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第16話

「この前はどうも~。」

「あっ、こちらこそありがとうございました。」


先週の食事会以降、少ないながらも部屋から出ると職員室や廊下で他の先生方と軽く言葉を交わすようになった。


「仙道さんってば、二次会来なかったのね。」

「はい、少し飲み過ぎてしまったのでお先に失礼させてもらいました。カラオケだったんですか?」

「そうなんだけどね、あの二人も来ると思ったのに、いつの間にか帰っちゃってるんだもんっ!私も帰れば良かった~!」

「あの二人?」


どの二人かと言えばあの二人だろう。

あの路地での攻防を思い出すと顔が熱くなってしょうがないが、目の前の利香先生に気付かれてはいないようだ。


「もちろんわが校のベストカップルの二人よっ!!」


ベストカップル~!?あ、あれ?早瀬先生は違うって言ってたよね?実は付き合ってたの?あっ!あの二人って違う二人の事か!なんだ、びっくりした~。


「あの後どこに消えたのかしらね、東雲先生と早瀬先生。」


やっぱり、あの二人か!!


「私的には東雲攻め早瀬受けだと思うのよね。でも、生徒達は反対だって言うの!ねえ、仙道さんはどっちだと思う!?」


あんた生徒と何話してんの!生徒から人気あるって、そんな話ができる先生ならそりゃ人気高いわ!まさかの!〇女子(いや〇腐人か?)でしたか利香先生。しかも早瀬先生に関しては、(受けかどうかは知らん)一部間違ってないのが凄い。




利香先生と別れた後、色々と疲れた私は真っ直ぐ事務室に戻る気にならず、今ではすっかり寂しくなったいちょうの木がある中庭に出てみた。

授業中の為誰もいないベンチに座るのも申し訳ない気がして、少し歩いたら中に入ろうと一歩足を踏み出した。


…そういえば、クリスマスどうしよう。なし崩し的に約束取り付けられちゃったけど、デートなんかしてもいいのかな。先生が本気かそうでないのか経験値不足の私では判断がつかないし、私の気持ち自体よくわからない。触れられればドキドキするし、嫌悪感も全く抱かない。それならば、デートくらい軽い気持ちで行けばいいと思うかもしれないが、今の私ではとてもそんな風に考えられない。


……やっぱり、お断りしよう。


徒然と考えている内に、いつの間にか事務室の裏手に来ていた事に気付いた私は慌てて戻ろうと踵を返した。その時、足元でキラッと何か光った気がして屈んで見てみると、花のモチーフがついた可愛いらしいヘアピンが落ちていた。誰かの落とし物だろうと思い、職員室へ届ける為ハンカチで包んだそれをジャケットのポケットに入れた。

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