと告白したんだろ?」

「してませんよ!告白なんて。できる訳ないじゃないですか!」

「なんでだよ!相手に好きって言わなきゃ伝わらねえだろ!」

「別に伝わらなくても…。」

「はあ!?馬鹿かお前!」

「馬鹿ジャナイモン…。」

「大馬鹿だよっ!俺言ったよな、涼正が他の女とヤッてんの想像してみろって。」

「ちょっと違う…。」

「あぁ?変わんねえよ。このまま何もしなきゃ近い将来他の女が出てきてそうなるって話だよ!いいのかそれで?指くわえて見てんのか?」


うう、ヤダ。

東雲先生と美人な奥さんが子供と三人で歩いているを後ろから見ている自分が想像できる。


「そんなのヤダ~!!」


自分がストーカーになる未来に身震いがした。


「だろ?という事で善は急げだ。今言え。」

「はあ?今って、何言って…、」


ずずいとスマホを差し出してくる早瀬先生を何とか押し止める。


「蓮二、無理言うな。この歳で処女なんだ、自分からベッドに誘える訳ないだろ。」


KENさん飛躍し過ぎ!


「だからですよ。放っておいたらこいつ一生処女なんじゃないかと思うと不憫じゃないですか。」

「その時は僕が花開かせるから大丈夫だ。」

「そしたらこいつすげえエロ女になりそうだな。」

「素質がありそうだし、楽しみだな。」

「わー!もうやめて下さい!わかった言います。言いますけど、自分のタイミングで告白させて!」

「よし!KENさんも聞いたよな?近いうちにちゃんと言えよ。」


あー、またやられた……。

横では早瀬先生とKENさんが楽しそうに顔を合わせていた。


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