表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ショートショート集 お弁当温めますか? ~Happy Stories~  作者: 夢宇希宇


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/15

月夜の空に会いましょう

 楽しい楽しい日曜日。

 だって、今日は彼に会えるから。


「バカっ! 約束してたのに!」


 喧嘩しちゃった。

 どうしようかな。

 だって、私は悪くない…と思うけど?

 自信が無い? でもね。


「ナオキのバカ!」


 あ、独り言だ。

 バカなのは私?

 もう、何してるのよ。

 スマートフォンが鳴る。


「ユウコ、俺だけど、……夜になりそう。ごめん」

「…うん、わかった。さっきはごめんね」


「埋め合わせするよ」

「は~い、待ってます」


「おう、大船に乗ったつもりで任せてくれ」

「もう、…期待しちゃうぞ?」


「あ、…いや、その……」

「あはは、いいのよ。仕事、頑張ってね」


「夜に電話するよ」

「うん」


 仲直り出来た。嬉しい。待ち遠しいな。

 夜まで何しよう。

 少し外の空気を吸って来よう。

 大丈夫だよね?

 うん、大丈夫。

 まだまだ時間はある。

 アパートの階段が雲のように軽い。

 ふわふわ。今にも飛べそう。

 外の空気が気持ちいいな。雲一つ無い空。どこに行くかな?

 いいえ、決めなくてもいい。散歩を兼ねた探検だ。


「あの~、すみません」

「はい?」


 振り向いた私の目には一人の女性が映った。

 年配の女性。おばあさん。

 どうしたのかな?


「○○駅にはどう行ったらいいのでしょうか?」


 そうか。

 道がわからないんだ。


「私でよろしければご案内しますが?」

「いいえ、とんでもない」


「歩きたい気分なのです。おばあさん、私に付き合っていただけますか?」

「ありがとうね。じゃあ、お言葉に甘えさせていただくわ」


「はい」


 どこから来たのかな? 初めて見る人だ。道がわからないから地元じゃない。

 それは今はどうでもいい。


 景色は移る。

 あっと言う間だった。


「着きましたよ」

「ありがとうね。お礼をさせて下さいな、是非」


「いいえ、気にしないで下さい」

「じゃあ、…そこのお店に入りましょう」


「……はい」


 勢いに負けて断れなかった。

 空が暗くなっている。

 時間…どうしよう?

 スマートフォンが鳴る。

 私じゃなかった。

 おばあさんだ。


「はいはい、わかってますよ。…じゃあ、待ってるわね」


 スマートフォンが鳴る。

 今度は私のだ。


「ナオキ…、あのね…」

「今から行くよ」


「あ、待っ…」


 電話、切れちゃった。

 どうしよう。


「お待たせ」

「素敵なお嬢さんね、ナオキ」


「俺には勿体無いよ」


「ええっ!?」

「驚かせてごめん。ばあちゃんが是非に会いたいって、聞かないからさ」


「ナオキのおばあさんなの?」

「はじめまして、ユウコさん。ナオキをよろしくね」


 店の音楽が変わる。

 小さなステージにはスポットライトが。


「俺と踊っていただけませんか?」


 差し出された手を取る。


「はい、…でも、もう驚かさないでね」

「わかってます」


「本当に?」

「…う~ん、少し自信が無い」


「もう、…」

「踊ろう」


「うん」


 優しいおばあさんだったな。

 本当にびっくりしたぞ、ナオキ。

 でも、嬉しい。

 私、幸せだよ。

 ここは月夜のステージだ。

 主演は私とナオキ。

 本当に幸せ。

 ずっとずっと一緒だよ、ナオキ。



月夜の空に会いましょう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ