表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/55

第17話

「おい、あいつに何言ったんだよ。」


聞こえません。


「聞けよ。馬鹿みたいに浮かれてたヤツが、一転して全くの無表情で仕事してやがんだ。誰だって何かあったって思うだろ?」


思いませんし、何も知りません。


「知らねえ訳あるかっ、どうせクリスマスの約束を断ったとかだろ?」


分かってるなら聞かないで下さい。


「聞くさ!あいつのあんな顔、付き合いの長い俺でも見たことねえ!」


エスパー具合が半端ない早瀬先生だが、毎度の如く事務室に訪れた途端、文句を垂れ始めた。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



落とし物を職員室へ届ける途中、偶然にも東雲先生に会ってしまった。

断るなら早くしろ、と神様に言われているのでしょうか。だけど、目が合った途端嬉しそうに近付いてくる姿に心臓が高鳴ってしまう。


ふいに思い出すのはかつての恋人の事。初めての告白に舞い上がって、半端な気持ちのまま付き合いだしたせいで彼が何をしたのか。


意を決して、顔をあげる。『あのっ!………』



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「あいつも強引だったのは認めるが、たかがデートじゃねえか。」

「…………。」

「全く、なに頑なになってやがる。」

「…………。」

「ちっ、お前なら涼正を救えると思ったんだがな…。まあいいや帰るわ、じゃあな。」


勝手な事ばかり言って!!救うって何さ、勝手に期待して勝手に失望しないでよっ。


でも、一番勝手なのはきっと、私だ。



あの時、『あのっ!クリスマスの日なんですが、』

『はいっ、楽しみですね。』

『うっ!いえ、あの、やっぱり私行けません!』

『はっ?それはその、都合が悪くなったんですか?』

『いえ、そういう訳ではなくて…、その…。』

『………、わかりました。』

『えっ?』

『だから承知しましたって。』

『あ、あの、本当にすみま『では失礼します。』』

『………。』


断っても東雲先生の事だからきっと、何だかんだ説得してしくるんだろう、もしかしたらまた強引に丸め込まれてしまうかも、なんて勝手な期待して、いざあっさりと了承されるとショックを受けるなんて、ホント勝手過ぎるっ。


視線も合わせず、さっさと行ってしまった背中をただ見つめるしかなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ