表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/55

第11話

あれから、なぜか事務室に入り浸る様になった早瀬先生だか、彼がいる時は井上さんがいないという事に気付いたのは一週間も経った頃だ。




「なんだよ、アイツじゃなくて悪かったたな。」


…また来た。

すっかり慣れた様子で井上さんのデスクに座る早瀬(既に呼び捨て)をジト目で見上げていると、 おかしな事を言う。


「…そうですね、井上さんがいいです。」

「分かって言ってんだろ、いい性格してんな。」


一体何がしたいの、この男は。何するでもなくボ~っと窓の外を眺めてると思ったら(草木しか見えないと思うけど)、たまにS氏の事を揶揄してくるし、いい加減にして欲しい。


「体育の先生って、暇なんですね。」

「暇じゃねぇよ、やる事はある……、っ!」

「?どうしたん…「しっ!」」


話の途中で急に真面目な顔になった先生は、そっと立ち上がるとゆっくりと窓際に移動した。訳がわからず、その様子を見守っていると、




「おいっ!お前こいつの事、どう思ってんだよ!」

「…お前に関係ないだろ。」

「関係なくねぇよ!いつも俺達の邪魔ばっかしやがって!!空気よめよっ!」

「はっ!あんたの方が邪魔なの気が付かないわけ?おめでたい人だな。」

「なんだとっ!!」

「二人ともお願いやめて!美紅のために喧嘩しないでっ!!」


なんと、お久し振りの美紅嬢。嬉しそうな声が隠しきれてませんよ。

その後、男の子二人はどっちが美紅嬢と付き合うかで揉めていたようだが、全く止める気のない『やめて!』を連発した彼女が、『喧嘩ばっかりする二人なんか嫌い!』と発した事であっさり収束してしまった。おそらく彼女はどっちとも付き合わないと思うが、完全に手のひらで転がされているな。


美紅嬢が登場した辺りで興味を失ったのか、窓際から離れた早瀬先生は彼らがいなくなるまで、つまらなさそうにしていた。


「生徒達の修羅場に興味あるんですか?」

否定されると分かっていたが、彼らが来る直前の先生の態度が気になって、訊ねてみた。


「あんなもん修羅場の内に入んねえよ。」


ああそうですか。さぞ、私なんかが考えつかない様な修羅場を経験されてるんでしょうね。


「出歯亀はみっともないと思います。」

「…そりゃお前もだろ、人の濡れ場聞いといてよく言うぜ。」


濡れ場? そっちこそ何言ってるの、そんなの見たことも聞いたこともない…………って、あぁっ!あの時の「淫行教師!」


「ククッ、淫行教師はひでぇなぁ。」

ガバッと顔を上げると、苦笑いを浮かべる早瀬先生の顔があった。

まさかあの時、女子生徒と×××していた(私のおかげで未遂だったが)教師が早瀬先生だったなんて。

態度は悪いが、少なくとも生徒の事はよく考えてる良い先生と思っていたのに。ショックを受けた私は軽蔑の目を向けた。


「そんな目で見んな。ありゃあ、仕事の一貫なんだよ。」


はぁ?仕事?アレが仕事って、答えによっては学校に訴えるぞ。


「どうゆう事ですか。」

「詳しくはまだ話せない。だが誓って邪な気持ちでああいう事をしてた訳じゃないし、もちろん最後までやっちゃいない。」

「遊びじゃないって事ですか。」

「ああ。いや、だからって本気って訳でもねえ。気持ちが入ってないからな。」

「でも、それじゃあ女の子達が………。」

「…俺だって真面目にやってる奴らにはそんなことしねえよ。だけどあいつらは…、悪ィ、これ以上は話せねえ。」

「……。」

理由があろうがなかろうが、いくら最後までしないと言っても、女子生徒相手にする事ではないと思う。だけど、苦虫を噛み潰した顔で話す早瀬先生にこれ以上追及する事はできなかった。




「なんで私に話したんですか?」

「…最近、そこで生徒同士の揉め事があっただろ。もしまた同じ様な事があったら教えて欲しいんだ。俺じゃなくても東雲でも、井上さんでもいいから。ただ、約束してくれ。絶対に一人で首突っ込んでいかないと。」

「答えになってませんけど。」

「いいから!」

「言われなくても、そのつもりです。……すでに強く言われてますから。」

「ああ、東雲か。」


みんなして何だっていうんだ。ただの子供の喧嘩って言ったり、危ないから首突っ込むなって言ったり。早瀬先生も何か隠してる事があるみたいだし、よく考えたら東雲先生だって何の用があってあそこに居たのか。


「じゃあ、そろそろ行くわ。邪魔したな。」

重くなった空気を変えるように、考え込む私に向かって軽く手を上げると、ドアに手をかけた。


「………女子生徒の事は本当に心配いらないんだ。極力触らないようにしてるからな。




……………………俺、ゲイなんだ。」


はぃい~~~?!!


「じゃあな、また来るわ。」

早瀬率高過ぎです。でもヒーローではありません、なぜなら〇〇だから。※本文参照


主人公ちゃん、今回はたくさんしゃべりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ