第19話
※ドラッグ、暴力についての表現があります。
ご注意下さい。
「猫先生、おひさしぶりです。」
「猫先生、今日はお招きありがとうございます。」
「あっ!猫先生来た~!またアレちょ~だ~い。」
「あれ猫先生、新しいお客さん連れてきたの?」
白石先生に連れられて、入ったお店は地下にあって、健全とは言い難い雰囲気を醸し出していた。
そして、何故か白石先生は『猫先生』と呼ばれていて、このパーティーの主催者らしい。
「あの、白い…「皆さん!!楽しんでますか?本日も皆様にご満足して頂けるよう多数揃えてますので、心ゆくまでご満喫下さい!なお、今宵の宴には新しいお客様もいらっしゃいました!」」
いつもの白石先生とは違う様子に怖くなった私は、やっぱり帰らせてもらおうと声をかけたが、途中でそれを遮ると私をグイッと皆の前に押し出した。
「あ、あの、私、帰ります!」
お店の入口に向かって駆け出そうとしたが、腕を掴まれそのまま白石先生に抱え込まれてしまった。
「離してっ!!」
「誰が帰すか、お前は今日実験台なんだから。」
「えっ、実験台って。」
「クックッ、本当に馬鹿な女だ。折角助けてやったのにまた捕まってやがる。善人顔でちょっと優しい言葉をかければのこのこ着いてきて、お前らみたいな馬鹿女がいてくれるおかげで我々の懐は潤ってしょうがないな!」
その通りすぎて反論ができない。
ホントに馬鹿だっ、なんでこんな男に着いてきてしまったんだ。
「おいっ!例のアレ持ってこい!!この女で試すぞ。場所を空けろ!さあ、パーティーの始まりだっ!!!」
「オオ~~~!!!」
嫌だ!嫌だ!嫌だ!誰か助けてっ!!!
いつの間に替わったのか何人かの男達に両側から
押さえ付けられ、フロア中央にあるステージに引きずり上げられた。 手足をめちゃくちゃに動かして逃れようとしても、男達にガッチリ掴まれた体は言うことをきいてくれない。
目の前に立った白石先生の手にはまるで吸い飲みのような形をした色のついたガラスの容器があり、その吸い口を私の鼻に近付けてきた。
「さあこれを吸えば、良~い気持ちになって天国に行けるよ。」
頭を振って拒否しようとするが、頭もしっかりと押さえられていて動かす事ができない。何も出来ないのが悔しくてニヤニヤ笑いながら見ている男に一矢報いてやろうと白石先生の顔に唾を吐き掛けてやった。
バシンッ!!
「この、クソアマがっ!!」
逆上した白石先生に殴られその衝撃で口の中が切れたのか血の臭いで吐き気がした。
殴られた衝撃で朦朧としている私に例のガラスの容器が近付いてくる。
「くそっ、早くしろ!ラリった後は全員の相手してもらうんだからな!」
嫌だ!誰か助けてっ!!東雲先生っ!助けて!!!
ドカンッ!!!
「警察だ!! 全員、動くなっ!!!」
「何っ!?」
「逃げろ!」
「キャー!イヤー!!」
逃げようとする客達が警察に捕獲していく様を見ながら、『私も捕まるのかな?』なんてボンヤリ考えていると、後ろからふわりと大きな腕に包まれた。
「良かった…。」
少し震えている腕の中で、安心した私は意識を無くした。
糸目だから“猫先生”です。
猫好きの皆さん、すみません。




