第1話
「ちょっと!あんたいい加減にしなよ!!」
うーん、この書類って急ぎなんだけどなぁ。
「男子に媚びばっか売ってんじゃねーよ!」
井上さんにチェックしてもらいたかったんだけど、
しかたないか、奥様の調子が悪いんじゃ。
「この前、安っちの告白断ったんでしょ?
あんだけ教室でいちゃいちゃしといてなんでよ!」
「その気もないのに思わせ振りな態度とって、楽しい訳!?」
「黙ってないで、なんか言えよ!!」
しゃーない、教頭先生に直接見てもらうか。
正直言うと、苦手なんだけどな。あの人、嫌味言わなきゃ気が済まないみたいだし。
よし、行くか。
「みんな何で怒ってるの?」
「はああ!?」
しまった、一足遅かったか。何この面白展開。
「美紅み~んなと仲良くしたいだけなんだよ。
だけど、一人と付き合っちゃうとそれができないでしょ?」
「ふ、ふ、ふざけんじゃないわよ!!」
そこでどもったりしたら負けだよ、お嬢様方。
「もういい?美紅、これから用事あるから行くね!ばいばい!!」
「えっ!ちょっと待ちなさいよっ!」
「あ、今から生徒会室に行くんだけど、何か他に言う事ある?」
「ちょ、ちょ、ちょっと待っ…」
「無いなら美紅行くね~!」
Winner!美紅嬢。
すごいなあの子。ただの天然ビッチちゃんかと思ってたけど、腹黒ビッチちゃんでしたか。
これ以上うるさく言うなら、生徒会の皆さんにちくっちゃうぞ❤ってとこかな?
たしか生徒会の子達って、みんな顔良し頭良しの人気者達じゃなかったっけ。
…乙女ゲームかここは。
まあいいや、大人は仕事しよ。