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第14話(早瀬視点)

まさかの早瀬視点です。

目の前に、どう見てもバカップルがイチャついてるようにしかみえない男女二人がいる。

男の方は同僚で幼馴染みの東雲涼正で、もう一人はウチの学校の事務員の女だ。


女の方は顔を合わせてからまだ一月ほどの付き合いだが、これといって特徴のない普通の女だ。だが、我が親友にはそうは見えない何かがあるのか、初めからやたらとちょっかいをかけている。この仙道という女も、嫌がっている素振りはしているが涼正相手では落ちるのも時間の問題だろう。ただ、涼正の方はどうだろうか。今までの女関係からしたら驚く程かまっているし、おそらく興味はあるんだろうが、ただそれだけだ。 心の内まで踏み込ませる事はないだろう。あいつの闇はそう簡単には払えねえ。


俺、早瀬蓮二と東雲涼正は赤ん坊の頃からの付き合いだ。わが校の理事長が多額の寄付をしている施設で育った経緯もあり、今この学校に二人して勤めている。よくある話だが、ガキの頃は親がいないという事で虐められた事もあったが、中学生くらいになると悪い仲間とつるんでバカばっかりするようになった。あんとき理事長が殴ってくれなかったら、今の俺達はなかっただろう。


苦労して教師となり、この学校に勤めているのも大恩ある理事長のためだ。あいつも医師免許を取ったものの、病院勤めはせずに保健医などという名でここにいるのは同じ理由なんだろう。


俺は今この学校を侵しつつある、悪い噂について調査している。

危険ドラッグ。

まだごく一部の生徒だけだか、確実に出回っているらしい。教師の中でも知っているのは片手で数えられるくらいだろう。

その調査の為にドラッグに手を出したと思われる女子生徒を誘惑して内実を調べようともしていたのだが、生徒相手にそんなバカな真似をする事に多少の罪悪感を感じていたんだろう、たまたまその場面を聞いていたあいつに話してしまうなんて。


これまた偶然だが、仙道が聞いたという生徒同士の喧嘩の内容から、おそらくドラッグ関係だと考えた俺はまたそいつらが来るかもという、わずかな手がかりを期待して、暇があれば事務室に通い詰めるという日々を送った。一応詳しい事は話せずとも危険がある事を忠告しておくつもりではあったのだが、まさか自分でもあそこまで告白するとは思いもしなかった。


俺はゲイだ。これは涼正と理事長しか知らない事なのに、思わずあいつには言ってしまった。今考えても分からない。もしかしたら、涼正があいつにかまう理由と通じているものがあるんだろうか。



「もう、いい加減離して下さいっ!」

「まだ食べ尽くしてないのに、離すなんて勿体無い。」

「私は食べ物じゃありません!!」


……まだやってやがる。そろそろお開きにさせるか。


「おーい、帰ろうぜ。お前、家どこだよ。送ってくから場所教えろ。」

「……随分仲良くなったようですね。」

「そ、そりゃあ…….。」


なんだよっ、怖ぇよ!!可愛い顔してやがるくせに、睨むとなんでそんなに恐ろしい顔になるんだよ!!


俺達が睨み合って(一方的に睨まれているだけ)いるのを、ぽかんとアホ面さげて見上げている仙道は何を勘違いしたのか、真っ赤な顔で俯いた。


「言っとくが、死んでもこいつにだけは恋愛感情を持たないからな。」

「!!!」

「やっぱり勘違いしてやがったか。心配しなくても俺のタイプは井上さんだ。」

「!!!?」


涼正に親指を向けて、ヤツの勘違いを訂正していると、今度は涼正の方が驚いた顔をしていた。

俺の秘密を既にこいつに話していた事で、さっきの『随分仲良く』云々を肯定するかのように感じたのか、更に強く睨みを効かせてきた。


うん?こいつ結構マジなのか?いつもは面倒くさがって不参加にする飲み会も、仙道が出席すると聞いて出てきたし。俺の性癖を知ってるくせに、こうやって牽制してくる。


「誤解してすみません。それと早瀬先生、男性の趣味は素晴らしいと思います。」

「……ぷっ!そりゃどーも。」


前言撤回。こいつおもしれぇや。

こいつなら、もしかしたら親友の闇も溶かしてくれるかもしれねぇ。この先どうなるか分からねえが、期待して見守っててやるか。


お互いプライベートでは名前呼びです。

これからは主人公ちゃんの前でもそうなるかもしれません。


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