公園の冬景色
変わらない景色。
違うな。夏には噴水で遊ぶ子どもたちで賑わっていた。
季節は移る。
緑から黄色へ。黄色から赤へ。
今は落葉が終わろうとしていた。
風が冷たい。
彼が残した置手紙。
『冬とともに戻って来ます』
夏の厳しい暑さと一緒に彼は消えた。
「…………バカ!」
思いが自然と口から出る。
信じていいの?
ただ待つだけなんて辛いよ。
冬色の公園。私一人だけの公園。
午後5時の時計のチャイムが鳴る。
時間とともに遊んでいた子どもたちはそれぞれの家へと帰った。
私には帰る場所がない。
彼と一緒に暮らしたアパートがそれだったから。
今は一人待つだけ。
陽はその姿を消そうとしている。
寒空の公園。
帰りたくない。
彼のいないアパートなんて……。
一緒に過ごした楽しい日々が思い出される。
このままでいいのか?
陽がその姿を消した。
座ったベンチを照らすように外灯の灯りが私を照らす。
今は私の一人舞台。
主演は私。
ただ待つことしか出来ない。
寒い。
刺さるような風が吹いて来た。
そろそろ帰ろうかな。
でも、彼のいないアパートは嫌。
もう少し、ここにいよう。
吐く息が白くなって来た。
「バカ……、カズヤのバカ!」
「再会の一言が『バカ』なのかい?」
「…カズヤ?」
「ただ今帰りました」
「バカ!」
「おい、バカはないだろ?」
「バカ! バカ! バカ! バカ! バカ!」
「ごめん」
彼が帰って来た。
カズヤが帰って来た。
「今まで何をしていたの?」
カズヤが天空の星を見ながら、話し始める。
「親を説得して、認めてもらえた。ちょっと遠かったからさ」
「何よ」
「うん、そうだな」
ダメだ。
今にも泣きそう。
「私ね…」
「アヤ、俺と結婚して下さい」
「えっ!?」
「もう一度言おうか?」
両目から溢れた涙が止まらない。
「バカ!」
「そうだな。俺は大バカ者だ」
「でも、嬉しい」
彼の大きな両腕に包まれる。
大きな背中。暖かい。
ずっとこのままでいたい。
「よろしくな」
「…うん」
雪だ。初雪だ。雪が私たちを祝福してくれた。
この幸せを暖めよう。
カズヤと一緒なら、それだけで幸せだから。
「冷えるな。風邪引く前に帰るぞ」
「うん」
寒いけど暖かい。
公園の冬景色




