心の天気予報
晴れのち曇り、時々雨。
今日の天気は曇り空。
私の心も曇り空。
それは彼からLINEがあったから。
『今夜は仕事で帰れません』
今はオフィスでパソコンとにらめっこ。
笑うが負け? でも、笑えないな。
会いたい。
「タカギ君、明日の会議の資料はどうだね?」
「もう少しですね。今日は残業させて下さい」
「そうだな。頑張ってくれたまえ。よろしく頼んだぞ」
「はい」
明日は重要な会議がある。
仕事が思ったように進まない。
重要な仕事を任せてくれるのは素直に嬉しい。
でも、今は彼に会いたい。
「ふぅ」
溜め息吐いてしまった。
急いで資料を仕上げなければ。
定時を知らせるチャイムが鳴る。
「ふぅ」
今日二回目の溜息。
まだ仕事は終わりそうにない。
集中しなくては。
LINEの着信を知らせる音が鳴った。
差出人は…。
彼だ。
『予定より早く仕事が終わったので、9時には帰ります』
LINEに返信をする。
『私はまだ帰れそうにありません。ご飯はレンジでチンして食べてね』
1分と経たないうちにまたLINEの通知が。
『お疲れ様。仕事頑張ってね。無理するんじゃないぞ』
少し心が落ち着いた?
『ありがとう』
今は一言しか返信出来なかった。余裕がなかったから。
仕事に集中しよう。
部長が心配そうに…。
「タカギ君、どうだね?」
「部長、もう少しで終わりそうです。時間を下さい」
「うむ、私は構わない。頑張ってくれたまえ」
「はい」
頑張ろう。
「ふぅ」
今日、何回目の溜息だろう。
やっと、資料が完成した。
印刷して、それを部長に渡す。
「さすがだな。タカギ君には頭が下がる思いだ」
どうやら、満足してもらえたようだ。
「部長こそ、お疲れ様です」
「いや、これが私の仕事だからな。タカギ君はもう帰りたまえ。ご苦労様。これで明日は安心だ」
「はい。では、今日はこれであがらせていただきます」
「うむ、気をつけて帰ってくれたまえ」
「はい」
壁の時計を見る。
針は午後9時を指していた。
電車に乗れば、10時には帰れるだろう。
急ぎ荷物をまとめ、帰宅の途についた。
目の前にアパートが見える。
腕時計を見ると10時を少し過ぎている。
やっと彼に会える。
今の私の天気予報。
気分は晴れ。
「ただいま」
クラッカーが鳴り、その音で少し飛び上がってしまった。
「ナツキ、おめでとう」
彼だ。これは…?
「おい、自分の誕生日も忘れてしまったのかい?」
「あっ!」
「それと、これを受け取って欲しい」
彼の差し出した小箱を受け取り、開けてみる。
「ユウト、これは?」
「婚約指輪だよ。ダメかい?」
「ううん、嬉しい。ありがとう」
「ナツキ、俺と結婚して欲しい」
「…うん、ありがとう」
雨が降って来た。涙雨。
今の私の心は嬉し涙の洪水だ。
でも、それは直ぐに晴れた。
彼が優しく抱きしめてくれたから。
今の私の天気は晴れ。
気持ちのいい日本晴れだ。
このままずっと…このまま一緒でいたいな。
きっと彼となら大丈夫。
ありがとうね、ユウト。
心の天気予報




